「太陽を抱く月」第17話を振り返る | アラベスク&チャイムのブログ

アラベスク&チャイムのブログ

キム・スヒョン君を語るブログです


  


 フォンが国巫ノギョンに ウォルがヨヌだと確かめた晩。
 活人署の庭で、陽明君を見送ったヨヌの元へ
 お忍びで両班の格好をしたフォンが現れます。




 フォンは王宮の裏庭で号泣した後、
 涙も乾かぬうちに きっとすぐに宮殿を後にして 
 ヨヌのいる活人署にやってきたのでしょう。
 もしかしたら、
陽明君との会話や
 
陽明君を見送るヨヌの姿も すべてフォンは
 そっと影に隠れて見ていたかもしれません。




 「ヨヌ。」遠くから声をかけるフォンでした。
 すぐに近づいて、抱きしめたいはずなのに
 巫女であったウォルへの 今までの仕打ちが申し訳なくて
 恐る恐るヨヌに近づく 痛々しいフォンでした。
 一方、暗闇から現れたフォンの姿に ヨヌは驚きます。
 恋しい、恋しいフォンが目の前に現れたのです。
 しかも「ヨヌ!」と自分の本名を呼んで
 自分に歩み寄るフォンの顔は 今にも泣きそうでした。
 巫女ウォルには 決して見せたことがない顔です。
 ヨヌはこれは 夢ではないかと疑います。
 「幻ではなく、本当に王様なのですか?」
 「幻ではない。本当に余がヨヌを訪ねてきたのだ。」

 この言葉のやり取りは 8年前の病床のヨヌを
 お忍びで世子フォンが訪ねた時と まったく同じでした。
 ヨヌは嬉しくて 涙がこみあげます。
 「今頃気づくとは、余のほうこそ馬鹿だな。」
 泣きながら笑って フォンがそう言うと
 ヨヌは 今までずっと我慢していた感情が爆発し
 フォンの前で 声をあげて泣き出します。
 そんな号泣するヨヌをフォンは受け止めて
 しっかり胸に抱きしめるのです。





 ヨヌにとっても、フォンにとっても、それはまるで
 夢のような感覚だったのではないでしょうか。
 ずっとお互い、触れあいたい・・・
 抱きしめたい、抱きしめられたい・・・
 そう思っていたに違いないのですから。
 お互いのぬくもりを肌で感じて
 ヨヌにすれば、記憶が戻った喜びと 
 フォンに自分を分かってもらえた喜びが合わさって
 大粒の涙となって流れ出たに違いありません。
 そして、フォンもまた ヨヌが生きていた喜びと
 ヨヌを取り戻せたという喜びに大きく震えていたのです。


 

 フォンとヨヌが8年ぶりの再会を喜び合って
 固く抱き合って泣いている姿を
 ヨヌに見送られ、活人署から帰ったはずの
 
陽明君が目撃してしまいます。
 帰りがけですれ違った 活人署へ向かう男たちに 
 ただならぬ殺気を感じ、ヨヌを心配して
 活人署へ駆け戻った
陽明君でした。
 ヤンミョンもまた、ウォルがヨヌではないのか?
 そう思い始めていた矢先だったので
 この2人の光景を見て、やはりそうだったのか・・・
 そう悟ると同時に、深い悲しみにくれながら
 暗い夜道を とぼとぼ帰ってゆくのでした。
 そしてそんな傷心の
陽明君を迎えたのは
 フォンを護衛しているはずのジェウンでした。
 ジェウンは親友
陽明君の心の痛みが
 手に取るように分かっていたのでしょう。
 しかしこの時、ユンデヒョンの放った刺客たちに気づき
 フォンとヨヌが危ないと知った2人は
 慌てて活人署に駆けつけ、
 刺客に襲われる2人を救います。
 それでも、
陽明君は刺客に腕を斬りつけられて
 フォンが代わりに応戦するのでした。
 フォンは凄腕雲剣のジェウンと差ほど変わらない
 見事な剣さばきで 刺客たちを次々に始末していきます。
 しかし、ユンデヒョンが放った刺客の数は多く
 ヨヌを
陽明君に託して戦っている間に
 
