いすけ屋


 今日は大したニュースもなく、突っ込みどころがない。唯一、渡辺「みんなの党」代表がとうとう辞任すると発表した。党の代表ともなれば選挙にカネがかかるのはよくわかるので、世話になった「みんなの党」議員が次回の選挙で「これでは戦えない」と言って辞任を迫ったあたり、国会議員の本質がよく見える。別れて行った連中は江田さんを除いてすべて、「みんなの党」の比例代表で拾われた議員であることを考えると、渡辺さんの悲哀を感じる。一応建前は、選挙の供託金は個人負担になっているそうだが、比例代表に名前を借りた人には、党が立て替えるのが当たり前だろう。報道は渡辺さんを悪者扱いだが、私は少し彼に同情的だ。所詮、この世は金を持ってる奴が強いんだから、我々貧乏人が騒いでも何も始まらない。


 さて全く話は変わるが、先週発売の「週刊文春」。我らが大高未貴氏が韓国ソウル大学名誉教授安秉直氏に現地直撃取材を敢行し慰安婦調査のデタラメを聞き出してきた。すでに既読の方もおられるだろうが、ここに、転載する。



現地直撃5時間
慰安婦「調査担当」韓国人教授(安秉直ソウル大学名誉教授)が全面自供!
(週刊文春4月10日号)



「当時の調査方法は全然ダメです」


こじれた慰安婦問題の”原点”といえる九三年の韓国側調査報告。その当事者であるソウル大学・安秉直教授が、五時間にわたる現地直撃取材の末に、ついに自らの誤りを認めた。なぜ虚説は広まったのか。気鋭のジャーナリストの丹念な取材により真相が明かされる――


 「この十九人の証言も、今思えば、本当に事実かどうか自信がありません……」


 韓国ソウル。私の目の前で、その学者はため息をつきながらそう話した――。


 ようやく実現した日米韓の首脳会談で、安倍晋三首相と朴槿恵大統領は握手を交わしたが、会談では歴史問題に関する言及はなく、肝心の慰安婦問題は棚上げ状態のままだ。


 「現在、慰安婦問題が韓日間の外交懸案になっている以上、その解決展望がない限り、外交関係の改善は難しいだろうと思います」


 そう話すのは韓国経済史の第一人者であるソウル大学名誉教授の安秉直氏だ。今年一月、私は韓国に飛び、ソウルに安氏を訪ね、五時間にわたるインタビューを行った。


 彼こそ九〇年代初頭、韓国で慰安婦の実態調査を行った最初の研究者である。こじれにこじれた慰安婦問題の”原点”といえるこの聞き取り調査は「挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)」と共同で行われた。


 二年がかりで行われた聞き取り調査の結果を、安氏と挺対協は慰安婦の証言集としてまとめ、出版した(日本語版『証言 強制連行された朝鮮人軍慰安婦たち』は九三年に明石書店より刊行)。


 本書には慰安婦十九人の証言が収録されているが、これらの証言について、安氏は同書の巻頭「調査に参加して」にこう綴っている。


 〈私たちが調査を終えた十九人の証言は、私たちが自信を持って世の中に送り出すものである〉


 太鼓判を押された同書は、その後、反日活動家たちにとって日本を貶めるための”バイブル”として、この二十年間存在し続けた。この本に収められた慰安婦の証言は様々な形で紹介され、”反日プロパガンダ”に利用されてきた。


「河野談話はおかしい」


 そんな”バイブル”を書いた当の安氏が、今になって冒頭のように十九人の慰安婦の証言の信憑性について、実質的な”調査失敗”を認めたのである。


 この発言の意味は重い。なぜならいま問題視されている河野談話は、安氏らが調査した慰安婦の中でも証言が曖昧だとして切り捨てられた面々の証言をベースに作成されたものだと思われるからである。安氏もこう話す。


 「河野談話が、ただ元朝鮮人日本軍慰安婦からの聞き取り調査だけに基づいて作られたとすれば、それ自体がおかしいのです」


 ストレートに解釈すれば「信憑性に欠ける聞き取り調査をもとに発表された河野談話はおかしい」ということである。安氏ほど慰安婦の聞き取り調査の難しさ、慰安婦の作り上げる虚構の実態を知悉する人間はいない。その安氏はなぜ自らの調査結果を翻したのか。


 じつは、安氏は調査の後、明確に挺対協との活動から一線を画し、独自の慰安婦研究に取り組んでいる。安氏が挺対協と袂を分かった理由とは何か。その”闇”にこそ、この問題を解く重要なカギが隠されていた。


 インタビューのはじめ、安氏は言葉を濁し、明確な回答を避けていたが、取材が長時間に及ぶ中で徐々にその本心を吐露し始めた。彼が言明したのは、自らの調査の否定と、韓国政府の姿勢に真っ向から対峙する見解だったのである。


               *


――安教授はなぜ慰安婦調査に携わったのですか?


 「私の専門は経済学で、中でも植民地経済史が中心です。ですから対象が異なるとはいえ、同時期の慰安婦像の実態がどんなものであったか知りたいと思って調査活動をはじめました。単純な動機です」


――実際には何人の慰安婦から聞き取り調査をしたのですか?


