そんなわけで私は着替えてからこっそりと部屋を出て、誰にもバレないように宮を出る。
夢花様のところに皇帝がいるらしい。となればそこに行こう。皇帝がどんな風に後宮で過ごしているのか、少し気になるし。
「また皇帝は夢花様のところへ」
「本当に愛されているのね」
「位が低いのに」
そんなひそひそ声を無視して、私は進む。
そうするとある宮へ入ろうとする男性を見つけた。あの人が皇帝だ。後宮には男性は入れないし、服装が立派だから、そうに違いない。
あの人もしかしたら会ったことがあるかもしれない。そんな考えをすぐに消す。
私は後宮でのんびりと暮らすだけでいい。それ以外のことなんてどうでもいいんだ。