8月に見たのは
エブリシング
俺たちポップスター
ワンデイ悲しみが消えるまで
トランスフォーマー 最後の騎士王
スパイダーマン:ホームカミング
RE:BORN
ベイビードライバー
HiGH&LOW 2 END OF SKY
LUCK-KEY
ワンダーウーマン
ELLE
の11作品でした。
エブリシング
先天性の免疫不全で自宅から一度も出た事のない主人公が、隣に引っ越してきた男子と窓越しのコミュニケーションを取るうちに恋に落ちるラブコメ。小説原作らしいです。
いかにもヤングアダルト小説ベースのかったるい映画。若い頃の衝動的な恋愛なんてやりたいだけ、したいだけなのに、その恥ずかしさを悲劇性とか運命とか不治の病でドラマチックにしてるつもりの幼稚な内容。
理由もなく、ひたすら愛してくれるだけのスカスカなイケメン君描写が見るに耐えないレベル。アメリカの女子中学生なら感動したかもしれません。☆★★★★
俺たちポップスター
ジャド・アパトー製作のアメリカショービジネスコメディ。3人組ラップグループ・スタイルボーイズの没落と再生を描く。
ジャドアパトー印だけにコメディの要所は抑えてある。流れがあってクライマックスとオチがある。90分で終わるからテンポも良い。
しかしアメリカ音楽業界についての知識がなさすぎて、あるある要素を含むギャグがいまいち理解しきれていない。実在のアーティストも多数出演しているのですが、顔も名前も知らないスター達のボケを知っているテイで語られると冷めてしまう。またも見る映画を間違えてしまった。☆☆★★★
ワン・デイ 悲しみが消えるまで
韓国映画。メインに『ハン・ゴンジュ』『コクソン』のチョン・ウヒが出演。保険会社に勤める主人公がとある病院に通い続けるうちに1人の幽霊と出会う。彼女は同じ病院で昏睡状態になっている患者だった。
幽霊ものだけどコメディ感は少なく、割と静かなムードの映画。保険屋が幽霊との交流を経て徐々に変化を遂げていくのと同時に、チョン・ウヒ演じる幽霊がどのような人生を辿って病室に行き着いたのかを語っていく。
チョン・ウヒは近い将来に韓国映画界を背負って立つ存在になる人だと感じさせてくれる卓越した演技を見せてくれます。特に悲哀を帯びた演技が似合う女優なので幽霊役もピッタリ。芯のある演技あってこそ成立する映画だとも言える。
韓国の幽霊ものといえば『ハロー!?ゴースト』が有名ですが、あの名作のクライマックスに近いレベルで今作も泣かせてくれます。私も映画館でボロボロ泣きましたし、他のお客さんのすすり泣く音も聞こえてきました。真相を明かすパートはミステリー的な構成になっていて、そのせいで感動が一気にやって来ます。ズルい。
まだあどけなさも残しながら迫真の演技を見せるチョン・ウヒ、多くの人に是非とも見ていただきたい天才です。☆☆☆☆★
トランスフォーマー 最後の騎士王
マイケル・ベイの主戦場トランスフォーマーシリーズ。アメリカの良心的マッチョことマーク・ウォールバーグが主役で続投。
満足!シリーズのファンでは無いけど満足感ありあり。編集が下手でストーリーもアクションもかなりスポイルされてますが、展開の熱さはかなり好き。だってアレが変形してアレになるんだぜ!?クライマックスもフリ回収しきってた!