陽明君はヨヌの手を取り、逃げ出してしまうのです。
 やっとのことで 刺客たちをすべて始末した2人でしたが  
 ジェウンがヤンミョンにヨヌを匿うようにと
 頼んでいた小屋に辿りついても 2人の姿はありません。
 フォンは必死でヨヌを捜しますが、ヤンミョンの自宅にも
 何処にもヨヌと
陽明君は見つかりませんでした。
 活人署に刺客が現れたのは ユンデヒョンの指示で
 ヨヌの命を狙った意味も 賢いフォンは分かっていました。
 フォンはヨヌの行方をジェウンに捜索させて
 怒りに震えながら王宮に戻ります。
 やっと恋しいヨヌを取り戻せるはずだったのに
 その命を狙うユンデヒョンを絶対に許せませんでしたし
 ヨヌを連れ去った兄の
陽明君にも 
 フォンの怒りは込み上げるのでした。
 ウォルがヨヌだと分かった以上
 もう決して、兄に譲れないと思うフォンだからです。
 なぜならヨヌは 自分の誠の妃だから・・・






 ジェウンは
陽明君がヨヌを連れて
 母のいる浄業院で倒れていたことを知ります。
 しかし、少年の頃からヨヌをずっと恋しいと思っていた
 
陽明君の心が痛いほど分かるジェウンだったので
 王宮に戻ると 2人は浄業院にはいなかったと
 この時、フォンに始めて嘘をつきました。
 しかし、鋭いフォンは ジェウンの嘘を見破ります。 




 ヨヌを一刻も早く取り戻したいフォンは 
 ここで、ジェウンの忠誠心を試すのです。
 王専用の浴槽の前で、雲剣を取り上げて
 ジェウンの首に剣をあてて「服を脱げ!」と命じました。
 お前のために用意した風呂に入れ・・・
 そう自分の浴槽でジェウンに命じるフォンの胸の内は
 「王命に背くのは不忠である!」
 それを ジェウンに肝に銘じて欲しいがためでした。


 

 だいたい王専用の浴槽に 家臣が浸かることなど
 絶対に許されないことなのに
 フォンは王命なのだから「風呂に入れ!」と命じます。
 それは実は 王のお湯を与えてもいいほど
 お前を大切に思っている
という証でした。
 ジェウンが自分と兄のヤンミョンとの間で
 苦しみ悩んでいたことを フォンは分かっていたのです。
 しかし、王である自分を裏切って
 兄のヤンミョンに味方することは 
 雲剣を持つ資格のない者であると
 そうフォンはジェウンに念を押したのでした。
 ヒョンソンに雲剣を渡し
 「雲剣が風呂に入って 2刻以内に出たら
  その剣で斬れ!」
と言うフォンに
 ヒョンソンは訳が分からず驚くのでした。

 「お前に高い地位は与えられないが
  誰よりも 一番お前を大事にしている。
  だから苦しむな。お前の苦悩が伝わってくる。」


 優しいフォンの言葉でした。
 実は庶子であるジェウンは 
 王宮では高い位には就けませんでした。
 しかし、フォンは 彼を雲剣に取り立てて
 一番身近に置いて 信頼していたのです。
 それはジェウンも良く分かっていたので
 フォンへの忠誠心は 並々ならぬものがありました。
 ですが、ヤンミョンもジェウンも庶子同士なので  
 正妻の子ではない辛さを痛いほど味わった仲であったため
 その分、2人の心の絆も本当に強かったのでした。
 それだからこそ、ウォルが登場してからというもの
 フォンとヤンミョンの2人の狭間で 
 ジェウンは ずっと苦しかったのです。
 それでも、優しいフォンはそんなジェウンの心を理解し
 嘘の報告をした不忠を咎めはしませんでした。
 そんなフォンの優しさに ジェウンは胸を打たれ
 そして国王を裏切った自分を反省したのでしょう。
 フォンの心のような温かいお湯に十分浸かった後、
 ジェウンはフォンに深く詫びたはずです。
 そして、ヨヌがヤンミョンの母パク氏の元
 浄業院にいるという報告をしたのでしょう。




 
 フォンはその朝 早速、浄業院へジェウンを従えて
 ヨヌを王宮へ連れ戻しにと出向くのです。
 そして、ヨヌを渡したくないヤンミョンと
 フォンは対決することになります。
 しかしながら、その前に
 ヨヌはヤンミョンの気持ちを察しながら
 ヤンミョンにきっぱり別れを告げていました。




 巫女であった自分に優しくしてくれたヤンミョンに
 深くお礼を言いますが、それでもフォンを慕うヨヌは
 自分の気持ちを貫いたのでした。
 フォンがジェウンにヨヌを先に宮殿に
 連れて行くように促すと、ジェウンは従いましたし
 ヨヌも対立するフォンとヤンミョンを気にしながらも
 素直に王宮へと戻って行ったのです。




