『OK!!! C’MON CHABO!!!』 残りのライナー | 寺岡呼人 オフィシャルブログ 「LONG GOOD-BYE」 Powered by Ameba

『OK!!! C’MON CHABO!!!』 残りのライナー

徳間ジャパンオフィシャルサイトでも発表になったので、一気に公開!



06. 月夜のハイウェイドライブ/桜井和寿(Mr.Children)

この曲は僕のスタジオ“CRY BBABY” の狭い狭いブースに桜井とチャボさんが入り、一発録りでのレコーディングだった。
当たり前だが、歌詞を間違えたり、演奏を間違えると、最初からやらないといけない緊張感のあるレコーディング方法。
丁度、このレコーディングの一ヶ月前に僕のイベント、“ゴールデンサークル”で二人がこの曲をやってくれていて、ムードが分かっていたので、絶対にこの一発録りでレコーディングしたかった。

そのゴールデンサークルでの『月夜のハイウェイドライブ』を最初にリハーサルで聴いた時、“21世紀の古井戸”を感じ、ゾクっとした!
チャボさんのルーツである、ボーカリストの横でアコースティックギターを弾くスタイル、そしてその横で歌う桜井和寿。時代を繋げるセッションだと思った。だから、チャボさんに「エレキでも試す?」と言われた時、即座に「いえ、是非アコースティックギターでお願いします」と答えた(笑)。
まさに、この60thに相応しいチャボさんの姿にみえたから。

桜井とは7年ぐらい前にも、この曲を一緒にライブでやろうか?と練習した事がある。彼はそれぐらいこの曲が好きだったようだ。
Mr.Childrenのポップス性とその裏に持ってる、郷愁感というものはこの曲などが根底あるのかもしれない。

そして、その一発レコーディングはまさに素晴らしいテイクになった。その後チャボさんが「別々でもやっておこう」と、桜井が一人でレコーディングした後に、チャボさん一人でギターを弾くテイクも録ったのだが、圧倒的に、一発録りの方が説得力があった。音楽のマジックとはそういうものなんだろう。


07. ホームタウン/さだまさよし(岡本定義 from COIL+山崎まさよし)

個人的にこの『月夜のハイウェイドライブ』から『ホームタウン』の流れが大好きだ。“月夜のハイウェイドライブ”から戻って“ホームタウン”に帰ってくる感じ。そして『ティーンエイジャー』や『チャンスは今夜』と対極にあるもう一つのチャボさんの世界。重くて、陰影の深い絵画のような世界。それこそが唯一無二の“仲井戸麗市の世界”だと勝手に思ってるのだが、この『月夜のハイウェイドライブ』~『ホームタウン』の流れにはそれがある。
さだまさよし(岡本定義 from COIL+山崎まさよし)のテイクも秀逸。
ヘヴィーなリズムとクールなキーボードがその少し陰ったチャボさんのホームタウンのムードを凄く出している。そして二人の歌がこのムードにとてもマッチしていて、山崎君の少し抑制の効いた歌声が説得力と吸引力を恐ろしいほど放っている。

08. 唄/宮沢和史

今回は、全て自分で演奏した人が多い。
民生君、和義君、吉井君、そしてこの宮沢君。
チャボさんとの交流もさることながら、この二人には共通する何かがある気がしていた所に、この選曲。納得である。
チャボさんのMaxi Single『PRESENT』シリーズは、いい曲がたくさんあり、今回の『OK!!!C’MON CHABO!!!』にもLeyonaさんがカバーしている。

