2017年に見た映画総まとめ9月の巻! | 冷やしえいがゾンビ

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めっきりノータッチですが、メインは映画に関する垂れ流し。

9月に見た映画は


新感染 ファイナル・エクスプレス

トリガール!

ダンケルク

スイスアーミーマン

オペレーションクロマイト

ドリーム


の6本。少ない!



新感染 ファイナル・エクスプレス


韓国初の大作ゾンビ映画。高速列車KTXの車内で謎の感染症に冒された人々が凶暴化、釜山へ向けて発進した列車の車内は阿鼻叫喚の地獄絵図と化す。娘と2人で列車に乗っていた主人公ソグ他、様々なキャラクターが必死に生き延びようとするが…


感想が長くなったので別ページにまとめました。

https://ameblo.jp/ez-chill/entry-12342031088.html


☆☆☆☆☆☆

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トリガール!


鳥人間コンテストを題材にした小説を土屋太鳳主演で映画化。日本女子体育大学卒のフィジカルエリートがいかにその資質を見せつけるのか?


予告編からしてノリの良いギャグが飛び交っていたのですが、それどころか冒頭から最後まで全編ギャグ連発のスーパーコメディ映画でした!リスキーな作品でリスキーなキャラを演じきった土屋太鳳さんについては一気に大好き化。他にも多くの才能に出会えた映画です。


英勉監督の作品は初めて見たのですが、コメディへのこだわりが強い方のようで、批評家方面から支持されるタイプではない。しかしこの映画は素直に笑える上質なギャグがたっぷり詰め込まれていて楽しい。素っ頓狂なワードギャグの連発に苦笑い…みたいな低レベルなものではないです。


小説が原作だけにクライマックスに向けた山の作り方も上手いし、この企画に土屋太鳳、高杉真宙、間宮祥太朗という有望株をキャスト出来たのもクオリティアップに貢献。この三者による三角関係のラブコメ要素も壮大な笑いのフリにするのには感動。


鳥人間コンテストに向けた身体的なトレーニングのほとんどが自転車に乗って行われるらしいですが、実際にペダルを漕いでいる土屋太鳳と間宮祥太朗の2人がものすごく頑張っているように見える。


本番の鳥人間コンテストシーンも、心臓バクバクで肺が悲鳴をあげるまで頑張っている、ように見える。土屋さんは当然として、間宮祥太朗もすごく魅力的でした。こんなにいい男でスタイルも良いし無骨なキャラを見事に演じていて、彼の初主演作『全員死刑』への期待が高まりました。


ギャグ・笑いへの異常な執念と巧みなシナリオが合致した今作、今年の邦画でもトップクラスに好きです。大正義・土屋太鳳バンザーイ!!☆☆☆☆☆

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ダンケルク


クリストファー・ノーランの新作。第二次世界大戦当時、フランスのダンケルクから連合軍兵士の全軍を撤退させた『ダイナモ作戦』を3つの時間軸から描いた。


始まりから終わるまでの尺が異なるドラマを同時に描写しながら1つのクライマックスへと収束させる離れ業映画。その試みについては文句を言わせないレベルで成功していると言える。


しかし、そこにカタルシスをどれくらい感じ取れるかは個人の好みに左右される部分。個人的には全体を通して気持ち良く見られたし興味深かったです。


戦争映画だけど流血や人体破壊を描かず、むしろ避けるような展開にしているところにこそ、ノーランの意思が貫かれているとのだと思います。ゴア描写へのアンチテーゼ。身体が壊れるのとは別種の恐怖が戦場にあったんだ!という事を表現する事への執念を感じました。実際あんな目に遭ったら超怖いぜ…


ノーラン独特のエモさも健在で、それを表現した俳優陣の演技にも陶酔しました。特にマーク・ライランス。ただの船員が、誰よりもカッコ良かった。こういうドラマを続ける事に対する信念、ノーランにはいつまでも持ち続けてほしいものです。☆☆☆☆☆

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スイスアーミーマン


スイスアーミーナイフのように便利な男、スイスアーミーマンをダニエル・ラドクリフが演じた珍品映画。主演は珍品俳優、ポール・ダノ。ダニエルとダニエルが組んだコンビのダニエルズが脚本・監督…この時点でわけわかりませんね。


