#壽 初春大歌舞伎/夜の部③松竹梅湯島掛額・感想 | Lunaのブログ

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→②あらすじから続く
『松竹梅湯島掛額』
(しょうちくばいゆしまのかけがく)

《 感想 》


この物語は、
前半と後半で大きく毛色が違う物でした。

前半は愉快性に富んでいて、
それをべんちょう役の猿之助さんが
巧みに演じてらっしゃって、
小気味いいお調子に
沢山たくさん笑いました。

流行りの話題も多く取り入れていて、
ハズキルーペにソルマック、
USAやチコちゃんと、
続く笑いの誘いに
館内皆さん声を出して笑っています。

(個人的には、
幸四郎さんが お七に
気付けの水を口移しするシーンで、
口に届く前に
ウェ〜と声を出してこぼし、舌出し👅
三番叟もどきになったシーンが
楽しかったです。

なにしろ演っている幸四郎さん自身も
楽しく笑っていたからです。

のちにお土砂を屈伸しながら撒くシーンで、
疲れた猿之助さんも舌出しをしていて、
それも貴重でしたニコニコ

そんな笑いの絶えない
コミカルな前半シーンのあと、
後半“火の見櫓の場”では
まさかあんな風な加減で観せられるとは
思ってもいない展開で、
初心者としては驚愕でした。

あとは、
“歌舞伎とはこんなに凄いのか”
という思いと、
“中村七之助さんて
こんなに凄い役者だったのか”
という思いで溢れました。


“火の見櫓のお七”を演じた中村七之助さんに、
観終わった今、
涙しか出てこないのです。

観終わったあの日は、
しばし呆然として
席を立つことが
出来ませんでした。

それは愛しい吉三郎を思って
火の見櫓の太鼓を打ち鳴らす、
お七の情念という物に対して

なにより、
七之助さんの魂を削っての
気迫の演技に、
心が震えたからです

七之助さんは本当に
命を削っているように見えました汗

【四ツ木戸火の見櫓の場】は、
操られる文楽人形のような動作の
“人形振り”という演技で演じられます。

実際観る前は
一体どんな物なんだろう
と思っていましたが、
それはまさしく“人形となって”
演じるものなんですね。

お正月のNHK番組、
「こいつぁ春から」で、
七之助さんご自身が仰っていた事に、
人形らしく見せるため
なるべく瞬きをしないように演っている、
と仰っていました。

まさにその通りでした
七之助さんは瞬きをしていなかったのです

この人形振りの場面を、
浄瑠璃【伊達娘恋緋鹿子】
口上があり、
「と~ざいとーざい」

“人形振り”の七之助さんは、
今の今まで血の通っていたお七では無くなり、
お七の形をした“お七人形”となって
目の前にいました。

そしてその人形お七は、
人形であれど、
途中から、
確かに“お七の情念が宿って”
観えたのです。

観る者に鳥肌をたたせる程の、
情念と執念にも近い感情を持った
お七人形に観えたのです。

人形遣い(後見)がまだ引ける前、
人形遣いに支えられながら、
髪を振り乱し櫓の階段を登る様(さま)からが、
まさにそれでした。

そしてそれはなんと言っても、
“中村七之助が命を削って
役に当たっているからだ”って
そんな思いが、
観ているそばから
大きく溢れてきたのです。

降り落ちる雪が
激しくなるのに等しく、
こちらの心も
大きく震わされて…

凄い…
凄い…
この人、命を削ってる…

七之助さんの
役者魂にあてられながらそう思い、
涙が止まらなくなったのです。

凄い…
この人なんて凄いんだろう…
汗汗汗汗汗汗汗汗汗汗汗汗汗汗汗汗汗

汗汗汗汗汗汗汗汗


前半 八百屋の娘・お七は、
泣いたり頼ったり、
弱く可愛らしいお嬢さんだったのに、
後半の【四ツ木戸 火の見櫓の場】の頃には、
いつの間にか強く気丈な、
そして情念の女になっていました

人形遣いが去り、
血の気を戻し生身のお七に戻った、
七之助さんのお七。

火の見櫓に登り太鼓を打つと決めてから、
更に情念深く、
そして静かに狂気していったように
映りました。

降り始めの静かな雪が
だんだん激しく、
狂ったようにバサバサ降り落ちるのと同様、
七之助さんのお七も
徐々に激しく狂っていきました。


“愛しいあの人を守る” 

 “助ける”

狂っていくのは
それ程までに吉三郎を救いたいという思い。

そう、
今 観せられているのは、
七之助さんを通しての、
お七の情念。


このことに尽きる。

だからこそ
こんなに響いてくるんだ。
泣けるんだ。

七之助さん凄すぎる

ゆき着く思いはそこにありました。
だから私は深く感動したし、
今もお七と
七之助さんを思い出し泣けてきます。

感謝が自然に湧いてきます。
中村七之助さん
魅せてくださり ありがとう。

そして、同様に感謝の念が湧くのは
“松竹梅湯島掛額”という演目。

歌舞伎がくれた素晴らしい感動に  
心から感謝の念が尽きません。

人形遣いへの膝乗り
衣装を抜いたり
片肌ぬいだり
髪振り乱し狂気狂乱
人形の横抱き
打ち太鼓引っ張りの決めなど
息を呑むばかり。


“麻の葉柄”
緋色水色の着物は、
今年の壽初春大歌舞伎で
一番の!
思い募る着物になりました。
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七之助さんの芝居に当てられ
帰ってきてからもう一度、
『松竹梅湯島掛額』の演目を拝みたく
あと一度だけ予約した次第。
あと一度を、
大いに楽しみたいと思っています桜
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歌舞伎は素人には本当に深く、
今回覚えたことを最後に記すとします。
・花道に白布を敷くのは、雪道を表している。
・太鼓の音が雪音を表している。
→降りが強いと、太鼓の音も大きくなる。
→その際の三味線は連れ音。

わからないことも沢山あせる
誰か歌舞伎に詳しい人に会って
師匠と乞いたい笑い泣き汗
まずは勉強あるのみといった所でしょうか
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次回はMy楽。
朝から終日、歌舞伎座にこもって、
存分楽しみたいですニヤニヤ桜
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