前回のブログに書いた通り、

今年はリリース済みのサービスを

息もつかせぬ運用をしていく年
としていますが、
それに加えて社内で

「上場廃止ルール」と呼ぶ、
撤退ルールを明確に決めました。

『リリース後4か月経過した時点で、

コミュニティなら300万PV/月、

ゲームなら1000万円/月を

超えていなければ撤退検討』

というものです。

撤退基準を予め決めておくこと

ネットビジネスをやる上でものすごく

重要なことだと私は考えています。

ネットビジネスは先行メリットが大きく、

基本的にはローリスクハイリターンで、
新しい市場では経験を積んでおくこと

自体にも大きな価値があります。

それらの特性を踏まえれば、

致命傷にならない範囲の投資ならば、

できるだけたくさんのことに挑戦

したほうが賢明です。

それを可能にするのが、撤退ルール

なのです。

一度事業を始めると、当事者は

もちろんのことその上司も社長までも

途中で辞めるのは極めて困難です。
異動や採用した社員や、取引先や

取材で話したことまで、たくさんの人を

巻き込んでしまっているからです。

そして、それまで投じてきた資金と
時間と情熱と、そんなサンクコストを
肌身に感じて、

次の一手が当たるのではないか、

次の問題解決で好転するのではないか

とギャンブル中毒の患者のように

ずるずると撤退を先送りしがちです。
そうすると損失の規模が読めなくなり

致命傷の範囲に突入する可能性があります。
多数の挑戦をしていれば更に危険です。

予めこれを満たせなければ撤退と
いうのを決めておけば、
「ルールだから仕方ないよ・・」
と社長である私も抗えない力として
諦めがつくし、事前にある程度、関係者
にも事情説明もついているはずです。

予め決めておくのが大事なのは
それだけではありません。

ネットビジネスは撤退が大事な一方で、

成功するサービスは粘り勝ちである

という相反する側面もあります。
粘り抜けば勝てるサービスか、

ギャンブル中毒状態に陥っているのか

を判断するのは容易ではありません。
その場合、サービスの特性上、

基準が合わない場合を除いては、

予め決めておいた基準も超えられず、
言い訳がでるようなサービスは

やはり厳しいと判断すべきだと

思います。少なくとも体制は見直す

べきという判断ができます。

今回の基準はAmebaのサービスですが、

サイバーエージェント自体も、
2004年からCAJJ制度 を始め、
撤退基準を明確にしたことによって、
多くの新規事業に挑戦することが
できるようになりました。

サイバーエージェントが過去に

次々と新規事業を育ててこれたのは、

大量に新しいことに挑戦してきたことと、

それを可能にする撤退ルールがあった

からです。

ネットビジネスに失敗はつきもの

だから失敗は仕方ないことだけど、

撤退できないことは大問題です。

撤退基準を予め決めておくのは、

簡単なようで実は難しいことなので、

先送りしないように、意識してやる
必要があると思います。