設定からして面白すぎるので出オチ感もあったのですが、後からどんどん驚きが増していくため自分がこの映画を侮っていた事に気付かされます。最初の設定がぶっ飛んでるとはいえ、後半の展開をなんとなく予想しながら見るのに、いつのまにかこの映画は「映画動体視力」を上回るスピードで走り始めます。思考が追いつかない。


鮮烈なのはビジュアル面の作り込み。ダニエルズのアート感覚を驚くほどアナログな手法で撮りながら怒涛の勢いで見せていく編集。良い意味で笑えない領域に踏み込んでいきます。


理屈が通ったシナリオではないため、言葉でこの映画を評するのはすごく空虚に思えるのですが、とりあえず予告編だけでもチェックしてほしい。魔球のごとき映画です。☆☆☆☆★



オペレーション・クロマイト


イ・ジョンジェ主演のスパイアクション。1950年、北朝鮮に占拠された仁川を国連軍が奪還した作戦の映画化。


香港映画『オペレーション・メコン』に対して、こっちは今一つだったなぁ…という印象があったのですが、当時のTwitter見てみると


戦争アクションに潜入サスペンスが加わったパワフルな韓国映画。期待していたものは見せてくれたけどアクションやシナリオで驚く場面は少なかった。シルミド的な破滅の美学を内包しながら辿り着くラストには涙腺爆発。マッカーサーと一緒に心の中で敬礼!


と書き残していました。『シルミド』や『孫文の義士団』のような命がけ作戦ものって大抵面白いですけど、今作も手堅く泣かせてくれる。


バレるかバレないかサスペンス、香港映画チックな激情ガンファイトなど、熱量高めの展開。それを盛り上げるのは北朝鮮軍の幹部役イ・ボムス。憎たらしさならイングロリアル・バスターズのクリストフ・ヴァルツに匹敵。しかも戦闘力も高いガチ軍人。最後まで主人公を追い続けてきます。


去年出会った女優シン・ヒョンビンさんも良い役で持ち味を発揮。見ていて飽きなかったです。イ・ジョンジェも気合い入ってたし、リーアム・ニーソンがマッカーサー役!色々と見応えのある大作でした。☆☆☆☆★



ドリーム


アメリカ航空宇宙局NASAの宇宙有人飛行実現に貢献した黒人女性たち。彼女らの苦難を描いたノンフィクション書籍の映画化。隠され、正しく評価されてこなかった英雄たちのドラマに光を当てる。


主人公的なキャラクター3人が、NASAという組織の中で自分なりに成長し、それぞれ違う方法で評価を上げていく過程を鮮やかかつポップに描いていくシナリオ。見事。プライベートで恋をして結婚する…映画として普通な場面でも、黒人女性を主軸に描くとものすごくハッピーな瞬間に見えるから不思議です。


しかし彼女たちが働いていたのは理不尽としか言いようがない環境であり、しかもそれが当時の共通認識・常識だったところがやりきれない。その中でめげずにいじけずに、プライドを内に秘めながらベストを尽くす主人公たち。好感を抱くに決まってる!


カタルシスが爆発する流れも複数用意していて、そのほとんどが「差別行為が廃止になった瞬間」であるところに、この映画が作られた意義があるように感じます。差別はくだらないもの、不合理なもの、そんな意識を自然と持たせてくれる構造的な工夫。


黒人女性である主人公たちに対して最も理解を示してくれた白人男性キャラが宇宙飛行士のジョン・グレイであるところも気が利いてる!この辺りの描写は原作通りなのか、気になるのでいつか読んでみよう。


アカデミー賞常連の黒人俳優陣に加えてケヴィンコスナー、キルスティンダンストなども持ち味を発揮しまくり。シナリオ、演技、今こそ向き合うべきテーマ性。普遍的な価値を持った名作だと思います。見て損はないです!☆☆☆☆☆

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9月の巻、終わりです。あと3ヶ月分。

8月の巻、ここです。

10月の巻、こっちだよ!

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