鍵盤ハーモニカの本である。鍵盤ハーモニカの歴史と、鍵盤ハーモニカの構造と、鍵盤ハーモニカの発明に至るいにしえの楽器群と、…あと取りあえず鍵盤ハーモニカにまつわる本である。
著者はプロの鍵盤ハーモニカ奏者にして、「鍵盤ハーモニカ研究所」所長。そういうバンドなのかと思ったら、本当にそういう研究機関なんだそう。
鍵盤ハーモニカのオタクが鍵盤ハーモニカで一冊本を作ってしまった…ある意味恐ろしい本。
とは言え、鍵盤ハーモニカに恨みがあって買った訳ではない。
難波さんのお父さんの写真が載っていたのだ。
「第四章 鍵盤ハーモニカの運び屋」の主人公、桜井徳二氏のアコーディオンの師匠として渡辺弘氏の名前が出てくる。
集合写真の一員として掲載されている。何となくおっとりした印象の、体格は良いが恰幅が良いとは感じない、眼鏡をかけて腰に手を回した男性である。
八方手を尽くして、難波さんに直接その写真を見てもらい、「俺の親父です」とご回答頂いた。
「取材協力者」に難波さんや桜井氏のご遺族が出てこないので、確認してみたら連絡等は特になかったとの事。
「「鍵盤ハーモニカの本」、春秋社の「鍵盤ハーモニカの本」ね…今度探してみます。「鍵盤ハーモニカの本」」
「音楽コーナーで赤い本を探せばすぐ分かりますよ…三省堂池袋に山積みされてます」(なぜメモを渡そうとしない)
忘れない為だろうか、握手までしてくれた。縮緬のような手触りが、手の平にまだ残っている。