収納奉行節 | うぃんどふぇざぁ

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歴史とゲーム好きの小人族の一人がなにやらもそもそするブログ

自分の理解の一助にするため大和言葉に変換しています。
また私は門外漢なので内容を鵜呑みにしないよう気を付けて下さい。

収納奉行節は民謡なので歌詞に若干の異同があり、六、七、八番に至っては順番が変わっていることもあります。
歌意から汲み取るとこの順番だと思うんですけど…



一、意気込ましゆる(意気込ましてある)収納奉行何時が(何時あ)参り召さしゆるが頭の達
       いぐましゅる(いぐまちゃる) しゅぬぶぢょー いつぃが(いつぃあ)みぇんしぇが かしらぬちゃー
      
       今日や浜比嘉から御越し召せむ
       ちゅうや ばま ふぃじゃから うくしみしぇん
       
ハーリヌ(サーミナ)オーヤッサー(囃子。二番以降も繰り返す)

二、津堅ばんたに登りて浜の先見れば
       つぃきんばんたに ぬぶてぃ ばまぬさち みりば
       
       誠収納奉行や御越し召せむ
       まくとぅ しゅぬ ぶぢょーや うくしみしぇん

三、津堅浜に着きたれば収納奉行の召す分に
       つぃきんばまに つぃきたりば しゅぬぶぢょーぬ みしぇぶんに
       
       今日や女童(美童)取りて呉れよ津堅の頭の達
       ちゅうや みやらび とぅてぃくぃりよ つぃきんぬかしらぬちゃー

四、収納奉行の女童(美童)や誰がなりゆるが我ん頼まむ
       しゅぬぶぢょーぬ みやらびや たがなゆが わんたぬま
       津堅神村祝女殿内の壺抜き加真戸小
       つぃきんかみむら(かんむら) ぬんどぅんちぬ つぃぶぬちかまどーぐゎ(かまどぅぐゎ)

五、彼辺な収納奉行の御前に寄せりゆす
       あふぃなしゅぬぶぢょーぬ うみぇにゆすぃりゆすぃ
       胴衣下裙も無からぬ者只行きなりゆるめ
       どぅじぬんかかぬん ねらんむぬ ただいちなゆみ

六、応じ易かるすしど銭金や儲けゆる
       おうやっさんすしど じぇんかにや もうきゆる
       否ど否どすしや尻ど打たりぬるど
       んぱどんぱど すしや ちびどぅうたりんど

七、胴衣借らさは行きゆるめ下裙借らさは行きゆるめ
       どぅじぬんからさわ いちゅみ かかんからさわ いちゅみ
       根殿内の婆婆や相持ちでもの
       にぃどぅんちぬ ぱあぱあや あいむちでむぬ

八、根殿内の婆婆や女童(美童)の頭
       にぃどぅんちぬ ぱあぱあや みやらびぬかしら
       道引き(引き引き)添ふてど御宿向かひ添ふて行きゆる
       みちふぃち(ふぃちふぃち)そうてぃどぅ うやどんかい そうてぃいちゅる

九、御宿から(収納奉行)戻り五人女童(美童)走り行き逢つて(走り揃ふて)
       うやどから(しゅぬぶぢょー)むどぅい ぐにんみやらび はいいちゃてぃ(はいするうてぃ)
       言ひ語らいやしてをりて嬉しや召せむ
       いかたれーや しちょーてぃ うりしゃみしぇん

十、収納奉行の御情や匂ひ鬢付き香しや物(香し物)
       しゅぬぶぢょーぬ うなさきや にをぃびんつぃきかぐゎしゃむぬ(かばしむん)
       おれよりか外にも紙包みも数々有り侍りぬるど
       うりゆかふかにん かびづぃつぃむん かずぃかずぃ あいびんど

十一、御役人衆の仕(志)情(御情)や持ち掛け手茶布に指金
           うやくにんしゅぬ(うやくにんじゅぬ) しなさきや(うなさきや) むちかき てぃさじに いびなぎ
           膓枯れ役人取り持ち遣る詮も立たぬ
           わたかりやくにん とぅいむっちゃる しぇぬんたたん




私見があるのでちょこちょこと書いていきます。

一番「みぇんしぇが」と「めんそーれ」は恐らく語幹が同じだろうと思います。
三番「みしぇぶんに」は「召言す分に」と書かれたりしますが補完のために「言」を足しただけで「召言す」という語は寡聞にして知りません。強いて書くなら「申し召す」が転訛して「みしぇ」になったようにも思いますが、自信がないのでそのまま「召す」にしました。
四番「壺抜き」は魚の内臓を取り出すことですが、他にも壺脱ぎや粒抜きと書かれることもあります。ここでは意味の通る「壺抜き」を採りました。
五番「どぅじんかかぬん」は「胴衣も下袴も」と書かれることが多いですが、「下袴」は「どうしても「かかん」とは読めません。中国には「裙(くん)」という襞の付いたスカート状の下着があり、類似性から琉装の「かかん」はこちらの「下裙」と思われます。また「掲裳(かかん)」とも書かれ、「かかも」が「かかん」になるのは納得出来ますが、掲げる裳とはこれ如何に?
六番「んぱ」は語源がまだ私には全然分かりません。教えてください…
十一番「てぃさじ」は琉歌では頻出する単語だと思いますが、たいてい「手巾」と書かれます。これが「てぎぬ」であれば「てぃぢぬ、てぃぢん」だろうし、「てぃさじ」に転訛したようには思えません。ここでは「手茶布」と書いてみましたが、「茶布、茶巾」と書いて「ちゃきん」と言う語は存在しますが、「手茶布、手茶巾」と書いて「てさぎぬ」と読めれば「てぃさじ」に転訛することが出来るので試しに書いてみました。
「いびなぎ」は「ゆびがね」→「ゆびねが」→「いびなぎ」に転訛したものです。
「わたかり」は「膓枯れ」、懐が寒いの意味です。


後学のためにも間違っている部分や正しい情報があれば教えて頂ければ幸いです!