 そして、国王であるフォンは兄に
 自分のヨヌを奪うことは 反逆なのだぞと迫ります。
 そして、ヨヌを諦めさせるために
 ヤンミョンに真剣を渡して、謀反を起こす気なら
 この場で、自分と闘えと決闘を申し出るのです。
 そして、腕を怪我したヤンミョンに わざと負けて
 フォンが兄に首を差し出したのは 
 兄に王になるチャンスを与えたかったからでした。




 生まれた時から 正室の子として大事にされたフォンは
 兄でありながら 庶子であるために
 
陽明君が虐げられるのを 
 ずっと心苦しく思っていたのだと思います。
 王になれる素質を持った
陽明君のことを
 内心、尊敬していたフォンだったでしょうし
 何より、子どもの頃から大好きな兄には 
 納得してヨヌを手放してもらいたかったのです。
 たとえ王になったとしても ヨヌの心は得られない・・・
     ヨヌは私の妃だ・・・

 それを兄に分かってほしかったのでしょう。
 「斬ってください。何を迷っているのです。
  今すぐ首を斬るのです!!」

 フォンは
陽明君に怒鳴りますが
 優しい
陽明君は 弟の首など斬れませんでした。
 諦めて背を向けた
陽明君に フォンは諭します。
 「機会を逃したのは 兄上です。
  もう二度と 機会はありません。」

 
陽明君は悔しい気持ちが溢れますが
 それでも、フォンには敵わないと内心思ったはずです。




 相手の心理を深く読み、
 巧みな作戦で相手を負かすことが出来る弟。
 やはり、フォンには王としての資質が備わっていると
 
陽明君は納得して この時、剣と一緒に
 ヨヌを心で手放したのだと 私は思います。



 そして、兄と決着をつけたフォンは
 急いで ヨヌのいる王宮殿へと戻りました。
 ヨヌを慶成殿の一番奥の部屋に隠していたフォンは
 実は一抹の不安がありました。
 活人署で
陽明君と一緒にいたヨヌが
 笑顔でいたことが フォンを不安にさせたのです。


 奥の部屋にいるヨヌの心を
 フォンは確かめたいと思いました。

 「一つだけ聞いてもよいか?」
 「なんなりとお聞き下さい。」
 「余は そなたが望まぬのに 連れてきたのか?」
 「望まなかったと言えば 返すのですか?」

 そう言われて、フォンは驚きます。




 ヨヌは活人署に帰りたいのだろうか?
 ヨヌの心は 今は自分にはないのかと・・・
 しかし、そんなフォンの不安はすぐに吹き飛びます。
 「私の心は すでに王様のものですのに
  何が不安なのですか?」  
ヨヌのこの言葉に 
 フォンの胸は喜びで震えました。
 そして「戸を開けてもよいか?」と尋ね
 隠し扉が開かれて 現れた両班の娘服のヨヌは
 8年前に恋したヨヌとまったく変わらぬ
 愛らしさと気品を備えた 
 完璧なまでの美しい姿だったので
 フォンは口を開けて見惚れてしまいます。
 (この時のスヒョン君の演技は絶品です!)




 「近う寄れ。」「もっと!!」
 そうフォンが命じても
 恥ずかしくて 少ししか前に進まないヨヌに
 我慢できずに 自分から近づいて
 侍従たちがいるのも構わずに
 思わず胸に抱きしめてしまうフォンでした。
  (このシーンは大好きです!!)
 そして、恥ずかしがるヨヌに言われて気づき
 目だけでヒョンソンに 
 ”下がれ!”と命令するフォン。




 ヒョンソンは 幸せなフォンの様子が嬉しくて
 笑顔で去って行くのでした。
 それから2人きりになったフォンとヨヌは
 離れていた時間を取戻すように
  幸せな抱擁を続けました。



 「ヨヌ。」「はい王様。」
 「ヨヌ。ヨヌ。ヨヌ・・・」

 フォンは何度も何度も ヨヌの名前を呼びます。



 今まで夢の中でしか呼べなかった 恋しいその名を
 口に出せる喜びに フォンは酔いしれたことでしょう。
 そして、ヨヌのぬくもりを フォンはいつまでも
 いつまでも 感じていたかったに違いありません。





 こうしてヨヌを取り戻したフォンは  
 少しでもヨヌと一緒にいたいので
 普段なら思政殿で読む陳情書を
 ヨヌがいる慶成殿に運んで読んでいました。
 仕事をせねばならないけれど
 ヨヌが気になって仕方がないフォンだったのです。
 それなのに、部屋に籠ったままのヨヌが
 押し黙っていることがつまりません。
 ヨヌの存在を感じることがまったく出来ないフォンは
 耐え切れずに ヨヌに話しかけます。 
 「何をしているのだ?」
 「書物を読んでいます。」  

