「ショップリフター」とは、万引き犯の事を意味する。
何処の国にも、万引きする人間は存在するが、イギリスの場合は深刻な問題となっている。
スコットランドを拠点に、巨大な万引きグループが存在する。
このグループは、家族で形成されているのがほとんど。
夫&嫁、その親兄弟、子供、親戚、孫・・・と継承され、これで生活してきた、歴史ある万引き集団である。
万引きした物を、レシート無しで返品しに行き現金化するか、市場で売って現金化し、収入を得ている。
うちの店でも、「レシートを紛失したが、返品したい」と持ち込んでくる客も少なくない。
店の規則としては、基本的にレシート無しでは返品不可能になっている。
しかし、「駄目です」というと、たいてい大声を出されるパターンが多いため、現金ではなく店内で使える商品券と交換するようにしている。
過去、明らかにうちの取扱いではないブランドを持ち込み、「ここで買った!!」と言い張ったババアがいたが、これは警察に来てもらって処理した事もある。
私がなぜ、こんな事に詳しいかと言うと、スコットランドからこの辺一体の万引き集団を、取り締まる警察官の方から、定期的に研修を受けるからである。
特に9月後半からは、クリスマスも近く、店にはいつもより3倍の数の商品が並ぶ。
よって、万引き集団からすれば、より万引きしやすい時期にもなり、クリスマス前に現金も欲しいから、大きく動き出す時期でもある。
ここ「カーライル」は、スコットランドとの国境地という事もあるし、大きな街では無い分、見張る警官も少ない。
よって、狙われやすい地域でもあるのである。
数年前、東京にも進出したイギリスブランド「トップショップ」がここにもあるが、クリスマス前の大忙しなある日、900着を万引き集団にやられた。
しかも40分かけて万引きされたにもかかわらず、店員が誰も気が付いていなかったという。
定期的な研修では、万引き集団の「最新・万引き手段」を教えてもらったり、よくカーライルに出没する万引き大家族の顔写真を見せられたりする。
「この顔にピンと来たら!!」と40枚近い写真を見せられるが・・・
覚えられるかー!!多いわ!!
私には決定的な問題がある。
ヨーロッパ人は、みんな同じ顔に見えるのである。
私が覚えている客は、何度も来店しているか、よく会話を交わすか、よほどの特徴があるか・・この程度である。
後は金髪のオッサンンかオバハンか・・・みたいな感じの区別の仕方なので、お客様が私を覚えている事は多々あっても、私が覚えている事は少ない。
しかし、この万引き家族の顔写真を見ていると、ある特徴が分かって来た。
歯がない・・又は歯が抜け抜けであるという事。
私達が見せてもらっている写真は、警察に逮捕されたときの写真であるから、泣き崩れて化粧が剥がれ落ち、見るも無残な顔でこちらを見ている。
両手に番号を持ってカメラに向いているから、いかにも囚人顔になっているのである。
しかし、万引きに来る時は、たいてい金持ちを装って来店する。
そのほうが警戒されないからである。
だから非常に分かりにくいのである。
万引きした上質のコートを身にまとい来店するから、誰もが万引き犯とは見抜けない。
そこで警察官がヒントをくれた。
「まず、全ての客に話しかけてみてください。ハローでも何でも良い。その時、歯が少なかったら万引き犯の可能性がありますから、すぐに警戒と警官の配備を・・・」と教えてくれた。
私達は、こうして万引き犯と戦ってきたのである。
そして今日。
上の階がザワついた。
どうやら、万引き家族集団が20人ほどで来店したとの情報を得たからである。
下の階からも店員がヘルプで上の階へ。
5分以内に私服警官も到着予定との事。
しかし、20人は店内に分散したから、店内はパニックである。
私の売り場にも内線で「金髪でまとめ髪の女が来たら、警戒するように!!」と来た。
しかし、金髪まとめ髪が1人来た。
怪しいし、怪しくない。
分からん・・・
私はマニュアル通り、まずは引きつった笑顔の「ハロー」を投げかけてみた。
無愛想に「ハロー」と言ったが歯は確認できず・・・
無視は度々ある。
突然アジア人に「ハロー」と言われ、化け物を見るようにこちらを見るだけ見て、何も言わない客が、時々いる。
私は不自然に客に付きまとい、客がズボンを試着したら、試着室の前で仁王立ちで待ち「どうですか?どうですか?」と聞いていた。
心の中で、これ・・ただの客やったら、私の存在、相当ウザイやろうな・・などと考えたりした。
結局、「合わないわ・・」と言い客は帰った。
今日は緊迫した売り場であったが、結局、上の階で6人が現行犯逮捕となった。
万引きされたのはコートとパンスト、香水19本。
「逮捕されて良かったな~」などと皆で話していたが、なぜに香水19本を盗まれている時、3~4本のところで誰も気が付かなかったのだろうか・・
来月からは、店内のクリスマスのデコレーションに入る。
