『秋の城定祭り2019in ポレポレ東中野』を終えて。 | production-lenny-scriptのブログ

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『秋の城定祭り2019in ポレポレ東中野』
を終えて。


2週間、14日間に渡りありがとうございました。
毎日お越し頂いた方、10作品全てコンプリートして頂いた方、1作品でも見て頂いた方、いや、もうポレポレ東中野に足を運んで頂いた全ての皆様に感謝申し上げます。
本当に多くの方にご来場頂きまして誠にありがとうございました。

野球では日本シリーズがありラグビーではワールドカップがありと他に関心ごとの多い時期と丸被りのお祭りになってしまい心配しましたが、お陰様で大盛況のうちにフィナーレを迎えることができました!


また連日たくさんのゲストの方にもお越し頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。


今回はお越し頂けなくてもSNSや口コミで拡散して頂いた皆様、ありがとうございました。


『秋の城定祭り2019in ポレポレ東中野』はVシネに対する大きな危機感から城定作品の特集上映を企画しました。
我々がVシネマの制作に携わりはじめた当初は制作費も数千万円、撮影日数も10日で短い!と言われるような時代でした。
約20年前の話です。
それが時代の変化と共に制作費も撮影日数も半分、3分の1、5分の1と、どんどん縮小していきました。
それでも私たちはなんとか生き残り、ただただ踏ん張って制作を続けて参りました。
しかし作っているのはいいけど、本当にこのままでいいのか?という疑問は常に持っており、ずっと危機感を抱いておりました。
ふと気が付くと周りのメーカーでもあまりVシネを作っていない状態になっていて危機感は益々大きくなっていきました。

 

危機の原因はVシネ市場特有の構造における変化と縮小です。この市場の危機感について少し経緯と原因を説明します。

現在ではレンタルビデオ店で作品をレンタルすると言う事はほとんど無くなって来ました。
家に居ながらボタンひとつクリックひとつで多くの作品を楽しむことが出来ます。
この流れは今後も加速して行きますし、誰にも止める事は出来ません。
止まらないどころか、便利な世のかなになったなと、私もしっかり恩恵を受けている一人です。


その結果の代償と言いますか、これは制作している側の代償でしかないのですが、各作品をレンタルビデオ店でレンタルして観て頂いた時の売上に対し、クリックで観て頂いた時の売上はかなり減少します。

つまりレンタルとクリックでは利便性から見てもその差は歴然ですが、売上と言う側面から見てもかなり大きな差が開いてしまったと言う事です。
しかもレンタルビデオ屋さんで見つけて頂くよりもクリックで見つけて頂く方がだいぶ難しいという事にも気が付いてしまいました。
これが大きな原因であり、益々Vシネの危機は進んでいくばかりです。


ではどうすべきか?
自分に何度も問い質しました。
通常「売り上げが下がる」という事はイコール「世の中に必要とされなくなってきた」という事だと私は理解しております。御多分に漏れずVシネもまったく同じだと考えておりました。

しかし様々な角度から数字などを冷静に見て行くと、
「Vシネを観ている人の人数に大きな変化はないが、観る方法の変化によって売上は減っている」
と言う事が分かりました。

つまり世の中からまったく要らないと烙印を押された訳では無いと考えることが出来るようになりました。


しかし、このまま寝ていたら絶滅危惧種化し、やがて無くなるかもしれない、もしくは採算が合わずに制作したくても出来ないという現実に直面するはずだと思い始めました。
それが7~8年前です。


私はもがきました。この御時世でも制作させて頂く責任の取り方として作品に出資させて頂いたり、リアルな数字を把握する為にもなるべく共同製作と言う形で作品を制作させて頂いたり、1日撮り(27時間撮り)で出来るVシネというテーマで城定監督と新レーベルを作ったりしました。
それでもVシネという偏見に邪魔をされ、いや邪魔をされずとも作品自体を見つけて頂く事がとても難しいという現実に変わりはありません。
まずは「どうにか見つけて欲しい」、そして「一度でいいから観て欲しい」その事ばかりをずっと考えておりました。
そのもがきから出た発想のひとつが今回の「城定秀夫特集」です。
もちろん声を大にして「観てください!」と言うからには作品に自信が無いと言えません。
今回の10作品も自信を持って観て頂きたいと思っていた作品ばかりです。

 

この『秋の城定祭り』をやって良かったかどうかは正直まだ分かりません。
ただ一つ言える事は

「映画館でやっていたので初めて城定作品を観ました」

という方が大勢いらっしゃったという事実です。
まずは見つけて頂いて触れて頂く、そういう観点からはやって良かったと思っています。

勿論、今回の特集上映で城定監督の他作品も観たいと思って頂ければ開催させて頂いた意義は充分にあります。さらに城定監督を実力のある作家だと認識して頂いたり、是非この監督に撮ってもらいたいと業界関係者に評価して頂いく事も目的の一つではありました。しかしここまではあくまで副産物であり本来の目的には到達しておりません。
本来の目的を達成する事ができたのか結果が出るのはまだ先です。それは次の作品を作る事が出来るという結論が出た時、さらには継続して作って行けていると言う、その状況こそが最も重要であり最大の目的です。そこで初めて答えが出ると思っています。

 

そして今後は低予算だからという甘えや2日撮りだからというフィルターを抜きにしても皆様が観て面白いと思って頂ける作品を制作するために邁進し、これからもまだまだもがいて行こうと思います。

 

最後に、何通りも観る手段がある作品ばかりの城定作品の特集上映企画に乗って頂いたポレポレ東中野様、ありがとうございました。
また今回の企画を一緒に進めて頂き、時には私の背中を押して頂いたクロックワークスの皆様、ありがとうございました。


改めまして全ての皆様に感謝申し上げます。
誠にありがとうございました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。



2019年11月1日
『秋の城定祭り2019in ポレポレ東中野』
プロデューサー久保