 本好きのヨヌは 読書に没頭していました。
 「王様は政務に専念してください。」
 そう言って”韓非子”という難しい本を読むふけるヨヌ。
 フォンはせっかく自分が隣の部屋にいるのに
 ヨヌが顔も見せてくれないのでがっかりします。
 政務もしなければならないけれど
 愛しいヨヌの顔を見たいフォンは 
 とうとう我慢できずに
 ヨヌの部屋に陳情書を机ごと運んでしまいます。
   この時の会話も面白いです。


 「8年ぶりなのに
  余は韓非子に劣るのか。」

 「もしや韓非子に嫉妬しているのですか?」
 「嫉妬などするものか!
        ・・・ただ虚しいだけだ。」

 「なぜ虚しいのですか?」
 「余は8年間 一度もよそ見をしなかった。
  宮廷に暮らしながら 純情を守ることに
  どれだけの精神力と
  体力が必要か知らんだろう!」

 「純情を守るのに 体力も必要ですか?」
 「当たり前だ!!血気盛んな男の眠れぬ夜を
  そなたは理解できるか?運動は必須なのだ!」



 「でも、”よそ見をしなかった”というのは
  嘘ではありませんか。」 
 「嘘だと?余が誰を見たのだ。」
 「毎晩 寝殿に来たウォルにときめきました。」
 「とんでもない!・・・確かに惹かれはしたが
  ・・・あれは・・・・・・待てよ・・・
  ウォルは そなただ!」

 「私ではなく ウォルを想ったのですから
     よそ見しました!」

 ここでフォンは吹き出すのです。
 自分に嫉妬するヨヌが可愛くて
 それを指摘されて 恥ずかしがるヨヌが
 愛しくて、愛しくて・・・





 フォンは 赤くなった顔を韓非子で隠したヨヌに
 「自分に嫉妬する そなたも可笑しいが
  同じ女に二度も恋をした
  余も まともではないな。」

 そう言って ヨヌに口づけするのでした。
 こうしてお互いの愛を確かめ合えた二人。





 ヨヌを身近に感じて、政務をするフォンと
 本から顔をあげれば フォンがすぐ傍にいるヨヌ。
 2人の幸せな時間は ゆっくり流れていきました。

 しかし、ヨヌと国巫のノギョンを亡き者にして
 8年前の世子嬪殺害の件を隠そうとする
 ユンデヒョンと大王大妃のユン氏は
 フォンがヨヌとノギョンを匿っていることを察すると
 2人をフォンから 何とか取り戻して消そうとします。
 自ら王宮殿に出向いたユン氏は
 以前、フォンが拷問を受けていたウォルを
 大王大妃に助けてほしいと願い出た際、
 ユン氏の願いを聞くと言った約束を守れと迫るのです。
 「星宿庁の国巫チャン氏と神娘を捜し出して
  私に引き渡してください。」

 フォンは なぜそんなことを頼むのかと聞き返しますが
 それはフォンが2人を匿っているからだと言う大王大妃。
 それでも、フォンはシラを切リますが
 8年前のことを先の王が隠した訳は
 それなりの理由があるのだから 過ぎたことは忘れて、
 真実を探るなと 大王大妃はフォンに諭すのです。
 「すべて主上のためなのです。
  正直に言えば、主上と主上が大切にする人を
  守るためなのです。」

 この言葉に フォンは動揺しますが
 約束は守るが 時間はかかると誤魔化して
 「必ず会わせるので待っていてください。」
 とだけ 大王大妃に答えるのでした。
 この時、フォンはどんな理由があるにせよ
 真実を突き止めて、ヨヌを亡き者にしようとした
 大法大妃とユンデヒョンを裁こうと心に決めていました。
 ヨヌとノギョンに大王大妃たちに会わせる場所は
 断罪の刑場なのだと。 





 しかしながら 事の真相を知っているヨヌは
 2人の会話を隣の隠し部屋で聞いていて
 真実を知れば どんなに傷つくのだろうかと
 フォンを心配して、胸を痛めるのでした。
 一方、フォンは 隠された真実とは
 何であるのか 不安になって考え込んでいました。
 自分と自分の大切な人をまもるために
 父である先の国王が隠した真実とは 何なのか。
 フォンにとって、一番大切な人・・・
 それはヨヌなので、フォンに訳が分かりません。




