MicrosoftとFTCの裁判を正しく理解するためには、『独占』と『私的独占』との違いを正確に理解する必要があります。
私がダラダラ書くより公正取引委員会が分かりやすいツイートをしているので引用します。
【#2023ひとこと講座 8 独禁法】
— 公正取引委員会 (@jftc) 2023年4月17日
<私的独占って何?>
独占禁止法は、その略称から”独占を禁止している”と思われがちですが、正式名称からお分かりのとおり、禁止しているのは「独占」ではなく「私的独占」です。
では、「私的独占」がどのような行為かご存じですか?(続く)#独占禁止法 pic.twitter.com/2YFXpGAL3Y
上のツイートのとおり独占禁止法で規制している行為は『私的独占』です。
独占行為そのものを規制している訳ではありません。
例えばあなたが自分のお金で持ち家を買ったら、持ち家はあなたのもの、つまり独占です。
日本は民主主義・資本主義から当たり前ですね。
ゲーム業界で言えば、
任天堂がモノリスソフトの株を99%持ってる
→ゼノブレイド シリーズは任天堂機でしか出ない
SIEがポリフォニーデジタルに100%出資
→グランツーリスモ シリーズはPSにしか出ない
Microsoftがベセスダを親会社ごと買収した
→スターフィールドはXboxとPCでしか出ない
は、いずれも正しいです。
ですが、PSに出ない場合だけ何故かメディアや一部ユーザーから批判されます。
不思議ですね。
では、私的独占とは何でしょうか。
「私的独占」は、事業者が単独又は共同で、他の事業者の事業活動を排除したり、支配したりすることにより、市場における競争を実質的に制限することを指します。
— 公正取引委員会 (@jftc) 2023年4月17日
”市場が独占されている”状態が問題ではないのがポイントです。https://t.co/HdB5KcTYx8#独占禁止法 pic.twitter.com/AgipY8Pqka
簡単に説明すると、
ライバル企業の妨害
が規制対象となります。
長い間Xboxのユーザーやってると身に覚えが多すぎるんですよね。
- 何故か日本だけXbox版が出ない
- 何故かXbox版だけ日本語が入っていない
- 何故かゲームメディアがXboxの文字を隠す
今までは何かと難癖をつけて、上に挙げたような行為が日本では当たり前だと見逃されてきました。
私も過去の記事で散々書いております。
当時からソニーのせいだ、という意見もあるにはあったのですがいかんせん直接的な証拠がないため正面からの批判はできません。
それが、今回の裁判ではソニーの悪行が次々と明らかになりました。
一例ですが
Woooow, Activision leveraging Playstation's market power forced Microsoft to renegotiate revenue share. If Microsoft didn't do it COD would not be on Xbox.
— Post Up (@PostUp_SOG) 2023年6月22日
などと、Xbox版のソフトを出さないようにソニーが意図的に振る舞っていた事が公判廷で次々と暴露されてしまいました。
上のツイートで言えば
Microsoftが再交渉を余儀なくされた
の部分が該当します。
言い換えると
ソニーがアクティビジョン・ブリザードと排他的独占契約を結んでいたから再交渉を余儀なくされた
という事なのです。
これがまかり通るのなら独占禁止法という法律は死んでいます。
ですが、ここまでの事柄を日本では全くやっていません、と片付ける事は極めて非現実的です。
本件を日本のメディアが全く報じない事が最大の根拠です。
ものすごく一部分を『Microsoftは敗北を認めた』みたいに訳のわからない報道はしていますが、今回の裁判がどういうものなのか、何が問題になっているのか、公判でどのような事が述べられたのか、何故ジム・ライアンは出廷しないのか、など肝心な事は全く書かれていません。
分かりやすく例えるとジャニーズ事務所問題と同じ。
権力を持っていたジャニー&メリー両氏が亡くなった後になってようやく報道され始めた始末です。
日本のメディアってこの程度なんですよ。
本件を皮切りに日本でも大鉈が振るわれるべきです。
逮捕者が出てもいいし何なら一部のソフト会社が潰れたって構わない。
たとえソフト会社が潰れても次の会社がIPを買い取って引き継ぎますからユーザーは問題なく遊べるからです。
週明けには裁判が再開されます。
後半にはMicrosoftのナデラ社長や北米任天堂副社長が出廷されると聞いています。
どんな証言が飛び出すのか今から楽しみでなりません。