プログラムは特許権?著作権?どっちで保護? | 知財を活用した「知財ポジショニング戦略」 徹底解説!

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仕組みやモノのアイデア権利化コンサルタント・弁理士 遠藤 和光

プログラム特許権?著作権?どっちで保護したらいいでしょう?



まずアプリが作成されるまでの流れを見てみましょう!

<アプリが作成されるまでの流れ>

スマートフォンやパソコンなどのコンピュータで使われる
アプリ(プログラム)は、どうやって作られるか知っていますか?

 

(ステップ1)

まずは大まかな手順(アルゴリズム)を決めます。
小説で言えばあらすじのようなものです。

 

(ステップ2)

次に、アルゴリズムを人間が理解できるプログラム言語である
ソース・プログラムで書き表します。
ソース・プログラムには、COBOL、FORTRAN、
Java等があります。

 

(ステップ3)

次に、ソース・プログラムをコンパイラでコンピュータが理解できる
機械言語であるオブジェクト・プログラムに変換します。
オブジェクト・プログラムは1と0で表現されたものです。



以上のようにしてアプリが完成します。


 




特許法が保護するプログラムは何かを見てみましょう!


<特許法が保護するプログラム>

特許法が保護対象とする「発明」は、特許法第2条第1項で
次のように定義されています。
「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の
創作のうち高度のものをいう。」。
技術的思想」は抽象的な概念のことです。


プログラムも特許法の保護対象の一つになっています。
プログラム
」は、 特許法第2条第4項で次のように
定義されています。
「この法律で「プログラム等」とは、プログラム
(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることが
できるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ。)
その他電子計算機による処理の用に供する情報であつて
プログラムに準ずるものをいう。」

「プログラム等」としているのはデータ構造も
保護対象としているからです。



以上の発明及びプログラムの定義から、
特許法が保護するプログラムは、
抽象的な概念として表現したアルゴリズム
(プログラムの背景にあるアイデア)

ということになります。



次に、著作権法が保護するプログラムは何かを見てみましょう!

<著作権法が保護するプログラム>

著作権法が保護対象とする「著作物」は、
著作権法第2条第1項第1号で次のように定義されています。
著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、
文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」


プログラムも著作権法の保護対象の一つになっています。
プログラム
」は、 著作権法第2条第1項第10条の2号で
次のように定義されています。

「プログラム 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるように
これに対する指令を組み合わせたものとして表現したもの
をいう。」


プログラムは、特許法でも著作権法でも保護対象になっていますので、
プログラムを特許権で保護したらいいか、
著作権で保護したらいいか迷うところだと思います。



特許法と著作権法で大きく異なる点は、プログラムは
著作権法では「表現したもの
」に限られますが、
特許法ではそのような限定はありません。


したがって、著作権法の「表現したもの
」とは、
プログラム言語又は機械言語で表現されたプログラム自体をいいます。



以上の著作物及びプログラムの定義から、
著作権法が保護するプログラムは、
学術の分野に属する思想をプログラムとして
表現したもの(プログラム自体)

ということになります。




<事例>
ここで事例をみてみましょう。

 


例えば、ソフトウェアの開発者のAさんとBさんが
画面上で四角の図形を左上の座標と右下の座標を指定して
作成するプログラムを作ったとします。

Aさんが作ったプログラムを「プログラムA」、
Bさんが作ったプログラムを「プログラムB」とします。

プログラムA、プログラムBが同じプログラム言語を使ったとしても
開発者によって作り方が異なることが普通ですので、
プログラムAとプログラムBは表現したものが異なり、
それぞれ著作権を侵害していないということが生じます。

一方、先ほどの左上と右下の座標を指定して
四角形の図形を作成するというアイデア(アルゴリズム)
を特許権で保護したとすると、
プログラムAとプログラムBは、アルゴリズムは同じですので、
特許権の侵害となります。




<まとめ>

(1)上の事例から分かるように、
<アプリが作成されるまでの流れ>で説明しました
(ステップ1)のアルゴリズムを特許権で保護できるなら、
(ステップ2)のソース・プログラムや
(ステップ3)のオブジェクト・プログラムは、
著作権で保護する必要性は低いといえます。
 

(2)著作権は登録しなくても著作物を創作した時点
発生するので、ソース・プログラムやオブジェクト・プログラムを
登録する必要はないでしょう。

(3)しかし、アルゴリズムを特許権で保護できない場合でも、
著作物を創作した日、権利の移転等の立証が必要な場合には、
登録しておいた方がよいでしょう。

 

著作物としてのプログラムの登録は、下記で受け付けています。

詳細は同センターにお問い合わせください。
 

一般財団法人ソフトウェア情報センター

105-0001

東京都港区虎ノ門5-1-4 東都ビル4F

電話:03(3437)3071




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