「この本にのっている女性の十九人はすべて会いました。彼女たち以外にも二倍くらいの女性を調査しましたが、証言の前後が矛盾していたり、資料に照らし合わせたら合わないところが多々出てきたので、そういう人は全部はずしました」


「挺対協には近づきたくない」


――どういうところが矛盾なのですか?


 「一人一人違いますから、まとめて説明できませんが、でもちょっと聞いてみたら、そんなことありえないということをしゃべっていました。問題は私が証言調査に携わった際、慰安婦経験(売春)はあるけど軍慰安婦ではないということが、何人か判明したことです」 


 そういって安氏は同書を手にとり目次を眺めながら「この人、今になって思えば間違いです」と強い口調でページの一部を指さした。「勤労挺身隊から慰安婦に――姜徳景」と題された証言である。 


「この女性が挺身隊として富山県に動員されたのは学籍簿を確認したので確かです。ただ、軍慰安婦とはいえません。この女性自身は『軍部隊
で慰安婦として働いた』と証言していますが、当時、日本本土に本格的な軍慰安所があったという主張はおかしい。日本本土には本格的な遊郭

があったので、あえて軍の慰安所を設置する必要はなかった。今、あらためて読み返せばこんな人が何人か出てくるかもしれない……」


 本書の中には、慰安婦たちのショッキングな証言が数多く出てくる。日本兵が刀を抜いて慰安婦を脅し、関係を迫ったり、慰安所の経営者か
ら電気拷問を受けたり、日本兵の求めを拒否して刀で股を剌されたり。飲まず食わずで一日に何十人もの相手をさせられ、衰弱死した慰安婦が山に打ち捨てられるという話まである。死体は草の葉で覆われるだけだったという。


 こうした悲惨な物語は、ソウルの日本大使館前で慰安婦たちが行う過激な「水曜日デモ」や「ナヌムの家」(元慰安婦が共同生活を行うと同時に慰安婦歴史館も併設)などで、今でも慰安婦自らが声高に叫んでいる。例えば、ナヌムの家に入館すると最初に慰安婦の証言ビデオを見せられるが、見終えた時には日本人として生まれたことが呪わしいほどの脱力感に襲われる人も中にはいるだろう。


 これら証言の信憑性を安氏に問うた。


 「ありえないことを喋っている……(苦笑)。最初に聞き取り調査をした際、日本軍を悪く言う慰安婦は、実は一人としていませんでした。むしろ日本への憧れの気持ちを感じた」


――なぜそういった当初の証言が消され、日本軍を糾弾するかたちで過激な表現に変容していったのでしょうか。日本軍を悪しざまにけなせばけなすほど挺対協のような活動家が「よく言った!」と慰安婦を褒め、盛り上がるから?


「そういうところもありますね……。実を言えば、私はもう挺対協には近づきたくないのです」


「慰安婦を利用している」


 言うまでもないが、慰安婦の支援団体である挺対協は現在、日本政府に対して強硬な抗議活動を行っている。水曜日デモをはじめ、ソウル日本大使館前の慰安婦像設置。また、米国各地に慰安婦像を設置している韓国人ロビイストと連携して、国連などにおいて欧米諸国の政府機関の要人の前で、慰安婦と称する女性たちに一方的な握造証言をさせたりしている。いわば韓国における民間の”反日司令塔”なのだ。


――最初に従軍慰安婦だと名乗りをあげた金学順さんの証言も肝心要の部分でたびたび変遷しています。彼女達の証言は、一体どこまで信憑性があるのですか。


 「難しい(首を左右に振りながら)。それは本当に難しい。私は一、二回、いやたとえ十回会えたとしても、短期間に接触した女性の人生の全貌、その事実を把握するなんてことはできません。ましてや慰安婦の場合は……。


 今になって当時の調査方法は、反省してみますと、全然ダメです。理想を言えば、慰安婦問題が社会的に大きな問題となる前に、慰安婦たちと何年か一緒に生活をしながら調査する、そんな報告書なら私は信頼できると思います。人間として付き合うんだから。だが、(一人当たり)一ヵ月か二ヵ月くらいの調査では何が事実か、解りません。でもそれはなかなか出来ない。(慰安婦たちは)挺対協と一緒になってワーワーやっているうちに精神的に汚れてしまったんでしょう。以降、どんどん好きな事ばかりしゃべるようになってしまった。その結果、何が何だか解らなくなって!」


――その流れで、慰安婦たちが海外にまで遠征して一方的な証言をして回っているのでしょうか。実際のところ、証言者たちは静かに余生を送りたいのでは?


