フランク三浦のパロディ時計は許されるのか? | 知財を活用した「知財ポジショニング戦略」 徹底解説!

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仕組みやモノのアイデア権利化コンサルタント・弁理士 遠藤 和光

フランク三浦のパロディ時計に関して
平成28年4月12日に知財高裁から特許庁が無効とした審決は
取り消されるべきとの判決が出ました(平成27年(行ケ)第10219号)。


 
出典:東京新聞2016年4月14日朝刊


パロディ時計「フランク三浦」を販売している
株式会社ディンクスは平成24年8月24日に登録された
登録商標(登録第5517482号)
 
 
  
を所有しています。


一方、スイスの高級時計「フランクミュラー」を販売している
エフエムティーエム ディストリビューション リミテッドは
「フランク三浦」よりも前に登録された登録商標」(登録第4978655号)
「フランク ミュラー」
を所有しています。



エフエムティーエム ディストリビューション リミテッドは
「フランク三浦」の登録無効を求めて
特許庁に無効審判を請求したところ、
それが認められて平成27年9月4日に無効審決が出ました。

つまり「フランク三浦」は「フランクミュラー」に似ているとして
「フランク三浦」の登録が無効になったんですね。
確かに呼び方(称呼)が似ていますね。


しかし、今度は無効にされた方の株式会社ディンクスは
特許庁がした無効審決は取り消されるべきとして
知財高裁に審決取消訴訟を提起しました。
 
確かに呼び方(称呼)は似ていますが、
見た目(外観)、意味内容(観念)が違います。
また、称呼だけで取引する実情はなく、
称呼の識別性が他の外観、観念の識別性を
大きく上回るともいえないということで
訴えが認められて、平成28年4月12日に
無効審決が取り消されました。

つまり商標「フランク三浦」は商標「フランクミューラ」とは似ていない
とされ、「フランク三浦」は商標法上適法と判断されました。
 

これでフランク三浦のパロディ時計は
認められたと思われている方がいますが、
それは商標法上適法と判断されただけですので、
不正競争防止法では適法かどうかは分かりません。


商標は文字からなる登録商標が対象ですが、
不正競争防止法は文字だけでなく文字盤なども含まれます。
文字盤を見ると両者は似ていますので、
不正競争行為に該当する可能性があるのではないかと思います。


不正競争防止法には、今回に関係すると思われるものとして
次の3つの不正競争行為があります。

①周知表示混同惹起行為(不競法2条1項1号)
周知の表示に似た表示を用いて
混同を起こすような行為が該当します。
周知」とは横浜駅周辺などの一地方で知られていることをいいます。
混同」が起きていることが必要です。

②著名表示冒用行為(不競法2条1項2号)
著名な表示に似た表示を用いる行為が該当します。
著名」とは全国的に知られていることをいいます。
この行為は「混同」を生じなくても該当します。

③商品形態模倣行為(不競法2条1項3号)
商品の形態を模倣する行為が該当します。
混同」は起きていることは必要ありません。
商品を最初に販売した日から3年以内の行為に限ります。
模倣」とは「他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に
同一の形態の商品を作り出すこと」(不競法2条5項)をいいます。


今後フランクミュラー側が裁判を起こすかどうか
気になるところですね。


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