万引き集団も増えてくるのである。
何処の国にも、万引きする人間は存在するが、イギリスの場合は深刻な問題となっている。
スコットランドを拠点に、巨大な万引きグループが存在する。
このグループは、家族で形成されているのがほとんど。
夫&嫁、その親兄弟、子供、親戚、孫・・・と継承され、これで生活してきた、歴史ある万引き集団である。
万引きした物を、レシート無しで返品しに行き現金化するか、市場で売って現金化し、収入を得ている。
うちの店でも、「レシートを紛失したが、返品したい」と持ち込んでくる客も少なくない。
店の規則としては、基本的にレシート無しでは返品不可能になっている。
しかし、「駄目です」というと、たいてい大声を出されるパターンが多いため、現金ではなく店内で使える商品券と交換するようにしている。
過去、明らかにうちの取扱いではないブランドを持ち込み、「ここで買った!!」と言い張ったババアがいたが、これは警察に来てもらって処理した事もある。
私がなぜ、こんな事に詳しいかと言うと、スコットランドからこの辺一体の万引き集団を、取り締まる警察官の方から、定期的に研修を受けるからである。
特に9月後半からは、クリスマスも近く、店にはいつもより3倍の数の商品が並ぶ。
よって、万引き集団からすれば、より万引きしやすい時期にもなり、クリスマス前に現金も欲しいから、大きく動き出す時期でもある。
ここ「カーライル」は、スコットランドとの国境地という事もあるし、大きな街では無い分、見張る警官も少ない。
よって、狙われやすい地域でもあるのである。
数年前、東京にも進出したイギリスブランド「トップショップ」がここにもあるが、クリスマス前の大忙しなある日、900着を万引き集団にやられた。
しかも40分かけて万引きされたにもかかわらず、店員が誰も気が付いていなかったという。
定期的な研修では、万引き集団の「最新・万引き手段」を教えてもらったり、よくカーライルに出没する万引き大家族の顔写真を見せられたりする。
「この顔にピンと来たら!!」と40枚近い写真を見せられるが・・・
覚えられるかー!!多いわ!!
私には決定的な問題がある。
ヨーロッパ人は、みんな同じ顔に見えるのである。
私が覚えている客は、何度も来店しているか、よく会話を交わすか、よほどの特徴があるか・・この程度である。
後は金髪のオッサンンかオバハンか・・・みたいな感じの区別の仕方なので、お客様が私を覚えている事は多々あっても、私が覚えている事は少ない。
しかし、この万引き家族の顔写真を見ていると、ある特徴が分かって来た。
歯がない・・又は歯が抜け抜けであるという事。
私達が見せてもらっている写真は、警察に逮捕されたときの写真であるから、泣き崩れて化粧が剥がれ落ち、見るも無残な顔でこちらを見ている。
両手に番号を持ってカメラに向いているから、いかにも囚人顔になっているのである。
しかし、万引きに来る時は、たいてい金持ちを装って来店する。
そのほうが警戒されないからである。
だから非常に分かりにくいのである。
万引きした上質のコートを身にまとい来店するから、誰もが万引き犯とは見抜けない。
そこで警察官がヒントをくれた。
「まず、全ての客に話しかけてみてください。ハローでも何でも良い。その時、歯が少なかったら万引き犯の可能性がありますから、すぐに警戒と警官の配備を・・・」と教えてくれた。
私達は、こうして万引き犯と戦ってきたのである。
そして今日。
上の階がザワついた。
どうやら、万引き家族集団が20人ほどで来店したとの情報を得たからである。
下の階からも店員がヘルプで上の階へ。
5分以内に私服警官も到着予定との事。
しかし、20人は店内に分散したから、店内はパニックである。
私の売り場にも内線で「金髪でまとめ髪の女が来たら、警戒するように!!」と来た。
しかし、金髪まとめ髪が1人来た。
怪しいし、怪しくない。
分からん・・・
私はマニュアル通り、まずは引きつった笑顔の「ハロー」を投げかけてみた。
無愛想に「ハロー」と言ったが歯は確認できず・・・
無視は度々ある。
突然アジア人に「ハロー」と言われ、化け物を見るようにこちらを見るだけ見て、何も言わない客が、時々いる。
私は不自然に客に付きまとい、客がズボンを試着したら、試着室の前で仁王立ちで待ち「どうですか?どうですか?」と聞いていた。
心の中で、これ・・ただの客やったら、私の存在、相当ウザイやろうな・・などと考えたりした。
結局、「合わないわ・・」と言い客は帰った。
今日は緊迫した売り場であったが、結局、上の階で6人が現行犯逮捕となった。
万引きされたのはコートとパンスト、香水19本。
「逮捕されて良かったな~」などと皆で話していたが、なぜに香水19本を盗まれている時、3~4本のところで誰も気が付かなかったのだろうか・・
来月からは、店内のクリスマスのデコレーションに入る。
万引き集団も増えてくるのである。