Anerkennung / 外国の職業資格の切替 | まこBlog in ドイツ

Anerkennung / 外国の職業資格の切替

Anerkennung (アナケヌング)とは、ドイツ語で『承認』という意味ですが、外国人が祖国の職業資格や学歴を書き換える、もしくは承認する作業の意も取ります。

私の勤務する介護施設で働いている、外国人介護職員は、シリア人従業員5人中4人が祖国で看護師免許持ちです。

それは、ドイツを含めヨーロッパの国々は、基本的に職場に入ってからの教育はなく、初めから業務に精通していて即戦力となる経験者しか採用しない傾向があるからです。

経験を証明する資格や経歴書がないと、まず採用されませんので、経験がなければ、インターンやドイツ語でいうプラクティクムと言った実習を、まずは無給で行う事となります。

実習で経験値をつけて、その業務に問題なく従事出来ると証明出来て初めて採用となるのです。

経験無しで採用されるのは、コネ位です。

大卒の就職活動でも同様で、学んだ専門に特化した部署でないと基本採用はないので、在学中から興味のある職種に実習に赴き、経験とコネを得る為の活動が必要になります。

大卒の地位は高いですが、それと就職のしやすさは全く別物です。

その点、日本は未経験者でも、給料まで貰えて教育して貰えるのですから、随分高待遇だなと思います。

新卒とか、経験関係なく大企業に就職出来るチャンスも貰えるわけで、これは日本独特の採用システムですね。

介護職に関していえば、外国人でも、祖国で看護師免許持ちならば、ヘルパー業務は難なくこなせるだろうと見込まれ、採用となるケースが多いのが現状です。

私の場合は、看護師免許もなく、全くの介護未経験者でしたので、無給実習→職業訓練を得て、卒業実習を実施した今の勤務先で、資格取得後そのまま採用となりました。

人手不足の介護職であろうが、他の職同様、未経験者採用不可、経験を重視し、それが書面で証明されたものを履歴書に添付しないと採用とならないのが、ドイツです。

しかしながら、

シリア人同僚達は、祖国の看護師免許があるにも関わらず、言葉の問題があるとはいえ、介護ヘルパーで従事し続けるのは勿体ないな、彼らはAnerkennungを知らないのかな?と不思議に思っていたのですが、

この度同僚のひとりが、Anerkennungの情報を掴み、8ヵ月の実習に入る事になりました。

ドイツは、ドイツ語さえクリアーすれば、祖国の看護師免許を比較的短期間でドイツの看護師免許に切替が出来ます。

ドイツの国家試験は州単位でして、州によって、出身国によって、看護職の経験日数によって、切り替え条件が異なりますが、大きく分けると、

①補習校に通い試験に合格して切り換える(場合によっては+病院実習)

②6ヵ月以上の無給(もしくは有給)の実習をして、免許切替

の2つが主流となるようです。

どちらを選択しても、切替に1年はかかりませんし、②を選べば学校費用の負担もなし、①に関しても失業手続きをしていれば、補習校費用の援助を受けられるケースもある。

もし海外で看護師として働きたいのならば、ドイツは比較的容易に金銭的負担も少なく、チャンスを得られる国なのではないかと思います。

但し、

①要ドイツ語力
②給料低い
③受付けた州や自身の経験によって、承認の為に提示される情報がバラバラなので、自身で根気よく情報を集めなくてはならない。

は覚悟しなくてはなりませんが。。

ドイツは看護師の地位が非常に低く、日本や英語圏の国々のような高給は見込めません。

何しろ大卒の看護学を修める機関はなく、職業訓練は3年のみですし、今は看護師と介護士の地位を同等にされてしまったので、尚更アシスタント的な地位になってしまいました。

看護師と介護士の職業訓練自体、現状3年のうち2年は全く同じ内容を学びます。

2020年以降は、3年間、看護師と介護士は全く同じ教育プログラムに移行する事も決定しています。

(つまり、ドイツの介護士とは、看護業務を行う者を指し、介護施設に入ったならば施設付き看護師の役割を担います。もちろん看護師も可です。よってドイツの介護施設の現場では、看護業務に当たる看護師&介護士を、まとめてFach(ファッハ/専門職)と呼んでいます。日本の介護士は、ドイツでは介護ヘルパー職に当ります。)

日本とは違い、給与を含め、アシスタント的な扱いをされる事は覚悟しなくてはなりませんが、それでもドイツやヨーロッパに興味があって海外暮しをしてみたい方には、融通の効いたシステムかも知れませんね。(但し滞在&就業許可所有が前提)

現にブログでお知り合いになった日本人看護師さんで、ドイツの看護師免許に切替えて働いていらっしゃる方を何人も知っています。

サイトを漁っていたら、ドイツの教育&研究省?の公式サイトで、Anerkennung finder という、職業別に切替の是非が確認出来るサイトを発見したので、リンクを貼っておきます。

Anerkennung finder

リンクは Gesundheits- und Krankenpfleger (保健師及び看護師/ドイツの看護師の正式名称) になっておりますが、他の職業も検索可能です。

更には、難民者の為のAnerkennungとか、難民増加の時勢を受けて、難民ページはアラビア語のページまで用意されている周到さです。

うちの職場の子もこういうの色々情報を集めて、Anerkennungの準備を進めたのでしょう。

折角の資格ですし、職場を去るのは残念ですが、是非頑張って欲しいです!

Anerkennung finder、もし興味がある方は、覗いて見て下さい。

その他、外国人に割と人気なのは保育士のAnerkennungかな。。

日本人やその他の国籍の友人が実習を得てドイツの保育士免許に切替えたいう話を、リアルでも聞きますし、ブログを通じてもよく目にします。

Anerkennungの記事は、他職でも応用出来ると思いますので、取り敢えず、ドイツでお仕事のブログカテゴリーに収納して置きます。