仮想通貨のビットコイン推進派は、ビットコイン市場の取引量を増やし、極端な価格変動を抑えるためには、機
関投資家の参入や投資商品の導入といったより高度な投資環境が必要だと訴えている。異常に大量の売り注文な
どで、5日と6日のビットコイン価格が乱高下したことはその必要性を浮き彫りにした。

 コインデスクのビットコイン価格指数によると、ニューヨークでは6日夕方時点で3.69%高の331.45ドルで取
引されていた。アジアでは7日午前に301.29ドルまで下げたが、5日にオンライン市場で見られた売り圧力が少し
ぶり返したためだ。同日は一時286.56ドルまで急落した。この価格は昨年11月30日に記録した最高値の1165.89ド
ルを約75%下回るが、それでも昨年の今頃につけていた約99ドルの3倍近くの水準だ。
 
 価格急落のきっかけは、5日午前にスロベニアのビットコイン取引所大手のビットスタンプで1ビットコインに
つき300ドル、計3万ビットコインの売り注文が出たことのようだ。これは同取引所での通常の取引量の2倍に相
当する。この注文はその後、取り消されたものの、売り注文はさまざまな水準で繰り返された。

 この900万ドル相当の売り注文に動揺した投資家がビットコインから手を引いた。Bitcoinwisdom.comによると
、同社が調査対象としている12のビットコイン取引所での総取引量は米東部時間6日午後1時までの24時間で約64
万と、過去30日間の一日平均取引量の3.5倍余りに達した。

 市場分析会社Coinprices.ioの共同創業者で編集責任者のマット・オデル氏は、誰もが参加できる取引所での
売り注文は、大手投資家が価格を操作しようとしていたことを示唆すると指摘。合法的な持ち分売却を望む賢い
投資家であれば、価格が自分に不利に動くことを避けるため、取引活動が表に出ない店頭市場で売却しただろう
と述べた。

 極端な価格変動を防ぐ一つの方法は、より規模の大きい投資家を市場に引き込むことだ。機関投資家や裕福な
投資家が関心を持ち続けていることは多くが指摘するところだが、これまではインフラが十分に整っていないた
めに市場には参入してこなかった。

 ニューヨークに拠点を置くビットコインのデリバティブ(金融派生商品)販売業者ソリッドエクス・パートナ
ーズはこの問題に取り組む新興企業の1社だ。同社は顧客のヘッジファンドからの要望を受け、ドル建てのトー
タル・リターン・スワップを開発中だと述べた。実際にビットコインを保有することなく取引を可能にする、こ
うした馴染みある商品を投資家に提供することで、ソリッドエクスはビットコインの価格変動を抑えることがで
きる「別個の資本プール」を市場にもたらすことになる、とダニエル・ギャランシー最高経営責任者(CEO)は
述べた。
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