25歳の僕は、端から見れば順風満帆に見えていたであろう芸能活動に行き詰まりを感じていて、同時に、スマホを中心とした大きな大きな時代の変化が起きていて、「このまま、この場所にいたら何者にもならないまま終わってしまう」と判断して、芸能界の外に飛び出してみました。

せっかく、演出してもらったプレイヤーを演じるテレビの仕事から飛び出してみたので、どうせなら自分かゼロから作れる世界を作りたいと思って、作品制作(絵本作り)を始めてみました。

そんなこんなで、3作の絵本を作りました。
なかなかの時間(7~9年)を費やして作ったのですが、売り上げ部数は、それぞれ3万部程度で、「知る人ぞ知る作品」になってしまいました。

とはいえコンスタントに作品を生み出しているのに、世間から聞こえてくる声は「キンコン西野、最近、何してんの? オワコンじゃね?」

“作品はお客さんに届かなかったら、作ったこととしてカウントされない”という圧倒的残酷な現実を突きつけられました。

そこから、どうすれば作品が届くのか、どうすれば自分の作品を『ヒット作』にすることができるのか、仮説&実験を繰り返して、なるほど『ヒット作』の作り方が見えてきました。


それら全てのノウハウをブチ込んだのが『革命のファンファーレ』であり、『えんとつ町のプペル』です。
くれぐれも言っておきますが、世間のサイズに合わせて『ヒット作』を作りにいったのではなく、自分が作りたくて作りたくて仕方がないものを作って、それを『ヒット作』にする方法です。

新刊のクラウドファンディング(予約販売)や、書籍の買い取りや、無料公開など…あれやこれやと球を投げ、それぞれの広告効果をまとめあげ、コンスタントにベストセラーを出せるようになりました。
今だと1万2000人を超えるオンラインサロンも後ろにつけているので、さらに。

作家としては、妬みを買うには十分すぎるぐらい願ったり叶ったりの状況だと思うのですが(言っとくけど、誰よりも届ける努力をしたからなっ!)、日本の人口1億2680万人に対して、『えんとつ町のプペル』の売り上げは37万部。

誰も知りません。

このブログに辿り着いてくださった方(間接的であろうと西野亮廣にアンテナを立ててくださった方)や、出版業界の人間は『えんとつ町のプペル』を知っていますが、一歩外に出ると誰も知りません。

年に2回ほど、海外で個展をしたり、海外のブックフェアに出展する機会をいただくのですが、海外に出ると顕著で、当然、僕のことなんか誰も知りませんし、僕の作品なんて、もっと誰も知りません。

取り巻きは「作家大先生」としてチヤホヤしてくださいますが、日本の出版業界の結果なんて、誰も知らないのです。

なんだよ、この世界。
僕たちは、こんな小さな世界に人生の時間を費やしているのかよ。

出版社はハイスピードで新刊を出し続けないと倒産してしまうので、日本では毎日200冊の新刊が生まれていますが、一冊あたりの本の売り上げは年々落ちていて、それでも回し続けなきゃいけない出版社や取り次ぎや本屋さんは日に日に疲弊していって、「面白い広告」に割く時間の余裕などありません。

ここ数年、出版社が仕掛けたニュースを耳にしていません。

これでいいんだっけ?

痩せ細っていく業界の構造からは目を背け、このまま自転車操業を繰り返して、小さな小さなお山の大将を生んで……本を愛した人達が作るエンターテイメントというのは、これでいいんだっけ?

この数ヵ月、出版社の人達や各地方の本屋さん達と何度も膝をつき合わせて呑みました。


揃いも揃って彼らは“本の可能性”を信じているし、とことん本を愛していました。
「でも、どうすりゃいいか分からない」といった感想を持っていて、それは僕も同じです。

ただ一つ言えることは、「仕掛けないと終わってしまう」ということです。

何がハマるか分からないですが、考えうる可能性すべてに賭けて、とにもかくにも仕掛けなきゃ。
それが上手くハマれば、後の人が続くだろう。
無料公開」が続いたように。


そこで。

予定していた新刊3冊の出版のタイミングを大きく調整し、一ヶ所に集め(3ヶ月連続リリース)、徳間書店、KADOKAWA、幻冬舎の偉いオジサン達に、話をしてみました。

「面白い本はこんなにたくさんあるのに、きっと今、世間の人達から『出版の業界は面白い』とは思われていません。新刊をベルトコンベアーに載せて、『売れたらラッキー』ぐらいのスタンスで仕事と向き合っている“ように”見られています。

僕らがやらなきゃいないことは世間の目を『本』に向けさせることで、本屋さんに足を運ぶお客さんのパイを大きくすることで、話はそれからです。

ちょっと小競り合いは一旦お休みして、出版業界からニュースを作りにいきませんか?

単刀直入に申し上げますと、徳間書店さんとKADOKAWAさんと幻冬舎さんの広告費を一つにして、3刊まとめて広告をうって、各新刊に残り2社の新刊の宣伝を挟みたいです」

僕から徳間書店さん、KADOKAWAさん、幻冬舎さんにお話ししたのは以上です。

『出版同盟』ですね。

3社とも二つ返事で引き受けてくださり、今日から12月にかけて、3社合同の広告が世に出回ると思います。


新世界新世界
1,500円
Amazon

これが、どう転ぶかなんて分かりません。
何の効果もないかもしれません。
でも、仕掛け続けて次の方法を見つけ出さなきゃ終わってしまうし、出版業界には僕の友達もたくさん勤めているので、見捨てることなどできません。

SNS時代は、ニュースを出すことではなくて、ニュースになることが大切で、その一つが今回の『出版同盟』です。
快く受け止めてくださった徳間書店さん、KADOKAWAさん、幻冬舎さん。
そして、今回の試みを面白がってくださった全ての書店さんに感謝します。

できることは、きっとまだまだあると思うので、できることからやっていきます。
紀伊国屋新宿本店さんの今日の様子

今日は堀江貴文さんとの共著『バカとつき合うな』の発売日。
本を置いてくださっている書店の挨拶まわりをしたいと思います。
僕なんぞのサインでよければ、何冊でも書かせていただきます。

宜しくお願い致します。


【オンラインサロン】
毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&地方創生を繰り返しています。
今日はこのあと『出版同盟の具体的広告戦略』についての記事を投稿します。
興味がある方は是非↓