ベーコンといっても、食べるベーコンではない。
15-16世紀の英国の学者であった Francis Bacon のことである。

既に記事 (*) を書いたのだが、ロバート・リテル 『チャーリー・ヘラーの復讐』 を読んだ。

 * http://ameblo.jp/malikun01/entry-10120483326.html

この小説の主人公は CIA の職員なんだけど、仕事は暗号にかかわることをしていた。
で、その小説の中に、ベーコンの暗号に関する話が出てくる箇所がある。

「ベーコン 暗号」 で検索してみたら、

 hirax.net::奇説・シェイクスピア=北斗神拳説::(1999.11.28)

というのは出てきたけど、他にはパッとしたものを見かけなかったので、
メモ代わりにちょっとだけ書いておく。

「ベーコンの暗号」 というのは勝手な命名だが、分り易いと思う。
内容もシンプルだ。

 aaaaa = A aaaab = B aaaba = C aaabb = D aabaa = E aabab = F ・・・

と、こういうふうにして、A から Z までが割り当てられる。

この a や b を組み合わせた5文字を A~Z の代用にする、というのではない。
それでは余りに単純で、暗号文だということが容易に見破られて、解読されてしまう。

ロバート・リテルの上記の小説には、たとえば次のような例が出ている。

 thiS booK IS dedicAted to tHE GraNdpaReNts ・・・ (以下略)

この文を 「解読」 するには、小文字アルファベットを a とみなし、
大文字のアルファベットを b とみなして、5文字づつ区切る。

 thiSb ooKIS dedic Atedt otHEG raNdp aReNt s ・・・
 aaaba aabbb aaaaa baaaa aabbb aabaa ababa a

というパターンを導き出すのである。そして、それぞれに文字を当てはめていく。

 aaaba aabbb aaaaa baaaa aabbb aabaa ababa a
  C   H    A   R   H    E    L

要するに、主人公の名前 (Charlie Heller) が埋め込まれている、というわけ。

にしても、すごく単純で、ベーコンの意図は、これを暗号として使う、
というところにはなく、この2種の文字の5つの組み合わせで、
すべてのアルファベットが表記されてしまう、ということを示すにあった。

考えてみると、これはコンピューターで用いる2進法と同じである。
a を 0 とし、b を 1 にすればいいだけで、5つのビットの組み合わせ。
ベーコンの考えていたことの先進性をうかがうことが出来る。