第85号 千曲川氾濫の原因は長野オリンピックだった! | 燃え上がれ!NATTO-TIMES 21st century

燃え上がれ!NATTO-TIMES 21st century

弱きを助け、強気を挫(くじ)き、子孫に未来を繋(つな)ぐため、
アーティスティック・インストラクター:ツッキーが、
知られざる世界を、薫り高く、粘り強く語る、炎のブログ

9月9日(月)に上陸した颱風15号ファクサイ、10月12日(土)に上陸した颱風19号ハギビス、さらに25日(金)の亜熱帯低気圧による記録的豪雨は、各地に甚大な被害をもたらしたが、「八ッ場(やんば)ダムが氾濫を防いだ」だの、「二子玉川には堤防がなかったため、氾濫した」だの、悪質なデマが流れているので、徹底的に反論しておく

 

いやいや、俺にそんな立派なことができるわけもないが、こっちには強―い味方のお姉(あね)ぇさん、お兄(あに)ぃさんがいらっしゃるのよ。お一人はジャーナリストの、まさのあつこさん。2015年の鬼怒川決壊、去年の西日本豪雨でもテレビや新聞が報じない真実を報告してくれました。もうお一人は、拓大教授の関良基さん。水の専門家であると同時に幕末史から消された偉人、赤松小三郎を発掘するといふ貴重なお仕事をされてゐます。

 

このお二人のロングインタビューの聞きどころを解説するので、よく聞いてよ。Iwjインタビュー動画はこちら。

まさのあつこ氏インタビュー:https://bit.ly/2NGyYNb

関良基氏インタビュー:https://bit.ly/2PIWOKB

 

まずは、まさのあつこ氏の報告。その一、千曲川氾濫

 

まさの氏は、週刊金曜日2007年3月30日号で、「浅川ダムによる水位低下はたった5ミリメートルしかない」と指摘し、月刊世界2012年2月号でも浅川ダムにまつわる疑惑を報告してきたが、今回実際に起きた氾濫は、これらを裏付けるものとなった。

 

浅川は千曲川の支流で、その名の通りふだんは浅く、千曲川との合流地点は、赤沼・長沼といふ地名からもわかるやうに、昔から氾濫することが知られてゐる。ここは水田やリンゴ畑として利用され、いざといふときには水を引き込む遊水池とされてゐた。

ところがいつのまにか、ここが新幹線の車両基地になってゐて、今回の氾濫で水没してしまった。その原因が浅川ダムであり、そのダムを建設した理由が長野オリンピックだったのである。やっぱり出てきたか、オリンピック!

 

浅川の上流近くには、1998年開催予定であった長野オリンピックのスキー場があり、長野県はそこに通じる道路の予算を必要としてゐた。そこで持ち出されたのが、中止になってゐた浅川ダム計画であった。

ダムを造れば、村と道路が沈むので、道路を標高の高いところに付け替えるための予算が取れるのだ。なんとアサカワ‥浅はかな!

 

 そもそもダム計画が中止になったのは、ここが地滑り地帯だからである。浅川が浅いのは、源流地帯が昔火山だったため、火山岩を侵食・運搬し、川底に堆積させてしまふためで、新幹線が開通するまでは、鉄道の上を流れる天井川であったのだ。写真を見るとビックリする。

 そんなところにダムを造れば、ダムの底にたちまち土砂が溜まって使い物にならなくなる。そこで、ダムの最下部に穴を開けて常に水を出し続けることにしたのである。はぁ¿ ダムって水を貯めるものぢゃないの。

 

 さらにご丁寧なことに新幹線の工事に伴って浅川も、天井川から地上の川にした。すると、本流の千曲川の水量が増ゑたとき、浅川からの水が千曲川に入らないので、途中の水門を閉めて、ポンプで浅川から千曲川に水を入れることにしたのだ。しかし、千曲川が氾濫危険水位になれば、当然ポンプを止めることになるから、浅川の氾濫は止められない。子供でもわかる話だ。

 

 で、今回、予想通りに浅川が氾濫して、新幹線の車両基地が水没。沼地なんだから当たり前だ。しかも千曲川の堤防から水が越流して、遂には破堤(堤防が壊れた)。住宅が流されるなどの大きな被害が出た。家が千曲川に真っ逆さまに墜落する映像は衝撃だ。

 

当日の浅川ダムの流入量と放出量が国交省から発表されてゐて、あさの氏が、これをグラフ化したものを見てビックリ。ピタリと重なってゐて、2本のはずなのに1本のグラフにしか見えない!まったくお笑ひである。入ってきた水をそのまま流しているのだ。しかも最高水位が最高4メートル!ダムではない。開きっぱなしの水門である。

 

浅川ダム建設には300億円かかったといふ。新幹線車両基地の被害だけで300億円。住宅やインフラ(道路・電気・ガス・水道)の被害は計り知れない。いったい何をやってゐるのか。オリンピック当時の長野県の責任者、出てこい。長野市民に土下座して謝って、全財産で少しでも償え。

 

 次回は、多摩川の二子玉川・武蔵小杉の巻。では、さらば。