新感染 ファイナルエクスプレスについてのネタバレ感想 | 冷やしえいがゾンビ

冷やしえいがゾンビ

ブログタイトル変えました(17/05/07)。映画についてのブログ。

釜山行き(Train to Busan)についての感想を書いていたら長くなってしまったのでページを独立させてみましたが、それはそれで書き足したい事が山ほど思い浮かんでしまう。とにかく素晴らしいゾンビ映画です。日本語タイトルは新感染ファイナルエクスプレス、ですが。

予告編を一見しただけでゾンビ映画として圧倒的に面白そうなのは明らかだったのですが、その後も世界有数の映画作家や批評家が大絶賛。日本公開を待ちに待って、アメリカのiTunesストアで配信版が既に発売されているにも関わらず国内での上映を待ち続けた末の観賞。


大満足。文句なし。さらには「そういう感動を盛り込んできたか!」という感心も加わって、最高の余韻に浸れるゾンビ映画でした。見てない方は絶対見たほうがいい!日本版タイトルには怒りさえ覚えましたが、けっこうヒットしたみたいだし結果オーライとしておきますか!


複数の視点から描かれることで重厚に仕上がったドラマ性、人物が危機をどう切り抜けるかに頭を使う戦略・ゲーム性、次から次へと襲いかかるゾンビによって成される光景のスペクタクル性。どこから切り取っても新鮮で、隣国から生み出された映画とは思えない。


あえて言うなら人体破壊・破損などのゴア描写が抑えめ。我々が韓国映画に期待しがちなハードコアっぷりは描写を避けている。レーティング対策の結果なのでしょうが、 ゾンビ単体を破壊しても意味が無い状況をセッティングして違和感を減らしているのです。高速列車という筒の中をゾンビという「ところてん」が浸食していくような構図なので、ゾンビ映画の定番会話「脳を破壊しなければ奴らは死なないんだ!」という説明も不要としている。上手い。


群像劇ばりに多様なキャラとカップリングが列車内ではぐれ、そのパートナーが自分にとってどれだけ大切な存在かに気付いたのちに再会する。この流れの作り方も無駄がなく的確。あんなに大切だった人が、ゾンビ化によって変貌してしまう…というゾンビ映画の必須エモにも事欠かない。


それらの見せ方も単に感傷的に見せるでもなく、マ・ドンソク演じる筋肉パパの男らしさとか、老姉妹の絆の強さを展開のテコに使ったり、カップル未満の両思いカップルを超あっさり描いて儚さを表現したり、バリエーション豊富。ある意味詰め込みすぎとも言えますが、韓国でゾンビものなんて滅多に出来ないんだからやれる事は全部盛り込むのが正解。


前半で何気なく提示した情報を伏線にする技量も見事だし、それによって人類に救いを与えるオチも見事すぎ。2017年を代表する映画の1本としていつまでも記憶したい。


{31D7B8CC-8009-4546-998B-E742728BD78A}


2017年に見た映画総まとめ9月の巻!