この本は2000年、2005年、2010年に出版された本に掲載された短編小説が編集された物である。そこで前に掲載されていた小説と中身が若干変わっている。ただ一番古い小説が出されたのが20年前位なので、古い本は手に入りづらくなっていることから、このバージョンが正式となるかもしれない。

 

 

 最初の小説は怪盗クイーンが人工知能を盗む話。黒電話が残っているのに、人工知能も存在する。今はAIが使われていき、どんどん普通になっていく。そこでかえってここに登場する人工知能が未知の技術扱いされているところが、新鮮に感じる。AIについて考えることの増えた今、読むべき小説かもしれない。

 

 

 怪盗が良いのか悪いのか、その2つだと悪である。でもこの本では怪盗に隠された事情や、どうしようもない現実がある。世の中正しいことが何か、徐々にはっきりしなくなっていく。そこでどう行動すれば良いか、それについて考えるいいきっかけになるかもしれない。