 「さあ……どうでしょうか」


――それでも慰安婦が表に出てくるのはなぜでしょう。


 「それは様々な団体が慰安婦経験者は可哀想だといって経済的に支えていることにも原因があります。運動家はそうして慰安婦たちを利用している側面があるかもしれません」


 安氏が指している団体のひとつが、前述のナヌムの家である。過去には米国での従軍慰安婦対日非難決議の旗振り役だったマイク・ホンダ米
下院議員や、慰安婦像設置を決めたロサンゼルス・グレンデール市の前市長クインテロ氏などもここを訪問している。そこに今度は安倍昭恵首相夫人を招待したいと言い出したのだから、開いた口がふさがらない。


――本の中にも出てくる慰安婦たちが主張している強制連行について、今ではどう考えますか。

 「それはあり得ません。動物狩りのような”慰安婦狩り”がもしあったら、社会の秩序が乱れて暴動が起こったはずです。日本も植民地で権力を維持するために(統治に)必死でしたから下手なことはできなかったでしょう。ですから強制連行を主張する挺対協に対し、私は『君たちはこんなことを主張したら、後で困るからやめなさい』と助言したのです。日本軍が無理矢理朝鮮人女性を強制連行したという言説には、最初から私は反対していました。ただ、日本軍慰安婦の動員が戦時動員体制の一環として行われたことは間違いないと思います。広い意味での”強制動員”はあったと……」


 更に安氏は挺対協との関わりについて、また大きなため息をつきながらこう述べた。


 「実は……戦前のみならず、当時(九〇年代)、韓国には売春婦がたくさんいたのです。ですから私は最初、彼ら(挺対協)の目的は、戦前の慰安婦問題だけでなく、現時点で韓国女性が(これ以上)売春婦にならないようにと、何か手立てはないものかという目的で研究をはじめたと思っていたのです。


 ところが彼らは、”日本の帝国主義の犠牲者(=慰安婦)”という枠組みでしか発信せず、慰安婦問題はいつのまにか反日運動と化した。それだけの目的では、私はこの人たちと一緒に働くことはできないと思いました」


 つまり不本意だった安氏の調査報告は、その後、挺対協によって都合良く歪曲され、さらなる捏造証言で膨張し、世界に広められたのである。


性的奴隷状態”?


 だが、そのヒステリックな抗議活動の結果、従軍慰安婦は「性奴隷(SexSlave)」として国連で認定され、国連人権委員会に提出された九六年の「女性への暴力に関する特別報告書(クマラスワミ文書)」に明記された。


 当時、一方的に日本を糾弾したクマラスワミ文書に対して、日本政府も「極めて不当」「歴史の歪曲に等しい」と批判しようとしたという”幻の反論文書”の存在を、四月一日付の産経新聞が報じている。だが、日本政府はこれをすぐに撤回したという。 


――安教授は「性奴隷」という表現についてはどう思われますか。元慰安婦の手記を読んでいると、貯金をしたり、ダイヤを買ったり、日本軍兵士とピクニックや宴会を楽しみ、恋愛して求婚されたりといった実生活が綴られていますが、これでも性奴隷という表現は適切なのでしょうか? 


 「性奴隷、奴隷制度といった言葉は、手錠、足枷をかけて強制連行したようなイメージが浮かびますが、それはありえません。とはいえ、慰安婦達には、基本的な人間としての人権がなかったと思います」


――とは言っても、韓国は「日本軍はアジアの女性二十万人を性奴隷にした」というフレーズを使い、もはや”SexSlave”は国際社会に定着しつつあります。しかし、かつて私が欧米人を取材した際、「貯金をしていた慰安婦もいた」と説明すると彼らは目を白黒させ、「預金通帳を持った奴隷⁉」と笑われました。彼らは実態を知らないのです。


 「たしかに……欧米列強の植民地政策と日本の植民地政策はまったく違うものでした。とはいえ、慰安婦たちが醜業婦として蔑視されていたのも事実です。私が発見した、慰安所に勤めた男性職員の日記から推測するに、慰安婦は就業の許可は容易に下りたものの、廃業の許可は前借金を返済したのちも容易に下りなかった。そういった意味では、”性的奴隷状態”に置かれていたとも言えます……」


 だが、この解釈を敷衍すれば、世界中の売春婦たちも″Sex Slave”ということになってしまう。インタビューに対し、安氏は自分の調査の欠陥や至らなさについて真摯に語ってくれた。しかし、性奴隷という表現については申し訳程度のエクスキューズを付言するしかないのは、彼が韓国で暮らしているからに他ならないだろう。このときの安氏の苦しそうな表情がすべてを物語っているように思えた。


 反日無罪の国柄である。○二年に「親日派のための弁明」(草思社)という本を上梓した金完雙氏は、日本の植民地統治を美化したというだけで裁判所から罰金刑を命じられたり、一般人からは暴行を受けたりもした。安氏自身も以前、韓国のテレビ番組に出演した際、「日本軍による慰安婦狩りのようなことはなかった」と発言しただけで猛バッシングを受けている。安氏について、知日派として知られる韓国政府高官ですら、筆者の取材に「彼は親日派ですから学者としてはあまり評価されていない」と平然と言い放つ。取材のたびに私は韓国社会の病理を垣間見せられた気がしたものだ。


 だが、こうした韓国の”病理”にどこまでも付き合う義理はない。今回の安氏の告白により、さらにずさんな調査に基づいた河野談話の根拠薄弱が一層明らかになったのも事実だ。いまこそ日本政府は慰安婦証言の”実態”を調査し、偽りの友好関係に終止符を打つべきではないか。