東京生まれの東京育ちのヒエラルキー(笑) | 東京・横浜物語

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東京・西麻布に生まれ育ち、現在は横浜に居住する筆者が、
東京の山の手地区の昔話や東京・横浜の生活などについて語って行くブログです。

ダイエット、筋トレ、ランニング、登山、クラシック音楽、美術館・博物館巡り、能、歌舞伎、落語などの古典関連の記事が多いです。

東京で暮らし始めたとして。

初対面の人からこう聞かれたとします。

「貴方はどちらのご出身ですか?」と。

この状況は想像以上に厄介です。

こういう問いを発してくる人はヒエラルキーを確実に持っている人だからです。

さて、これから書くことはかなり毒のある話題になります。

ちょっと前の記事でオートバイに乗る者のヒエラルキーについて書きました。

乗っているオートバイの排気量や車種による差別が酷い、と。

大型オートバイに乗る者が偉くて排気量が小さくなればなるほど扱いが酷くなる、と。(笑)

そして何もオートバイの世界だけでなくあらゆる分野においてヒエラルキーを作り出す人間とは厄介な存在である、とも。

このようなヒエラルキーは、生まれ育ち、学歴、学力、職業、役職、貧富、レストランの星の数、
美人度、イケメン度、家柄等々、あらゆる世界で展開しています。

そしてこれらが複雑に入り乱れて格付けのし合いをしているのが人間と言う存在とも言えます。

私達は初対面の相手に会った時、無意識のうちにこのような格付けをしていると思います。

人間は平等です、などと言い切る頭の良い教養人はとても多いですが、
そのような事を言う教養人ほどバカを徹底的に差別しています。

つまり学歴・学力ヒエラルキーを思う存分駆使してきます。

どんなに教養があろうとも、このヒエラルキーの罠から人間が逃れるのは容易な事ではありません。

このようなヒエラルキーの頂点にいる者は少なくともその分野においてはコンプレックスを持っていないため、
逆に言うと傲慢ではありますが冷静にその分野を眺められます。

しかし下位に属する者は感情的になってしまうため、
歴然と存在しているヒエラルキーを無視したり別の価値観で破壊しようとしますが、
全く相手にされないのは当たり前の事実です。

さて、首都圏で暮らしていると今でもそうなのですが、
生まれ育った街、住んでいる街によるヒエラルキーが非常に徹底しています。

実はこの出身地ヒエラルキーや居住地ヒエラルキーは首都圏だけでなく日本全国、
もっと言うと世界中で見られる現象です。

外国に無いなどと思ったら大間違いです。

ちなみにパリジャンやパリジェンヌの誇り高さはよく知られています。

パリ以外のものを全て田舎と見做してきます。(笑)

そこで私的な意見ですが、ちょっと特殊な出身者である私が東京の出身地・居住地ヒエラルキーを書いてみたいと思います。

選定基準は「オシャレ度」「金持ち度」「ステイタス度」に絞り、
女性誌他マスコミでも多く取り上げられる街に限定します。

くだらない、と言われればそれまでです。

しかしながらちょっと前の記事に書いたように、
この種のヒエラルキーは部外者から見ると滑稽ですが当事者にとっては深刻です。

仕組みを知っておいて損はないと思います。

では一例を挙げます。

先日、都知事候補者が全員テレビに出演していてインタビューをされていました。

その中である人が興味深い質問をしていました。

「私は東京生まれの東京育ちなのですが、貴方達の東京に対する思いを語って下さい。」

一見するとこの質問は愚かなように思えるでしょう。

実際、一緒に見ていた私の妹は「バカな質問をするヤツだな」と言ったくらいです。

しかしこの人の質問の裏には強烈な意図が隠されています。

それは東京生まれの東京育ちでないと分からない意地悪で明確な意図です。

はっきりと書いておきます。

この質問者の意図は。

「てめぇ~都知事に立候補していながら田舎もんじゃね~だろうな?」と言う悪意のある質問です。

これは実のところ大変意味のある問いでもあります。

何故なら都知事選だからです。

国会議員なら国に対しての、都知事選ならば都への思いこそが最重要となるのは当たり前です。

どこか遠くの地で生まれ育った者が、
つまり、東京以外の出身者が都知事になった場合、
法的には問題なくても東京で生まれ育った都民の感情としては大問題になってしまいます。

