四月大歌舞伎「神田祭」@歌舞伎座 | 明日もシアター日和

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観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

仁左衛門/玉三郎

 

 はぁ~、至福の境地でした(仁左玉のコレ観た時いつも同じこと言ってるかも😊)。鯔背な仁左さま鳶頭婀娜っぽい玉さま芸者。お二人のラブラブな世界に頬が緩みっぱなし、時々息するの忘れてたかも😆 何十年もご一緒してきて培った二人だけの世界がそこにあり、それは芸のひとつの到達点でした。しかも孝玉として人気をさらい始めた頃から全く変わらぬ、お二人のシュッとした姿形の美しさ、カップルとしてのお似合い度、これって奇跡なのでは? 

 

 浅葱幕が落ち、2人の若衆に挟まれて立つ仁左さまの姿が現れた時、あるいは、花道から玉さまがスッとした色香を纏って歩いて来られた時、そしてお二人が、寄り添ったり見つめあったり頬を寄せたり体を支えあったり髪や着物の乱れを直しあったり……いちいちのジャラジャラ場面で客席から、ため息やら悲鳴にも似た照れ笑いやら、じわが何度も何度も起こります。わずか20分の舞台が私たちをこんなにもハッピーにしてくれるなんて✨

 

 冒頭の仁左さま、背中に掛けている花笠のピンクの花が何故かよく似合う。ほろ酔い加減で若衆をあしらう所作が、柔らかくもすっきりとして、粋な江戸っ子のそれ💓 歩いてくる玉さまを迎える笑顔が優しい。玉さまが思いの限りを尽くして仁左さまを口説くときの色っぽさ、それに無頓着を装う仁左さまが可愛らしい。玉さまが人差し指をクルクルして仁左さまの頬をチョンとつつき、後ろから肩をフワッと抱き、腰を落とした仁左さまを後ろから甘えるように押し戻し、かんざしで仁左さまの髪の乱れをそっと直してあげ……一連の動きで見せる手先の優美さよ😍 お二人の会話が聞こえてくるようです。

 なかでも私が好きなのは「親分さんのお世話にて……」で、仁左さまが玉さまの方を「こいつと……」って感じで指差したあと、テレて頭ポリポリするところ。そのあとの、仁左さまと若衆との立ち回りは華やかで、皆さんのトンボも綺麗に決まります👏 床几に座って持ち上げられた形が美しく、その横に立つ玉さまの身体の柔らかなS字ラインが艶かしくもありました。

 そして、そして、花道でまたタップリと見せてくれるんですよねー。お互いの帯を締め直し、着物の汚れをはらい、互いに見合って惚れ惚れと「綺麗だねえ」って感じで笑みを交わし、肩寄せあってくっついちゃう。そこを皆んなに見られているのに気づいてハッと我に返り「お恥ずかしいところを……」って照れながら、客席の四方八方に向かって頭を下げるお二人。この花道での一連のジャラジャラも本っ当に好きで、それを間近で観たいがために、花道横のお席をとりましたよ。

 

 今回の「於染久松色読販」→「神田祭」という演目立ては、調べてみたら、歌舞伎座での2021年2月、その前の2018年3月と同じなんですね。一方、昨年10月御園座は「東海道四谷怪談」→「神田祭」という流れでした。水を差すようだけど、御園座の、お二人の陰惨極まりない絡み→トロけるようなラブラブワールド、という流れの方が落差が大きいこともあり、舞台としては面白味が強かったかな💦 それにしても、お二人のこの「神田祭」はディスクで持っていたい。気分が落ち込んだ時などに観て心を癒したいです

 

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