何故解熱剤を使ってはいけないのか | お子様の不登校、ひきこもりの解決策提案サロン

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解熱剤で脳症になるという記事は、以前私もインフルエンザ脳症のタイトルで記事にさせて頂いたことがあるのですが、浜六郎先生などの研究チームがこのような意見書を厚労省に提出なさっていましたので、ご紹介させて頂きます。
くわしくはリンク先のPDFをお読みください。
熱が出るということには意味があります。それを薬で抑えればどうなるかは少し考えてみればわかると思います。
突然死も多いというこの薬、とても危険ですね。

以前、ワクチンの講演会でお話しさせて頂いた時に、質問して頂いた方がいらっしゃいます。
そのかたは解熱剤を使われたということですが、幸い副作用は出なかったとのことで、よかったですねというお話をさせて頂きましたが、とても危険な薬だということは知っておかれた方がいいでしょうね。


インフルエンザ脳症ガイドラインに関する意見
    NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック) 代表   浜  六郎
    医療問題研究会                  代表   林  敬次
    医薬品・治療研究会              代表   別府 宏圀


1.脳症ガイドライン作成の趣旨・目的について:
ライ症候群などウイルス感染後の重篤な脳症との異同を明確にし「症候群」
としての疾患概念を明確にすべきである。
そもそも、「インフルエンザ脳症」は、感冒など他のウイルス感染後の重篤な脳症
(ライ症候群や急性壊死性脳症など)と、その病像は病因について、オーバーラップ
や異同が議論されており、疾患概念そのものが未確立な「症候群」であり、確立され
た単一疾患ではない。ところがその「インフルエンザ脳症」が、あたかも確立された
単一疾患であるかのように扱われ、その周辺にさらに多数存在すると考えられ、同様
に重篤で対策が必要である「感冒など他のウイルス感染後の重篤な脳症」が無視さ
れ、インフルエンザ感染後の脳症だけに焦点があてられて脳症ガイドラインが作られ
ているのは極めて不適切である。
対策が講じられるべきは、広く「ウイルス感染後の重篤な脳症」であるにもかかわ
らず、インフルエンザ以外のウイルス感染は無視されている。
ライ症候群などウイルス感染後の重篤な脳症との異同を明確にし「症候群」として
の疾患概念を明確にすべきである。
  