 夜が更けるまで 考え込んでいると
 奥の部屋から ヨヌが声をかけました。
 フォンは我に返って ヨヌに詫びます。
 「一日中、密室に閉じ込めて申し訳ない。」
 しかし、健気なヨヌは笑って言うのです。
 「王様のお傍ですから。
  お傍にいられるなら 密室でなく
  たとえ 地獄でも構いません。」

 ヨヌの言葉に 心が温かくなるフォンは
 暗くなったので、ヨヌをこっそり部屋から出して
 一緒に庭を散歩しようと誘いました。
 最小限のお供、ヒョンソンとジェウンだけ従えて
 フォンがヨヌを連れ出した先は 
 2人の思い出の隠月閣でした。
 ウォルの姿で最後に隠月閣であった際
 なぜ記憶が戻ったことを話さなかったのかと
 フォンは不思議に思ってヨヌに尋ねました。
 するとヨヌは もうフォンには王妃
 ポギョンが傍にいるからだと答えるのです。
 死んだはずの自分が生きていたと分かれば  
 王室と朝廷に波紋が起きるでしょうと言うヨヌ。
 そして、フォンの記憶を失くしていた
 自分が悪いのだからと 謙虚なヨヌは
 あの時、堂々と言えなかったのだと答えるのです。
 そんなヨヌに フォンはそれは違う。
 記憶を失くすほどの苦しみを救ってあげられなっかた
 自分が悪いのだと言うのですが
 ヨヌは8年間 自分を忘れずにいてくれただけで
 十分 幸せだったのだと言います。
 そしてこれから、たとえ自分のことを忘れても
 これからは 私が一生忘れずに
 お慕いして生きていくつもりでしたと微笑むヨヌでした。
 これには フォンは胸が痛くなりました。




 「余は 絶対にそなたを忘れない!
  そなたを苦しめた者たちを暴き出して断罪し
  無実の者を復権させ すべてを元通りにする。」

 そうきっぱりヨヌに断言するフォンに向かって
 ヨヌは過去のことは忘れてくださいと願います。
 先王が真実を隠したのは 理由があったからだと  
 ヨヌも大王大妃と同じことを言うので
 益々、不思議に思うフォンでした。
 「殿下を傷つける真実が怖いのです。
  私は 殿下のお傍にいられれば
  何も望みません。」
と言うヨヌ。
 「日も当たらない あんな場所がいいのか?」
 王妃としてヨヌを取り戻したいフォンがそう言うと
 「太陽の傍にいるので
  他の光は必要ありません。」

 あくまで、隠れた存在でいいのだと
 ヨヌは口にするのです。
 しかし、フォンは嫌でした。
 ヨヌのような聡明で、謙虚で美しい娘こそ
 国民の母になるべき女性なのだと
 そして、心から自分が愛するヨヌこそ
 自分の子供を産んで欲しい相手なのだと
 それだけは決して、譲れないと思うのです。



   私の妃はヨヌだけだ!!

 フォンはヨヌの手を引いて勤政殿に連れて行きます。
 勤政殿の王座の屏風には 太陽と月が描かれいました。
 フォンは言います。8年前に出会った時から
 聡明なヨヌを妃に迎えるつもりであったと。
 屏風に描かれてるように 
 王が太陽なら 王妃は月だ。
 だから、世子だったフォンは8年前に
 「そなたに 余の月になってほしいという
  求婚の証として渡すために。」
と言い
 ”太陽を抱く月”という特別な簪を
 一対で作らせたのだとヨヌに説明しました。  
そして、もう一方の”太陽を抱く月”の簪を  
袖から取り出し ヨヌに差し出すのでした。
 1本は世子嬪の時に渡したが、残りの1本は
 ヨヌが正嬪になった日に、
 ここで渡すつもりだったと言うフォン。
 ”太陽を抱く月”を手にしたヨヌは
 嬉しさが込み上げてきます。
 フォンは 8年前にヨヌに渡した片方の簪も
 活人署のヨヌの荷物から探し出し
 大事に袖に仕舞っていたので
 それも取り出して、ヨヌに渡して言うのです。
 「これでやっと、2つが一緒になれた。」
 2つの簪を手にしたヨヌは
 フォンの気持ちが嬉しくて、嬉しくて
 涙が溢れて 止まりませんでした。
 フォンは優しく、ヨヌの美しい涙を拭うと
 太陽と月の屏風の前で 熱い口づけを交わします。

  ”これでやっと、
     2人が一緒になれた”




 勤政殿で誠の愛を捧げたフォンは
 この先、どんな真実が明かされようとも
 ヨヌを王妃として取り戻す覚悟をしたのでしょう。
 それは国王として国民のためを思うことでもあり
 何より国王である前に 一人の男としての
    固い固い決心でした。