#7 父親 | Cross Life Scripting

Cross Life Scripting

トライアスロン,工事現場,建築士,webプログラミング,データベースなど

無言の父との対面。
今さら何もできない。
ただ、どうしようもない無念さだけに包まれ、台所へ行って皿でも洗ってみた。
(もちろん何も起こらなかった)



父は、高校卒業後、東急建設に就職し工事現場監督として東急東横線の高架橋を造っていたそうだ。
その後、僕が生まれる数年前に浜松へ帰り、郵便局の配達員として働いていた。
極めて平凡な労働者という感じで、おまけに不器用で物事に疎い父親だった。
あれこれ言うタイプでは無く、僕の進路にも一切口を出さなかった。


容体が急変し救急車で病院へ運ばれるものの、一時は「大丈夫です。」と先生に言われ、母と兄が家へ帰るとすぐに病院から電話。
病院に駆けつけると全身配線だらけで上に主治医が馬乗りになって心臓マッサージをしていたそうだ。
なんとも父親らしい、不格好な死に方だ。


3年後
僕が世界学生選手権日本代表選手として日の丸を胸にハンガリーまで遠征したこと。
日本学生選手権(インカレ)で3位に入ったこと。
そんなこと、父は知らない。


初トライアスロン 失格。
それが、僕が父に捧げられた唯一のトライアスロン結果である。


- 終わり -