(1)インフルエンザ脳症研究班の問題把握と脳症ガイドライン作成の趣旨について
今回公表され意見が求められた脳症ガイドラインは「インフルエンザ脳症の発症因
子の解明と治療および予防方法の確立に関する研究」班(主任研究者:森島恒雄)
(「インフルエンザ脳症研究班」と略)により、作成されたものである[1]。
「インフルエンザ脳症ガイドラインの作成にあたって」において、主任研究者の森
島恒雄氏は、「インフルエンザ脳症」が主に5歳以下の小児に発症する予後不良の疾
患であるためにこの診療ガイドラインを作成したとしている。
しかし、ライ症候群や急性壊死性脳症など、インフルエンザ以外のウイルス感染後
(インフルエンザ後にも生じ得るが)の脳症も予後不良の疾患であり、インフルエン
ザ脳症と極めて類似(オーバーラップ)しているにもかかわらず、今回の脳症ガイド
ラインでは全く触れられていない。
(2)「ライ症候群研究班」「原因不明の脳症と薬剤研究班」で解決しないまま「イ
ンフ   ルエンザ脳症研究班」に移行した
米国においてライ症候群とアスピリン製剤との強い関連が認められ、日本において
もライ症候群をはじめライ症候群類似の原因不明の脳症は、1980年代から199
0年代にかけて、日本の小児科領域における予後不良かつ対策を要する重大な疾患で
あった。
そのため、1982年から1998年まで、「ライ症候群研究班」」(1982年
度~1989年度)、あるいは「重篤な後遺症をもたらす原因不明の急性脳症と薬剤
との関係に関する調査研究」班(1990~1996年度;「原因不明の脳症と薬剤
研究班」と略)などにおいて調査研究が続けられてきた[2]。ライ症候群におけるアス
ピリン製剤と同様、日本の「原因不明の脳症」についても、薬剤の関与が疑われた。
だからこそ、研究班名として、「薬剤との関係に関する調査研究」と、「薬剤」との
関係を調査するとの趣旨が明瞭に盛りこめられたのである。
そして、「原因不明の脳症と薬剤研究班」が終了した1996年においてもなお、
年間100人を越す「原因不明の脳症」の報告があった[3]。外国のデータなども参照
しアスピリン製剤との関連の可能性を考慮して規制がなされたものの、NSAIDsとの関
連を示唆する数々のデータ [4,5 ]がありながら1998年をもって調査が打ち切られ
た。予防対策につながる最大の要因であった解熱剤として使用されるNSAIDsとの関連
を本格的に調査することなく、少なくとも年間100人を越す「原因不明の脳症」の発生
を放置したまま、調査研究が打ち切られたのである。そして、1999年以降は「イ
ンフルエンザ脳症研究班」が発足した。
(3)「インフルエンザ脳症研究班」は、当初ライ症候群なども調査対象とした
「重篤な後遺症をもたらす原因不明の急性脳症」の先行感染はインフルエンザに限
らなかった。先行ウイルス感染症の一つとして、インフルエンザはもちろん重要では
あったが、「原因不明の脳症」の先行感染症のうち、インフルエンザはむしろ4分の
1程度を占めるに過ぎなかったのである[6]。
一方、1999年当初のインフルエンザ脳炎・脳症研究班(森島班)の調査に用い
られた「ライ症候群」や「インフルエンザ脳炎・脳症」および関連疾患の診断基準と
して、以下のように、4つの症候群をあげて、解説していた。
1)Reye症候群
2)(小児)急性壊死性脳症
3)Hemorrhagic shock and encephalopathy(HSE)症候群
4)いわゆるウイルス性脳炎・脳症
すなわち、インフルエンザ脳症研究班が調査対象とした「インフルエンザ脳炎・脳症」とは、1)か
ら4)の症候群を包含する、さらに広い範囲を包含する「症候群」であったといえる。
たとえば、1)Reye症候群については、つぎのように解説されていた。
「主として上気道感染症に引き続き、嘔吐、意識障害、けいれんなどの急性脳症の臨床症状
を提示し、生化学的には、トランスアミナーゼの上昇、高アンモニア血症(正常値の3倍以上の上
昇)、低プロトロンビン血症、低血糖などが、極めて短期間に観察され、病態の中心には全身の
急性ミトコンドリア機能不全が存在する。
肝および全身の脂肪沈着、とくに電子顕微鏡での確認は確定診断上有用である。
本症では肝臓の特異的な所見、すなわち炎症性所見を欠き、ミトコンドリアのアメーバ状の変
形、クリステの消失、dense bodyの消失を伴う小脂肪滴の肝細胞内蓄積があり、核の変位を伴
わないことを特徴とする。
上記の診断基準には、あいまいな点もあるものの、「主として上気道感染症に引き続き」とあるよ
うに、先行感染症を、インフルエンザに限定してはいない。
(4)「インフルエンザ脳症」との疾患概念は確立しているとはいえない
そもそもインフルエンザ脳症という「単一疾患」があるのかどうか、全く明らかで