何もこれは東京だけの問題ではありません。

各都道府県知事選においては立候補者がその地が故郷なのかどうかはかなり重要な問題となります。

とは言え、何度も記事にしていますが、
生粋の東京生まれの東京育ちと言う存在は意外にも数は非常に少ないのが現状です。

まして都心部になると希少種とも言えます。

誰でも自分の生まれ故郷には誇りを持っていると思います。

東京生まれの人も当然持っています。

そして当然、東京にも他府県にもヒエラルキーが存在しています。

ここでまた一例を挙げておきます。

ある某田舎出身の女性と話していた時のこと。

その女性とは同郷の親友の話になりました。

すると彼女はとんでもないことを口走りました。

「あ~彼女(親友)はザイだから。言葉が違うんだよね~♪♪私は市内だから♪♪」と。

私は思わず「えっ??だって貴女も充分なまっているじゃないか?一体どう違う?」と突っ込みを入れましたが、
部外者である私から見ると全く方言の違いを聞き取ることは出来ませんでした。

東京人は差別的だとよく聞かれます。

その通りです。

しかし別の地域の人も上記のように同じことをやっています。

東京人のヒエラルキーは首都であるだけにもっともっと実は凄まじいと思います。

それでは、東京のどこが一番偉いのか?

バブル時代にベストセラーになったミーハーのための見栄講座などを思い出すと直ぐに回答が出てきます。

「都心」です。

都心とは明確に狭義に定義した場合、旧東京15区、つまり千代田区、中央区、港区の3区だけです。

渋谷や新宿、池袋などは含まれません。

しかし近年著しく発展しているため副都心だとか、あるいは広義では都心に含まれています。

いずれにしても皇居に比較的近い非常に大きな街と言えます。

さて、その都心3区の中でも千代田区と中央区は居住区としての機能は著しく失われています。

中央区はウォーターフロントと呼ばれる新しく海側を開発しましたが、
このような地域は残念ながらベスト10入りは無理です。

では1位から順に解説付きで見て行きます。

第1位 南麻布(&元麻布)

これは文句無しに第一位です。

何故なら、日経から出ている「日本の金持ち研究」と言う書籍において、
日本の金持ちは南麻布に集中していて傑出していると言う論拠があるからです。

そして南麻布のもつ都心でありながらの緑の多さ、オシャレ度、ステイタス度、全てがハンパありません。

しかも麻布十番駅が出来たからと言ってアプローチがそれほど良くなった訳でもありません。

都心にありながらも孤高の最高級住宅地、それが南麻布だと言えます。

当記事の最初の質問に戻ります。

東京で初めて会った人にこう言ってご覧なさい。

「どちらのご出身ですか?」→「南麻布です」

さて、どうなるでしょう?(笑)



第2位 白金(白金台)

女性誌が何時の頃からか盛んに白金をもてはやし出しました。

シロガネーゼなどと言う言葉まで生まれました。

ちなみに日本の標準語は明治時代、この白金近辺で話されていた言葉をベースに作ったと言われています。

この街の特徴は「特に何もない」です。(笑)

本当に何もありません。

しかしやはり都心にありながらも緑が豊富な超高級住宅地です。

しかも南麻布同様に地下鉄の白金台駅が出来ましたが白金へのアプローチは依然として不便です。

都心にありながらも交通が不便。

これが最高級住宅地のキーワードなのかも知れません。

追記:白金高輪駅の存在を忘れてました。
白金台だけでなく白金も今やとてもアプローチが簡単になってました。


第3位 西麻布

今や遊び慣れた芸能人は六本木には行きません。

必ず西麻布です。

西麻布はかなり開発されつつある街ですが、
実は未だに交通が不便な場所にあります。

地下鉄の広尾か六本木です。

ちょっと裏道に入るとまだまだ住宅地として充分に機能しています。



第4位 広尾

厳密には渋谷区になりますが西麻布と接しているのと、
住宅地としての住み易さ、オシャレ度、お金持ち度は相変わらず素晴らしいです。



第5位 松濤

これまた渋谷区になりますが昔から恐ろしい邸宅のオンパレードで有名な街です。

なんと渋谷の超繁華街から徒歩数分で到着します。

実際に行くと渋谷の喧騒がBunkamuraを境に一変するところが実に面白いです。

つい数分前の喧騒が嘘のように静まり返ります。

メチャクチャ閑静な東京を代表する超高級住宅地です。

しかし何故か知名度が低いため5位です。(笑)



