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朝ドラはまさかのリーガルもの『虎に翼』-帝人事件- / 立場により事実をねじ曲げて認識しないこと

NHKの連続テレビ小説『虎に翼』はまさかのリーガルものです。
私は子どもの頃からこの分野の小説やドラマが好物ですので、
たいへん面白く見ているのですが、
女性の人権といった重いテーマが柱になっていて、
エンタメとして大丈夫なのかが気がかりです。

今週は主人公の父が贈賄容疑で逮捕され、
政財界を覆った疑獄事件が起きているようです。
どうやら、帝人事件がモデルになっているとのこと。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/nenpouseijigaku1953/46/0/46_0_3/_pdf/-char/ja

昭和金融恐慌で商社・鈴木商店が倒産し、
親会社の帝国人造絹絲株式会社の株式が台湾銀行の担保に。
その後、業績が上がって株価上昇、
この株式を巡っての騒動が帝人事件です。

斎藤実内閣が総辞職し、鉄道大臣、
官僚からは大蔵省の次官、台湾銀行頭取、銀行局長も起訴されています。
予審審判で全員が自白したものの、公判では一転して無罪を主張。
裁判所は被告人全員に無罪を下し、検察当局は控訴を放棄、
無罪が確定しています。

枢密院副議長・平沼騏一郎が恨んでいた西園寺公望と
彼が育てた立憲政友会、斎藤内閣を潰すのが目的だったという話もあります。
裁判所は物的証拠が不充分であり、犯罪の痕跡は見られないとして、
後世、正しい判決を下したと評価されています。

当時の庶民の世論は、財閥や富裕層を目の敵にしていて、
被告人らに対し、厳罰が下されることを期待していたようなのですが、
そのとおりにはならなかったというわけです。

「こうあってほしい」「こうあるべきだ」という思いが
事実をねじ曲げて認識させることがあります。
それは今の時代も同じ。
SNSやマスメディアが作り上げたストーリーを
乏しい根拠でねじ曲げて、事実だと認識しないようにしたいものです。





ポール・ビニー(敏弐)

「百年の華 一九三〇年のカフェの女給」

 

さて、今の時代でも事実よりも利益、
イデオロギーを優先して、事実とは違う主張が喧伝されることが多々あります。
数は少ないのでしょうが、事実に基づかず、
トンデモ判決を下した裁判官も。

 


この元福井地裁裁判長・樋口英明なんかはその典型ですね。
 

 

毎日新聞や東京新聞がやたらと持ち上げている人物ですが、
そもそも、この毎日が報じた講演で、
なぜ、門外漢が耐震性について語っているのでしょうか。
彼は客観的事実を無視して、判断を下したのです。
彼が語った変圧器の油漏れについては、
原子炉建屋基礎上とは異なる低い基礎に位置していた変圧器の被害ですので、
これを以て大飯原発3、4号機の耐震性が低いとはいえません。
彼は「こうあってほしい」「こうあるべきだ」というイデオロギーを、
客観的証拠から導き出される事実よりも優先させたのでした。
こういうトンデモ判決を下す裁判官もいます。

では、こちらの裁判はどうでしょうか。

 


医師でミステリー作家の知念実希人氏が
元衆院議員で弁護士の青山雅幸氏から名誉毀損で訴えられた事件。

青山雅幸氏が「中長期的リスクは全く不明」とXに投稿し、
それを知念氏が「デマ」と批判。
東京地裁・下山久美子裁判官は、原告の主張を認め、
110万円の賠償と削除を命じています。

この判決で認識しなくてはならないのは、
裁判所は、当該のmRNAワクチンの安全性について、
一切判断していないという点です。
原告は「言ってもいないことを言ったことされた」と主張していて、
その内容が「ワクチンで不妊になる」というもの。
裁判所は原告がそんな投稿をしていないと判断し、
こういう判決になったというわけです。

この裁判官が反ワクチンの片棒を担いだというわけではありません。

あらゆる事象を私たちが認識する時、
どの立場から見るかによって、それぞれの事実は違う見え方をします。
この青山雅幸という人物は、立憲民主党で
2017年には

民事事件も社会的関心事項が高い場合、企業名も公表・報道される。今回、個人名の公表は控えた。経営を気にはされても当該病院が再発防止策を取っているかは気にされないのだろうか?ヒポポタマスの誓いもあること、患者の生命と健康が医師の方の最大の関心事であるとおもっていたが。

 

というよくわからない投稿をしています。
当時起きた医療機関のトラブルに対し、
医療者を揶揄した投稿なのですが、笑いのタネになっていました。
ヒポクラテスの誓いと書くべきところ、
ヒポポタマスの誓いと間違えていたんですね。
古代ギリシアの医者・ヒポクラテスとカバを間違えたということで。

生涯を純粋と神聖を貫き、医術を行う。どんな家を訪れる時もそこの自由人と奴隷の相違を問わず、不正を犯すことなく、医術を行う。医に関するか否かに関わらず、他人の生活についての秘密を遵守する。

これがヒポクラテスが提唱した医療倫理なのですが。

 

 

放射能デマをバラ撒いてきた人物でもあり、
百歩譲ってもろくでもない弁護士です。
しかし、そんな人物評は事実か否かの判断に影響しないのでした。

なお、「中長期的リスクは全く不明」というのは
反ワクチンが常用する話。
立場如何にかかわらず、もしも、これが生活の判断材料になるならば、
ワクチンだけに限らず、全てのものも対象になるわけですから、
人工衛星を打ち上げれば、
それが自分の頭に当たる可能性を心配しなければなりません。

種痘が始まった当時、「打ったら牛になる」と言われましたが、

その懸念が合理的だということに。


あらゆる薬も、サプリメントも
自動車も飛行機も、利用できなくなります。
ただし、言ってもいないことを言ったというのは、
名誉毀損にあたるということなのでした。

なお、公共性や公益性が認められない事案については、
その人の名誉を傷つければ、
たとえ、それが事実であっても、訴えられれば負けてしまうので、
注意が必要です。

 

 

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