ライオン チャーミーマジカの解析4 ママレモンとの比較編 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
ノラ犬となった化粧品犬が、面白いと思った情報を発信していくブログです。
化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

化粧品犬です。

3回に渡って、ライオンののチャーミーマジカの解析をしてきました。
今回は第4回として、同じライオンのママレモンとの比較編をお送りします。

ナジカの解析自体は3回までで終わっているので、今回は番外編というか延長戦?な感じで。
同じライオンのママレモンとの処方内容の比較や洗浄力の比較(対決?)をやろうと思います。
今回は、ちょっと盛りだくさんのなので、早速始めます~。

第3回の解析編で、マジカはママレモンの内容を受け継ぐ製品であるという話しを書きました。
ライオン チャーミーマジカの解析3 処方解析編
http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12130341567.html

ちょっと唐突だったかもしれないので、ママレモンの製品概要を簡単に補足しておきます。
今回、化粧品犬が買ったのはこの商品。


ドラッグストアで、800ml/300円ぐらいでした。
他に380ml、1250ml、2150m等の容量設定があります。l
ママレモンって今でも売っているのか?とか、どのメーカーなの?と言う話しも聞きますが、手に入りにくいもののドラッグストアを何軒か回れば買えますし、マジカと同じライオンの商品です。50年前の1966年にライオンから発売されてます。
台所用洗剤としては、ライオンのメインは「チャーミー」と言うブランドに統一されているのですが、少し外れたところにママレモンだけがポツンと(^_^;)、存在している感じです。ライオンのホームページを見ましたが、販促用の特集ページとかも無い(処方は公開されています)、いいハブられっぷりです(^_^;) それにあまり売ってないせいか、POSデータの売上統計にも上がってきませんね。
しかしみなさんもご存じの通り、油汚れに強い事に定評があり、手が荒れることでも有名です。
実は、どうしても器具が汚れていると困る実験をしている、化学系の会社や大学の理系の研究室などでは根強い人気があったりします。
まあ、買う人がいる限りは作るよ、と言う態勢なのかもしれません(^_^;)

さて、マジカはママレモンの血を受け継ぐ商品であると言う話しに戻りまが。
実際に処方を較べてみましょう。いつも通り、処方を整理して、マジカと較べてみます。


では、ママレモンの洗浄剤のパートから見ていきましょう。
ママレモンは直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが主剤です(^_^;)
次の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸は、この未中和物ですね。おそらくpH調整して弱酸性にするために、未中和物との併用にしてあるのでしょう(台所用洗剤は中性で無いと、野菜を洗えないという法律がありますから)。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムは化粧品では、ラウリルベンゼンスルホン酸Naに相当する原料で、脱脂力や刺激性がとても強いため、現在ではあまり使われていない原料です。
それどころか、既に台所用洗剤用にもあまり使われて無いです。ライオンの台所用洗剤のブランドのチャーミーシリーズには、チャーミーマジカの他、チャーミークイックV、チャーミーグリーン、チャーミーマイルド、チャーミー泡のチカラ手肌プレミアム等があるのですが、この原料を使っているのは、ママレモンの他はマジカだけです。
マジカはやはり、ママレモンの直系の子孫と言えましょう(^_^;)

次に多いのが、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム。
化粧品ではラウレス硫酸Naに相当する原料で、特にヘアシャンプーによく使われている原料です。化粧品では、刺激が高いと言うことで非難されやすい原料です(実際に評価するとそれほど強い刺激は無いのですが)。
sかしママレモンの、この、
 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸+ラウレス硫酸Na
と言う構成をいると、おそらくラウレス硫酸Naは全体の刺激を緩和するために、配合されていると考えられますね(^_^;)
いくら意外と刺激が低い原料とは言え、ラウレス硫酸Naで刺激を緩和するって・・。うーん(^_^;)
マジカにも、直系の系の血筋だけあって同じラウレス硫酸Naも配合されていますが(^_^;)、さすがに最新処方だけあって、両性洗浄剤のアルキルアミンオキシドや、ノニオンのポリオキシエチレンアルキルエーテルなど、刺激を緩和する原料が他に豊富に配合されています。まあ、それでも緩和しきれなくて、手は荒れますけど(^_^;)

またママレモンのみに配合されている原料としては、安息香酸Naも配合されているのですが、処方中での役割は防腐剤で無く「安定剤」となっていたので、保湿剤他のパートに分類しました。どうも役割としてp-トルエンスルホン酸のような、相溶効果が想定されているようですね。台所用洗剤は、色々と独特です。
その他、ママレモンの処方のみにポリ酢酸ビニルエマルジョンという原料も配合されていますが、これは白濁剤とのことです。

では洗浄力の比較をしてみましょう。
ライオンさん自体が小学校を回って実演している実験を踏まえ、既に下記エントリーで洗浄性の比較実験をしました。
ライオン チャーミーマジカの解析2 洗浄性能を検証してみよう編
http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12129614501.html

今回もこの洗浄力試験の要領で、実験をしてみました。
実験条件などの詳細は上記エントリーをご参照ください。
結果はこのようになりました。

30秒後
ほぼスタート時点です。ママレモンは、ポリ酢酸ビニルエマルジョンという白濁剤が配合されているため、やや濁っていますが希釈液なので見えない程では無いですね。
写真はありませんがサンプルに浸した直後に較べると、マジカは汚れが浮き始め、ママレモンは汚れがやや細く?なっています。


3分後
マジカは汚れがはっきりと浮いてきてます。ママレモンは汚れは浮いてはいないものの、汚れの線が溶けて細くなっていることが分かります。


意外にも洗浄され具合自体が、がかなり異なる結果となりました。
油汚れが一気に浮いてくるマジカに較べて、ママレモンはその場でどんどん溶けていきます。
ママレモンはそれはそれですごいと思うのですが、食器洗い用としてみたときの印象の良さや、新しさを考えると、やっぱり僅差でマジカの勝ちかな~。
ライオンさんが「ナノ洗浄」と言うコンセプトでマジカを売り出したのも、分かる気がしました。ここまでやって(^_^;)

しかし、微妙とは言えマジカが勝てて良かった。
ママレモンは、処方は若干変わっているかもしれませんが、発売から50年ですからね。マジカがボロ負けしたら、どうフォローしようかと思ってました(^_^;)
ママレモンの強固なファンの方も、多分その仕事はマジカで代替できますよ(^_^;)

というわけで、延長戦に入ってしましましたが、これでマジカの解析は終わりです。いかがでしたでしょうか。

自分では、このマジカ編から始めた洗浄試験が、やってて結構面白かったです。
これからも台所用洗剤はちょくちょく取り上げる予定です。