09. 魔法を信じるかい? -Do You Believe Me Magic?-/Leyona

今回紅一点の参加。
チャボさんのとの交流を考えれば当然の参加である。
女性シンガーの中でも、筋が通ったというか、ブレのない音楽活動はとても“ロック”的であり、多くの人に愛されるのは当然だろう。
チャボさんのワードの中に“The Lovin' Spoonful”はよく登場する。
彼らの同名曲『魔法を信じるかい?』というのは、チャボさん自身が「ロックンロールの魔法を信じていたい」という願いもあってのタイトルではないだろうか?
“ティーンエイジャー”もそうだが、あの頃の魔法を信じて生きていけるのは、もしかしたらミュージシャンの特権なのかもしれない。大人になればそれを失くして生きなければならない。だからみんなそんな魔法に掛かりたくて、音楽を聴いてるのではないだろうか。逆をいえば、ミュージシャンはいつまで経っても大人になれないのかもしれないが…。
Leyonaさんのサウンドも素晴らしい。
特にオルガンの音は60’Sなムードで、グッとくる。そして何よりも歌声の説得力。

10. ガルシアの風/浜崎貴司(FLYING KIDS)

僕のイベント、“ゴールデンサークルVol.00”(2001年)で初めて『ガルシアの風』聴いた時、鳥肌が立った。真夏の蒸し暑い、酸欠状態の渋谷ラママが一気に穏やかな大草原になった。この曲には、それまでのチャボさんとも少し違う新しい“風”が吹いてた。
フォークでもない、ソウルでもない、ブルースでもない、この感覚はなんだろう?気づいたら、酸欠状態の中で僕は涙を流してた。
誰の中にも“ガルシア”はあって、「どうにもならぬ事など 何もなかった」し、「どうしようもない事など 何ひとつなかった」はず。
それをミニマムな世界から、壮大な宇宙まで広がるような世界へ誘ってくれる、チャボさんのここ数年のスタンダード曲だと思う。
浜崎君も“ブラックミュージックの人”のイメージが僕にはあったけど、やはりソウルフルを超えた歌を聴かせてくれる。
そうだ、ジャンルなんて関係ないのだ。
これこそが“ソウルミュージック”なのだ。

11. 別人/吉井和哉

最初に音源が送られて来た時、別の曲かと思うぐらい、この曲は元の『別人』と大きく違う。でも“別人”が歌うのだから、とても洒落の効いたカバーだと思った。何より、“吉井和哉の別人”になっている。
チャボさんのソロ1枚目『THE仲井戸麗市BOOK』の登場は、僕らRCファンにとってはある意味、衝撃だった。僕らが想像してた以上に、チャボさんのコアな部分が詰め込まれた作品で、ステージで派手な衣装でパフォーマンスしてるチャボさんはそこにいなかった。
しかし、聴けば聴くほどハマってしまうアルバムで、『仲井戸麗市』を形成してるのは、このアルバムの世界が原点なんだという事を感じながら、またRCを聴くと深みを感じた。
その『THE仲井戸麗市BOOK』の1曲目がこの『別人』である。
考えてみれば、1980年の『雨上がりの夜空に』から、この『THE仲井戸麗市BOOK』まで、たったの5年である。いかに激動期だったかということだ。

12. さなえちゃん/曽我部恵一

これほど“素”で勝負できる人はいない。
曽我部君の、恐らく一発録音の『さなえちゃん』。
なんのギミックもない、スタジオなのか部屋なのかも分からないような部屋の鳴り、それが全部演出されたように、この曲を聴かせる。さすがである。
70年代のラジオから流れてるような雰囲気、でも決してノスタルジックじゃない。トライセラトップス同様、古井戸を聴きたくなる人が大勢増えるだろう。



13. 慕情/YO-KING

アルバムラストは『慕情』。
ソロ2作目の『絵』の中の名曲。
大勢のカバー曲が吹き荒れた後のYO-KINGの『慕情』は何だか、ゆっくりと一日が終わる夕暮れのような切なさがある。
僕らはみんなチャボさんを聴いて育ってきた。


大好きであっても、こういう風に改まってカバーをするという機会は実はあまりない。そういうチャンスを音楽の神様が与えてくれた事に感謝。
そして何より、僕らをそういう気持ちにさせてくれた“仲井戸麗市”の60年に感謝!

“OK!!! C’MON CHABO!!!”



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