第6位 田園調布

実のところ、田園調布のネームバリューが通じるのはむしろ地方出身の人かも知れません。

あるいは東京でも下町や市部出身の人達に対してです。

確かに高級住宅地で芸能人が多いのですが、
直ぐ近くには神奈川との県境の多摩川が流れています。

つまり、東京の外れにある僻地です。

しかも僻地らしく本当に何もありません。

高校が田園調布にあった私が言うのですから間違いありません。(笑)



第7位 神田

ここで下町系が登場します。

純粋には下町ではないようですが、現代の感覚では下町になってしまうかも知れません。

いずれにしても「江戸っ子だってねぇ~?」「おうよ!!神田の生まれよっ!!」とよく落語に出てくるアレです。

江戸の粋をカッコつけたいならやはり神田生まれのネームバリューは絶大です。

ちょっと荒い感じの印象があるけど独特のカッコ良さを誇る街と言えます。

「神田の生まれです」と言われたら現代の東京人はかなり戸惑うかも知れません。

未だにこんな人がいたんだ、と。(笑)



第8位 日本橋

日本の全ての道路の基準点がある街。

日本の中心は日本橋にあります。

本当はもっと上位にしたいところですが、
残念ながら居住地としての機能はほとんど失われてしまっています。

今や数少ない日本橋生まれの人。

これはもう・・・圧倒的に素敵です。

特に年寄り。

聞いた途端に惚れてしまうような非常に美しい江戸弁を普通に駆使してきます。

山の手言葉ではありません。

花のお江戸、日本橋の言葉です。

しかしもうほとんど失われてしまっています。

ごく稀に日本橋近辺の老舗でお年寄りが喋っていて聞く事が出来ますが、
その時、私はドキーーーーーーーンとしてしまいます。

失われつつある日本の旧き街の伝統。

それが日本橋であるかと。



第9位 浅草

「どこのご出身ですか?」→「浅草生まれです」

さて、質問者の生まれ故郷が東京だった場合。

浅草生まれとはどんな風に思われるのでしょうか。

現代の感覚では典型的な下町です。

神田よりもさらに非常に荒い印象のある街です。

そしてちょっと茶目っ気のある街でもあります。

つい先日、如何にも浅草ならではの体験をしました。

昼間は観光客がほとんどの仲見世。

夜は様相が一変します。

寄席の帰りがけ、店じまいした仲見世を歩いていたら、
良い感じの光景だったので写真を撮っていました。

すると前を歩いていた若いカップルの男が突然振り向いて、
私のカメラの中に入って来ようとしました。

「あ~ダメだったか~♪♪」と酔っぱらった感じで絡んできました。

ネーちゃんも如何にもな感じで笑ってました。

「ね~お兄さん、地元???」と人懐っこく聞いてきました。

すげーオジサンを捕まえてお兄さんと言い切ってくるこの感覚。

こっちを嬉しくさせてしまう曲者の呼びかけ。

これに騙されてはいけません。(笑)

「いいや、違うよ。」と言ったらちょっと寂しそうに「だよな~地元なら写真撮らないよな~」と言って去って行きました。

そう。

これこそが一番最初に書いたヒエラルキーの探りなのです。

彼にとっては浅草一番なのでしょうが。

「いいや。違うよ。俺は西麻布の生まれ育ちだよ」とは決して言わないのが東京の山の手育ちの人の悪さです。(爆)

こうやってさり気なく初対面の人の値踏みをしてくる。

これが東京人の人の悪さです。(笑)



第10位 吉祥寺

ここに珍しく有り得ない東京の市部をランクインさせます。

一般的に東京23区以外は東京じゃないと言う嫌な表現がされることが多々あります。

実際に東京市部はとんでもない田舎です。

しかしこの吉祥寺は昔から何故か品の良い印象のある街です。

文化人が多かったせい???

東京の住んでみたい街でも常に上位にランクインしています。

居住地としても武蔵野の雰囲気を残すとても良い街だと思っています。



以上、こんなところでしょうか。

他にも赤坂や六本木、銀座、新宿、池袋などがありますが、
あくまでも出身地として考えた場合、
現在では居住区としてはアウトです。

生まれ故郷のオシャレ度としては弱くなってしまうのでランク外としました。

まあ、あくまでも私的な感覚ですが、
これはこの種の分野のほぼ頂点にいてコンプレックスを全く抱いていない私の意見ですので、
異論は多々あるかと思いますが、そう簡単に反論も出来ないと自負しております。(笑)

終わり