皆さんこんばんは。クリニック光のいずみ院長石川眞樹夫です。世界と未来に幸せと笑顔を増やすこと。子ども達の苦しみを取り除くことが私の使命です。
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共働きのご夫婦が多い時代ですが、お母さんのお仕事が終わって帰宅してからと、夜寝る前だけの哺乳でも、お母さんのおっぱいは長く出続けてくれます。
クリニック光のいずみでは、特に重症のアトピー性皮膚炎のお子さんなどを除いては、極力2歳を過ぎる頃までは、離乳食が進んでも母乳もあげて下さいとお伝えしています。
日本母乳の会の書籍から、その根拠を引用させて頂きます。
クリニック光のいずみ院長
自然療法小児科医 石川眞樹夫
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母乳育児を長く続ける利点
◎子どもにとっての利点
①口腔の発達に良い。乳首を吸うことが顎の発達、そして脳の発達を促す。
②病期にかかりにくい。その理由としては、
・1歳から2歳を過ぎた子どもに与えられる母乳にも免疫物質は含まれている(Goldman,1983)
・16ヶ月から30ヶ月で母乳を飲んでいる子どもは、飲まない子どもに比べて、かかった病気の種類も少なく、病気の期間も短く、医師の診察を受ける回数も少なかった(Gulick,1986)
・3歳で母乳を飲んでいる子どもは、早く乳離れした子どもより、病期にかかる回数、種類が少なかった(Vonden Bogard,1991)
・ギニアでは、1歳から3歳で乳離れした子どもは、より長期に飲んでいる子どもに比べ、3.5倍の死亡率であった(Molbak,1994)
このような発表がなされています。
③病気のときにも適した栄養がおっぱいです。
病気になると食欲がなくなりますが、どんな赤ちゃんでもおっぱいだけは飲んでいます。1歳から2歳ごろには、風邪をひいて食べ物を受け付けなくても、おっぱいだけで病気の期間を乗り切り、元気になることが出来るのです。
④母乳育児を通したふれあいによって、お母さんと子どもの絆が深まり、精神的安定をもたらします。
この繰り返しの継続によって、生理学的にも母と子の間には基本的信頼関係、すなわち愛の原点が築かれてゆくと言われています。そして、このことは、最近の研究でも、母乳で育てられている子どもには、被虐待児が少ないという結果としても確認されています。
◎お母さんにとっての利点
①避妊効果がある。授乳中はプロラクチンというホルモンが分泌されていますが、このホルモンは排卵を抑制する働きがあります。
②子どもとの肌の触れあいが自然にでき、ゆったりとした時を過ごすことが出来ます。
③子どもを慰めるのが簡単になり、育児がつらくなりません。
④乳がんになりにくくなります。
などが挙げられています。
ちなみに、
霊長類の乳離れは
文化人類学者のキャサリン・デトワイアーによれば、霊長類の乳離れには一定の規則があり、出生体重の約4倍になった時期これは、人間でいうと2歳から3歳にあたります。期間としては、胎内で過ごした期間の約六倍、この場合人では4歳から5歳になります。さらに、永久歯が生える時期に乳離れする霊長類もおり、この場合、人間では5.5歳から6歳という事になります。
これらの霊長類の研究から考えた場合、人間の乳離れは、2歳3歳から、6歳頃が自然なのかもしれません。
世界の傾向は
卒乳についての世界の傾向はといえば、アメリカ小児科学会は1997年に「母乳と母乳育児に関する方針宣言」の中で、
「母乳育児は少なくとも12ヶ月、それ以後は母子が望む限り長く続けることが勧められる」
と勧告しています。
また、国際小児科学会が1990年に出した子どもの栄養についての宣言、イノチェンティ宣言では、
「子ども達に適切で十分な食物を補いながら、2歳か、それ以上まで母乳を続けるべきである」
と述べています。
さらに2002年、第55回世界保健総会では「乳幼児の栄養に関する世界的な運動戦略」が採択されましたが、その中で
「6ヶ月までの完全母乳の推進と、2年以上の母乳育児の継続」
がすすめられています。
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日本では1歳までに自然卒乳する赤ちゃんは20%程度、1歳6ヶ月で50%、2歳で80%程度です。2歳を過ぎても母乳を飲み続けている赤ちゃんは5人に一人、20%程度いますが、何も問題はありません。
赤ちゃんに母乳を与えることの出来るお母さん達は、不安を抱くことなく、子ども達に十分な期間、おっぱいを与えて頂きたいと私は考えています。