葬儀社の説明では、福祉葬(葬祭扶助)に「遺影」「お花」「宗教的な儀式(僧侶など)」はありません。妻を亡くしたばかりの配偶者に「死に化粧」の項目は触れなかったようです。
自分で妻の死に化粧を施しました。昔は近親の女性がやっていた。
死に水もとりました。
御棺の妻には、毛糸のセーターとジーパンを着せた。
肌着と靴下、帽子と手袋、巾着にはお経と数珠、好きだったリンゴジュースとお菓子、幸福だった頃の家族の写真を持たせた。
葬祭扶助は火葬までが範囲であり、納骨は適用外です。
それでも充分感謝しています。
四十九日納骨法要の費用を息子に頼みましたが断られた。
五万円の「散骨(さんこつ)」で事足りるとも言われた。
ここに親子間の断絶は後戻り出来ない段階になってしまいました。
生前の妻は、お寺の護持と墓の維持に尽力してきたからです。
菩提寺に電話したところ高齢な上人様から思いもしなかった言葉をいただけた。
「内に入りなさい。無料でいいから入りなさい」と。
戦災で寺が焼けたとき、有力な檀家が協力して再建を手伝ってくれた古い檀家への「御恩返し」とも言ってくれました。その中の一人が祖父だったのです。
こちらの都合に会うように納骨法要を延ばしても良いとも言ってくれたので、息子夫婦に封書で参列する日時を調整したい旨おくりましたが、郵便が「受け取り拒否」されてしまいました。返送されてきた。
だが、妻が大切に保管していた「幼稚園から高校の卒業証書とアルバム」は受け取ったようです。
納骨法要では、「本葬式」としての供養、「戒名・位牌の開眼供養」「追善供養」「墓前での納骨式」を本式に執り行ってくれました。省かれたものは正された。
心配してくれたフォロワーさまありがとうございます。
励ましに応えられました。
遺品整理を始めました・・
遠くにいる古い友人に訃報を伝えています。
古いタンスの奥に乳児の純白の小さな被り物が隠すようにありました。
ハッとして箪笥の上のガラスケースを見た。普段気にもしていなかった。
中にキャラクターの動物たちに囲まれた「キューピー人形」が一体居たのです。
妻は一言も言いませんでした。
男とは性質の違う頼りになる女の子も欲しかったのでしょう。
孫の気配は無し・・「断捨離」された?
妻は気づいていても家族のために祈り続けた。
妻の心は「ガラスの動物園」でした。