とTwitterに書いたのですが、アレという代名詞が何を指し示すのかはよく覚えていません。でも面白かったのは確かです。ラストは空中に出来た敵の本拠地にみんなで乗り込んで、友情と勇気で勝利した気がします。☆☆☆★★
スパイダーマン:ホームカミング
単独シリーズの前に『キャプテンアメリカ/シビルウォー』で登場していた新生スパイダーマン。単独シリーズとして一作目となったのが今作。主人公ピーター・パーカーはハイスクールに通っている年齢で描かれている。
ざっくり言うと、シナリオはかなり上手いと思います。「前のスパイダーマンも良かったけど、これはこれで魅力的だね!」と思わせるだけの説得力はある。等身大で、当たり前の事に悩む高校生とスパイダーマンというヒーローの同居。
しかしアクション面はおおむね駄目。特に戦闘シーン。スロー再生すれば面白いのかもしれないけど、普通に見てても流れのデザイン性がさっぱり分からない。監督もアクションスターとしてのスパイダーマンには興味ないのでは?
脇役もヴィランも魅力的ですが、サム・ライミのような総合的な設計センスには及んでいないように思いました。楽しかったけども。☆☆☆★★
RE:BORN
坂口拓改めTAK∴主演の超本格アクション邦画。監督はアクションデザイン・監修を多数手がけてきた下村勇二。軍隊での指導経験もある稲川義貴がスーパーバイザーとしてゼロレンジコンバット理論を導入。アビス・ウォーカー役として出演もしている。ネット戦略も手伝って期待のハードルが上がりまくった状態で観賞。
アクション面は本当に素晴らしい。世界中でただ1人、稲川義貴しか把握していない武術戦闘理論を、坂口拓という異質のアクション俳優が長期間の修練の末に会得、実践しながら映画に出演している映画。肩甲骨をグルグル動かしながら敵を次々と殺害していく光景はビジュアル的にも異質で映画に映える!
しかしストーリー面は物足りなさを覚えました。見ていて燃え上がるような展開を感じられず、やきもきしながら映画の結末を見つめるような。流れを冷静に整理するとしっかり作られてるとは思うんですが、武士道精神などを盛り込んだと言われると、ゼロレンジコンバットという素材をもっと効果的な形で伝えて欲しかったなー惜しいなー!と思うのです。
人を刺し殺した割り箸で平然と弁当を食べたり、キャラクターを光らせる手法はかなり手が込んでましたが。
しかしアクションは凄い。世界トップクラスというか、世界で誰にも描けない、誰も踏み込んだ事のない領域のアクションですからね。
しかしゼロレンジコンバットの理論についてまったく説明してくれないので、敵を前にして肩甲骨グイングインしてるのが単に奇妙な動きになってしまっている。攻撃のためか防御のためか、威嚇によって精神的な優位に立つためなのか。多少なりとも解説して良かったのではないかと。
というわけで、非常に非常に惜しい作品でした。☆☆☆☆★
ベイビードライバー
エドガー・ライト監督のオリジナル企画。天才的な運転手ベイビーは強盗集団の運転手としてその才能を発揮していたが、彼にとってそれは不本意な日々だった。
この作品も、まだ消化しきれていないという自覚があります。印象に残っている場面は沢山あるし、音楽と完全にリンクしたアクションシーンという手法は唯一無二の楽しさに満ちていますが、見ている最中は心のどこかでポカーンとし唖然としている部分がありました。
物語のテイストとしては大好きなタイプなんです。恋をした、その相手を守りたい、守るために自分に何ができるのか葛藤する、葛藤を乗り越えた結果彼女を守ることには成功するが、自分自身は望まない境遇に陥ってしまう。オチも含めて好きだ。おそらく予告編からはここまで深いドラマになると予測できていなかったがゆえの戸惑いがあったと思います。
主人公がベイビーと呼ばれる理由が、作品内のキャラクターにとって意味があるのと同時に、物語のドラマ性を高めるためにどうしても必要とした名前である点も、ダブルミーニング的にアツい。いまどき、そんな真面目にシナリオ書いてる監督がどれだけいるだろう?