ない。世界的に認知された「疾患」であるのかどうかについての吟味が全くなされて
いない。
もともと、ライ症候群がそうであったように、現在インフルエンザ脳症と呼ばれて
いる病態は、単一の疾患ではなく、「インフルエンザ後脳症症候群」ともいうべき
「症候群」である。現在問題となる脳症の原因の一群としての先行ウイルス感染症
は、ライ症候群がそうであったようにふつうのかぜや他のウイルス感染症があり、イ
ンフルエンザだけではない。ライ症候群がアスピリン中毒ではなく「症候群」である
ことは、米国ではアスピリンが原因であったが、日本ではNSAIDsが大きく関与してい
たことからも明らかである。
(5)「インフルエンザ脳症」死亡にNSAIDsが70%以上寄与
日本の脳症の原因としてNSAIDsが重要であることは、再三にわたり、われわれが指
摘してきたことである[4-7]。佐藤班が実施した症例対照研究のデータは、この点に関
して明瞭な答えを提示している。
佐藤班が実施した症例対照研究のまとめでは、脳症全体では有意の差が認められな
かったとされていたが、死亡した脳症例を対照群と比較した場合、NSAIDs使用のオッ
ズ比は47.2(下限3.6)という高いオッズ比(と高い下限値)を示した。厚生省時代の
研究班におけるライ症候群とその他の脳症との比較データにおけるNSAIDsとの関連と
あわせて考察して、死亡するほどの重篤なインフルエンザ脳症とNSAIDsは関連がある
ことが明らかである。
NSAIDsの寄与危険度割合を計算すると(相対危険の代わりにオッズ比ORを用いOR/
(1+OR)×100%で計算)、死亡脳症全体に対しては73%、NSAIDs使用脳症死亡例に対
しては98%と計算できる。これらのデータは、NSAIDsを使用していて死亡した脳症
例の死因は、インフルエンザ感染症よりもNSAIDsの関与が大きいと考えるべきである
ことを示している。
実際、1990年代の厚生省の調査でも「原因不明の脳症」といわれていた「感染後脳
症」(当時は脳症の先行感染症は、インフルエンザが4分の1であり、感冒など他の
ウイルス感染症が4分の3を占めていた)でもNSAIDsとの関連はずっと認められてき
ているし、ライ症候群とアスピリンとの関連が強固であることなども、死亡脳症と
NSAIDsとの関連と一致している。また、動物に種々の病原体を感染させ種々の
NSAIDsを使用した感染実験9編15実験の総合解析では、死亡に対するNSAIDs使用
の統合オッズ比は10.0(95%信頼区間の下限6.12、p<0.0000001)であった。
さらには、ボルタレンやポンタールなどNSAIDs解熱剤が使用規制される前には、脳
症例におけるNSAIDs使用割合も、脳症例中の死亡割合もいずれも30%前後であった
が、NSAIDs使用が規制された2001年以降は、NSAIDs使用割合が10%を切り(2002
年は6.9%)、脳症中の死亡割合も10数%となり、2004年はNSAIDsの使用割合は不明で
あるが、脳症中の死亡者の割合は10%にまで減少した[8]。これは、発症との関連が疫
学調査で指摘された危険因子を除くという、一種の介入がなされ、NSAIDsの使用割合
が減少した結果(直後の年から)、その減少程度に見合った減少が、関連性が認めら
れた「死亡する脳症」の割合でも認められたのである。したがって、介入した因子
と、死亡脳症との因果関係があったことを強く示している。
佐藤班の死亡脳症例とNSAIDsとの有意な関連や、動物実験結果、またNSAIDs使用
規制(介入)後の、死亡割合の激減(NSAIDs使用減少に見合った減少)の原因を、研
究班では何とみているのであろうか。少なくとも2001/2002年冬季には小児
用のタミフルは承認されていないので、この時までの死亡割合の減少にタミフルが関
係していることはありえない。
インフルエンザ脳症のうち死亡脳症の少なくとも70%、NSAIDsを使用していて死
亡した脳症の98%がNSAIDsが原因であるといえるのであるから、インフルエンザそ
のものが原因というよりは、少なくともこれらの例で、NSAIDs解熱剤が原因であった
とするべきである。
いかにもインフルエンザそのものが原因であるかのような「インフルエンザ脳症」
という病名自体不適切である。
したがって、インフルエンザ感染後の脳症だけに焦点があてられ、その周辺に
さらに多数存在する感冒などウイルス感染を先行感染症として発症する重篤な
脳症(ライ症候群など)、特にNSAIDsが関係したと考えられる脳症が無視さ
れている脳症ガイドラインは、その作成の趣旨そのものからして、不十分・不
適切なものである。
ライ症候群などウイルス感染後の重篤な脳症との異同を明確にし「症候群」
としての疾患概念を明確にすべきである。


http://www.npojip.org/sokuho/no66-ikensho.pdf