"ーー我々の個人個人は技奴隷のにつながれて死ぬだろう。僕の小說はそのエピローグを書いた作品になるのだろう。
ーー題は何て言うんだね?
ーー『二十五時』、とトライアンが言つた。あらゆる救濟の試みが徒勞になる時間だ。メシアの降臨を以つてしても何ものも解決されない。それは最後の時間ではなくて、最後の時間の一時間後なのだ。これが西歐社會の正確な時刻だ。現在の時間だ。正しい時間なのだ。"

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Constantin Virgil Gheorghiu (1916-1992)
ORA 25 《Ora douăzeci și cinci》
原題 "La Vingt-Cinquieme Heure(Plon)" 1949

(ルーマニアのウィキ)
この小説は「20と5時」という題でルーマニア語で書かれ、Monique Saint-Cômeによってフランス語に翻訳されました。ルーマニア国内で出版できるようになったのは作者の死後、とりもなおさず共産主義の崩壊後でした。


(参照できたルーマニア版の資料)
Ora 25 (omegapres 1991)
ここに印刷に付される、ルーマニア語版として初めてのこの作品は、ルーマニア語とフランス語とそれぞれの手書き原稿を元に構成された。


今手元にあるのが筑摩書房版(1950)で、河盛好藏がプロン社のフランス語原書から翻訳なさったもの。『25時』には埴谷雄高が論じたものがあったのでそちらも探してみようと思う(たしか偽書と神話)。
この版にはガブリエル・マルセルがハックスレーに宛てた序が附されている。

≪...私はここで『二十五時』と、數間以內に刊行される筈のもう一人のルーマニア靑年作家の、あたかも絕の枕頭の書の如き感ある書『壞記』とを比較して考えざるを得ない。かりそめに、おそらくりただかりそめにれているにぎなぬ我々は、あたかも斷頭臺にある人類の臨デ・プロフンデイスにも似たこのような證言に最も注意深く且つ最も强い同の念を以て耳を籍さんとする氣持ちに驅られるのである。≫

*着色部は正確に変換出来なかった旧字箇所