戸惑いはあれど、やはり奇跡のような傑作であり、めちゃめちゃポップなクライムアクションであり、なおかつそれがオリジナル作品である点も踏まえると、今年ベスト級の映画であると言わざるを得ないのです。何度も見て理解しなきゃいけない作品だ。☆☆☆☆☆
HiGH&LOW The Movie 2 : END OF SKY
EXILEなどLDHファミリーが大挙して出演した自作自演アクション映画。スピンオフを含めると映画としては3本目。SWORD地区と呼ばれた地域の秩序を守ろうとする若者たちの戦いを描く。
なんか凄いものを見たなあ…という印象だった1作目、なんだよこのダラけた鈍重展開は!と激憤したスピンオフ。期待と不安を同居させながら見に行ったのですが、「こういうのを待ってました!!」と大興奮する結果に。想像を飛び越えての大傑作でした。
誰が見ても認めざるを得ないのはアクションシーンのクオリティの高さ。演者の多くがダンスパフォーマンスを生業にしているLDH所属タレントだけに、身体能力の高さは申し分ないものの、そのポテンシャルを生かしつつキャラクターとしての個性・カッコよさ・説得力を持たせる事に成功。製作チームの尽力に敬服。
特に興奮したのはバイクとワゴンのチェイスシーン。某キャラクターが唐突にカツラをかぶっている事からスタントマンの頑張りがバレバレとはいえ、この映画は世界トップレベルのアクションに挑戦している!と強く感じられました。そこでやってる事はノートパソコンのEnterキーを押せるかどうかという小っちゃい話なんですけど。
さらにはクライマックスの大乱闘。SWORD連合軍とMighty Warriorsが満を持して激突した映画1作目も最高でしたが、今作ではWhite Rascals対Doubtの戦いが始まりーの、途中で別のチームが次々と参戦するロイヤルランブル式。登場するだけで盛り上がるし、登場して乱入する場面そのものが見せ場になる。過去のヤンキー映画にもあった手法かもしれませんが、こういう些細な工夫で映画はいくらでも盛り上がる。
乱戦によって派手な見せ場を個人ごとに用意して「あのキャラも活躍してくれた」という印象を残しながら、個と個がぶつかり合うタイマン構造をいくつかセッティングするのも良い。その中でもとりわけ素晴らしいのがコブラ対ジェシー戦。このマッチメイクが実現した事が今作の成功につながったと思います。
体格もファイトスタイルもスピードもイケメン指数も同格の2人が見せる戦い。るろうに剣心風の低空バトルはノーカット版が見たいくらいのワクワク感。これに比べるとRascalsとDoubtのトップ対決やノボル対フォー戦は正直クオリティが下にも思えるのですが、とにかく乱戦クライマックスは必見のクオリティ。
話運びもシンプルで分かりやすく、ギャグのために存在する無駄なシーンも少なく、クライマックスに向けてハイテンポに進行。シナリオとしての出来は一気に向上してました。リアリティがないとか荒唐無稽なのは言わずもがなとはいえ、作劇・話法としての質が過去作とは段違い。
クライマックスを終えてなんとか勝利したSWORDの前に立ちはだかるのは完全に大人な黒社会組織として国を牛耳っている九龍グループの幹部。「次回作でSWORDと九龍が激突するのを匂わせて今作は終わるのか…」というイヤな空気を作って、そこから主人公コブラによる宣戦布告!ヤクザ幹部に前蹴り!やるのか引くのか、観客に固唾を飲ませておいての前蹴り!クライマックスの感動をさらにカラッと晴れ晴れしいものにする最高のラストでした。
特筆すべきディティールは山ほどあるのですが、とにかくハイロー2は日本映画史に名を刻むに値する最高傑作です。EXILEの映画なんてしょせん駄作…そんな風にナメてる人達は映画の可能性をもっと信じてほしい!希望に満ちた映画ですよ。☆☆☆☆☆☆
LUCK-KEY
日本映画『鍵泥棒のメソッド』を韓国でリメイク。主演はユ・へジン。銭湯ですっ転んで記憶を失った殺し屋と、その殺し屋に成り代わる三流役者を描いたコメディ。
