FM acoustics FM811 | 禁断のKRELL

禁断のKRELL

ハイエンドオーディオやヴィンテージオーディオを語っていきます。

 

 

 

FM acoustics FM811 ステレオパワーアンプ スイス連邦 1990年 \5,800,000

 

 

 

 

 

 

頂きを極める

 

 

 



20世紀の最高峰、圧倒的な確かさで他の高級ブランドとは一線を隔する音。
まさに頂点を極める存在。強靭で清澄な透明感、見通しの凄く良い
鋭敏で硬派な切れ味を聴かせる。ヨーロッパの陰影感がある。
異様ともいえる凄まじい低域駆動力はミクロン単位で大口径ウーファーを精密駆動する。
強大な音圧感がありながら音像は一糸乱れず、ビシッとした盤石の安定感。
恐ろしいまでの精巧さがある。陰影が豊かで暗めの明度であるが中毒性のあるの音と
喩えられる麻薬的な美音は真空管の音色に近い。高域~低域までタイムディストーションのない
信号波形の時間軸情報の恐ろしいほどの正確性。FMの凄さは細かい部分の情報量がかなり
多いのだが、それが音楽との一体感を失わないところ。 FM社では重要なパーツを徹底的に選別。
ミリタリーグレードや特注部品が中心でトランジスタやボリュームは40~90%が不採用になる。
特にトランジスタは回路構成上組み合わせ特性が重視される事で一個一個カーブトレーサーに
よってチェックされる。残りの部品は工業用として再販される。抵抗やコンデンサーで調整して
ばらつきを補正して使うのではなく、ベース部分から特性の揃ったものを
使おうとする設計思想である。その成果は反応が速く小気味が良い音にあらわれている。
FMの音はmoduleと回路で作られている。プリアンプとパワーアンプは
それぞれ全て同じmoduleが使われているがモデルによって音色の明度に大きな違いがあるのは
回路設計による音質チューニングの差ではないかと推察される。パワーは同一モデルでも
ランニングチェンジにより、硬調でソリッドに締まった低域を持つ個体や低域の量感があり、
柔らかい質感を持っているものも存在し、出荷年度が一年違うとトランスの大きさが違ったり
同一モデルでも重さに大きな違いがあったりする。高温多湿、禁煙環境、過負荷連続運転による
音質の劣化を考えると、高額であるだけにFMはできれば実際に聴いてから購入したい。




実効出力パワー:440W×2(8Ω)、750W×2(4Ω)、1350W×2(2Ω)

入力感度/インピーダンス 1.6V40kΩ (平行/不均衡)

SN比 115dB ダンピングファクター400 消費電力2900W (実行出力時)

外形寸法:446W×248H×550Dmm 質量:45kg




※本インプレッションはステレオサウンド 89~91年号から一部文章を引用しています。