男子/梅佳代
- 男子/梅 佳代
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小学生男子、嗚呼この愛すべき存在。
女子が幼稚園の段階ですでに、「アタシ●●君と結婚するもん」
とオンナモード全開なのに対し、
小学生男子はいつまでも「う●こ」「ちん●ん」なんて言っては
笑い転げている。
小学生男子といえば、こういうイメージをもっていたのだが、
現代の子供はもっと大人びているのかな、私が子供だったころのように
無邪気なアホじゃないのかな、ともちょっと心配していた。
でもこの写真集を見て安心。
おバカで愛すべき「男子」がちゃんとそこにいる。
「おちょけ」って言われてたんだろうなぁこの子、と思わせる、
とにかくサービス精神旺盛な少年たちだ。
おばちゃん、ホンっマに癒されるわぁ。
この写真集は、今とても人気の写真家である梅佳代が
学生時代に近所の小学生を撮影したものだそう。
世に出る前に撮ったもので、「狙って」ないのが功を奏したのかもしれない。
アヒルと鴨のコインロッカー/伊坂幸太郎
- アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)/伊坂 幸太郎
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現在と2年前の章が交互に出てくる。
そしてどちらの世界にも犯罪が絡んでいる。
現 在:語り手=椎名、犯罪=書店を襲う
二年前:語り手=琴美、犯罪=ペット殺し
この二つの世界、どこでつながるのか?
あいかわらずの良く出来たパズルのような構成。
たしかに、上手く繋げたなー、と思う。
読みながら、
「ああっ、そーか、そーだったのか、
そういえば、あーだった。だからそーなんだな」
なんて呟くことしきり。
でもなー、なんかそれだけかも。
小説を読みたいのに、
よくできた数式みたいな文章を見せられてもなんだかなぁ。
ブータンも、そりゃあいい国かも知れないけど、
(実は前から行ってみたかった)
よく知らない人間が憧れで書いているのが見え見え。
こういうのをスタイリッシュな文体っていうのなら、
スタイリッシュじゃないほうがいい。
最悪/奥田英朗
- 最悪 (講談社文庫)/奥田 英朗
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イン・ザ・プール、空中ブランコ、町長選挙、といった伊良部医師シリーズしか
知らなかったのでライトなコメディばかりを書く作家なのかと思っていたら、
なんのなんの、結構読みごたえのある作品じゃないですか。
真面目にコツコツと暮らしている人間が、
ほっといてくれれば、それからも毎日を積み重ねて暮らしていたはずなのに、
外野からの働きかけをきっかけに、まさしく坂道を転げ落ちるように
転落していく有様や、
パッとしない暮しにホトホト嫌気がさしている若者が、
その暮しからなかなかけ出せないことへの
身を焼かれるような焦燥感の描写は、
ちくちくと刺すようにこちらの心に迫ってきた。
うってかわっての後半は、ああやっぱり奥田英朗なのであるよな、というコメディぶり。
残念なのは、前半と後半の接続がうまくいってないような気がするところ。
ウルトラマンの背中のチャックを見てしまったみたいな気分。
犯罪小説という割には、「犯罪」の部分が簡単に行き過ぎてるように思う。
文庫なのに約650P、920円もして、結構な厚みがあるけど一気読みしてしまう不経済な本。
三日は持つと思ったのに。