元の日本映画は見てないのですが今作はとても面白かった!映画館で笑い声を上げた回数で言うとベスト級。韓国一のおもしろフェイス持ちユ・へジン兄がとにかく素晴らしい仕事っぷり。
数々の映画でコメディリリーフを担ってきたユ・へジンが今作で演じているのは、真面目で堅物で笑顔も少ないが、礼儀正しく律儀で誠実な人物。そんな男が成りゆきから役者になろうとして必死に努力を重ねる展開は、見ていて誰もが好感を抱いてしまう。
そして中年男性が売れない役者から売れっ子俳優になっていく過程がとても分かりやすくて気持ちいい。どういう仕事であれ、精一杯頑張れば誰かに認めてもらえる。当たり前のメッセージが心地よいです。
ラブコメ展開や、殺し屋人生を生きようとする役者側の葛藤なども描かれるのですが、日本映画版とは違うバランスの今作はユ・へジンの魅力を大きく引き出し、映画としても成功している。ラストはご都合主義だけど、見たかった結末が見られてハッピー。優秀なコメディ映画でした。☆☆☆☆★
ワンダーウーマン
DCコミックス系スーパーヒーロー映画。不振が続いていたDC映画の業績を一気に回復させるメガヒットとなった。女だけの島で暮らすプリンセス・ダイアナの覚醒と奮闘を描く。主演はイスラエル出身のガル・ガドット。
女性監督パティ・ジェンキンスが長年温めてきた企画だそうで、ガル・ガドットという最適な女優が現れたことでまごうことなき化学反応が発生。作劇も演出もハマりまくった結果、世界が待ち焦がれたスーパーヒロイン誕生譚が生まれた。
かなり評判が高く、期待を膨らませていました。その期待には十分に応えてくれたし満腹だったものの、映画を見ていて見えてきた流れの中で「なるほど、だったらこっちの方向へ行ってくれると最高だな」と感じた展開にはなってくれなかったです。
アクションシーンはなかなかレベルが高く、特に序盤のアマゾネス軍団vs.ナチスドイツ軍の乱戦についてはフレッシュな描写が多々見られ、心の中でどんどん加点されていきました。強熟女世界ランク2位ことロビン・ライト様のたたずまいと戦闘能力には感服。
主人公ダイアナがロンドンの街に溶け込んで必死に秘書のフリをするシークエンスは、ダイアナのキュートさを引き立てながら、ローマの休日的な世間知らずお姫様ものとしてテンポ良く状況を説明していてめちゃめちゃ楽しいくだり。
しかし戦闘シーンについては完全にワンダーウーマンの1人舞台になってしまってるのが残念でした。クリス・パイン演じるパイロットキャラの貢献はうまくまとまってるとしても、わざわざ能力を買ってスカウトした弱気なスナイパーキャラが何も活躍せずに終わったのは残念の極み。ちっぽけな人間のささやかな勇気を盛り込んでも損は無いはず。
ラストバトルのタイマンもいまひとつ印象に残らず、最高だーー!!という終わり方にならなかったのが自分でも意外でした。それにしてもガル・ガドットは最高of最高。これからも映画館へ彼女に会いに行き、しかめっ面で蹴り飛ばしてもらい続けたいです。☆☆☆☆★
ELLE エル
ポール・バーホーベン監督が世界をどよめかせた話題作。社長として18禁アダルトゲームを切り盛りしているエルは突然自宅に押し入った男にレイプされる。順調と思われた彼女の人生に不穏なムードが漂い始める。
よくわかりません!ごめんなさい!と土下座1発で済ませたい作品。テンポ良く提示される情報を飲み込んでいるだけで退屈はしないのだけど、展開に驚くほどぶっ飛んでもいないし、異様な方向転換がスクリーンで成されてもどういう意図があるのか・何を思わせたいのかすら理解出来ないことが多く、面白さを見出せるスキが無かった印象。
映画における性差別、ハラスメントに対するアンチテーゼになる作品だとは思うのですが、問題提起になっているのかさえ分からない。もう何もわからない。イザベル・ユペール様はお美しい。☆☆★★★
以上、8月のまとめでした。
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