※ ちょっと長いです

 

今ですね、アメンバー限定で恋愛相談にちょこちょこ答えている途中なのですが、そのときにどうしても出てくる回答のひとつに「自分を愛すること」っていうのがあるのです。

 

「自分を愛すること」って、なんかよく言われるじゃないですか。

 

でも、これってすごくやっぱり奥義みたいに難しいことでもあると思うのです。ひたすらなんでも自分がやることはOKってわけじゃないですし。

 

それで、この「自分を愛すること」についてちょっとこういう話を聞いてもらいたいのです。お茶でも飲みながら。

 

漫画家の西原理恵子さんという方がいて、もうずっとファンなのですが、何年か前かは忘れてしまったのですが彼女がNHKの何かの番組に出ていたのです。たしか鬱病か何かを特集する番組だったと思います。

 

西原さんってご存知の方も多いと思うのですが、死別された旦那さんがいて、その方が戦場カメラマンだったのだけどいわゆるアルコール依存症になってしまって、昼間とお酒を飲んだ夜の表情がまったく違うって。それで、西原さんはやさしかった頃の旦那さんも知っているし、でも、夜になるとお酒を飲んで豹変してしまって本当にきつい精神的暴力を投げかけてくる旦那さんから小さいお子さんふたりを守りつつ、収入源である漫画も描き続けなければいけなかった。

 

そういう地獄のような生活があって、この辺の色々な経緯は西原さんの作品を購入して読んで頂きたいんですけど、最後の局面で旦那さんは自分で決意して家族のためにアルコール依存症を治す入院を決意したんですって。それから末期の癌が発見されてしまって。その後の展開はやっぱり本で読んでみてくれたら嬉しいです。

 

それでですね、私事なのですが、うちの父親もアルコール依存症だったのです。もううちの父親も亡くなっているのですが、酒を飲んだときに豹変する表情って、あれもうものすごくリアルに残ってるんですよ。人格がクルッて変わっていくやつ。これを読んでいる方の中でも経験がある方はいらっしゃると思います。そういう経緯があって番組を食い入るように見ていたのですが、インタビュアーの方が西原理恵子さんに「そのときのことを振り返ってどう思いますか?」って聞いたんですよ。そしたら

 

「しょうがない」

 

って答えたんですね。

 

僕は今まで生きてきてこれだけの「しょうがない」を聞いたことがなかったのです。

 

すごくないですか?そういう地獄のような体験をして、色々な想いがあって「しょうがない」っていう言葉が出てくることが。

 

西原さんの作品って全体的に「どんなに頑張ってもできない時がある」とか、そういう「しょうがない」があふれています。その「しょうがない」をどう乗り越えていくか、どうやり過ごすか、どう知恵を絞るか、どう笑いに変えるか、自分はどう生きるか。

 

だから、間違っているかも知れないのですけど、自分を愛するって「よし、こういう失敗もしたけどまた笑顔で頑張るぞ!」とか、そういう無理矢理なポジティブじゃなくて、今の自分の至らないところに対して「こういうところがあるの、しょうがない」と“責める”以外の視点で何%か見てあげることじゃないかって思うのです。

 

しょうがないから諦めるだけじゃなくて、どう知恵を絞って笑っていくか。「しょうがないよな本当。はっはっは」って言えることは、挫折じゃなくて挑戦だと思うのです。

 

もうすぐこの記事を終わりにしたいのですけど最後に、僕が敬愛する精神科医で本業歌い手の名越康文先生が

 

「人は全員なんらかの依存症を持っています」

 

と言っいたことがあったのです。確か講座か何かで。依存症って、何パーセントかの「破壊」をもたらすネガティブな行動なんだけど(明日学校があるのに夜中までゲームや携帯を見続けてしまう行動とか。朝起きれなくなるのがわかっているのにやめられない)、その依存の行動ってやっぱり気持ち良いのです。

 

だから、「なんらかの依存症を持っている」と思って、自分がそういうネガティブな思考とか行動をやり出したら「こういうの気持ち良いんだよな。依存症だな。しょうがないな」って思って、依存症が深くなる前に「てきどに付き合う」っていうのが一番だと思うのです。

 

自分を断罪する、罪悪感を持ち続ける。それが一番消耗するやり方で、でもそれをやり続けると自力救済がなくなって誰かを憎んで生きていくことにもなってしまう。だから、今回書いた文章って、全部を消化できなくてけっこうです。ただ、ときどきは「しょうがない」って言って自分を笑ってあげることって大事だと思いました。ネガティブにはまらない人なんていないわけだし。