3月3日 その3 Alco ‘s children have malaria
夜、寝る前になるとアルコの子供たちがやたら咳をして嘔吐を繰り返していた。
寝る前の静けさが一層彼らを苦しそうに見えさせた。
僕はアルコに「なぜ子供たちは咳をするのか??」
とジェスチャーで聞いた。
彼らはマラリアだという。
しかも彼にはお金がなく病院に行くことも薬を飲むこともできない。
マリ人の話によるとマラリアにかかったマリ人のうち80%は病院に行き20%は病院に行けずに亡くなるのだという。
彼らはその20%なのだ。
ひどいマラリア(熱帯性マラリア)にかかると発生して3日で亡くなってしまうという。
子供たちはかなり弱っていた。
僕はとても悲しくなった。
アルコの子供ゆえにさらに悲しさが増した。
こんなに毎日一生懸命祈っているのに・・・
5人の子供のうち3人はマラリアにかかっている。
僕はとても後悔した。
フランスで抗マラリアの薬を買っておけば彼らの命は助かるかったかもしれないからだ。
僕は泣きながらアルコに謝った。
「I’m sorry。 I have no medicine.」
ひたすらその言葉を繰り返した。
彼は笑ってうなずいてくれた。
とてもさみしかった。
この夜、僕はあまり眠れなかった。
これから死を迎える人たちを見て、自分の死が恐くなった。
僕は今まで自分の死を恐れていないつもりだった。
何年も昔、友達と喧嘩をした時、友達は僕にコンパスの芯を突き刺そうとしてきた。
僕は笑いながら
「刺してみろよ!!」
と言い放った。
きっとあの時は自分が死ぬかもしれないということを現実に見れていなかったのだろう・・・
僕はずっと死について考えていた。
僕とアルコとどちらが生きているにふさわしいのだろう・・・・
僕が生きている方がたくさんのお金を稼げるだろう。もし亡くなったらたくさんの保険金が入るだろう。
お金で価値を決めてしまうと確実に僕の方が価値が高い。
しかし僕は今まで生きることを当たり前にしてきた。
それに対しアルコは毎日、自分が生きていることに感謝しもっと生きたいと祈っているのだ!!
そう考えるとアルコの命が僕より遥かに尊いものである気がしてしまう。
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朝、 僕は4時に目が覚めた。
子供たちが苦しそうに咳込んでいたから目が覚めた。
アルコは朝の4時からすでにお祈りを始めていた。
僕も起き上がり彼とお祈りを始めた。
今日生きているということがほんとにありがたくうれしかったのだ。
「今日という日をありがとう。」
僕はアッラーにお礼を言った。