日之本文書総覧 ロシアウクライナ侵攻史 第6445回

 

10月24日 NHK

ロシア国防相 「汚い爆弾」に一方的に懸念を表明

ロシア国防省は、ショイグ国防相が23日、アメリカのオースティン国防長官をはじめ、NATOに加盟する一部の国の国防トップと相次いで電話会談を行ったことを明らかにしました。

このうち、フランス、トルコ、イギリスの国防相との会談の中でショイグ国防相は、ウクライナ側が放射性物質をまき散らす爆弾、いわゆる「汚い爆弾」を使用する可能性について一方的に懸念を表明しました。

これに対してウクライナ側はロシア側の情報のねつ造だと強く反発していて、ゼレンスキー大統領は23日に公開したビデオメッセージで「この戦争で想像できるすべての汚いことの元凶が何か、みんなわかっている。最初にザポリージャ原子力発電所で核の脅迫をしたのはロシアだ」と強く反論しました。

 

10月24日 NHK

 

松野官房長官 “人々に寄り添った支援を実施していく”

松野官房長官は、24日午前の記者会見で「ロシアの攻撃により、ウクライナ各地で多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止めている。民間人や発電所を含む民間施設への攻撃は、国際法違反で断じて正当化できず、強く非難する」と述べました。

そのうえで「日本は力による一方的な現状変更の試みを決して看過しない。冬の厳しい寒さが待ち受ける中で、ウクライナの人々に寄り添った支援を実施していく。G7=主要7か国をはじめとする国際社会と連携し、強力な対ロ制裁、およびウクライナ支援を実施していく」と述べました。

 

10月24日 NHK

 

ロシア国防相 「汚い爆弾」に一方的に懸念を表明

ロシア国防省は、ショイグ国防相が23日、アメリカのオースティン国防長官をはじめ、NATOに加盟する一部の国の国防トップと相次いで電話会談を行ったことを明らかにしました。

このうち、フランス、トルコ、イギリスの国防相との会談の中でショイグ国防相は、ウクライナ側が放射性物質をまき散らす爆弾、いわゆる「汚い爆弾」を使用する可能性について一方的に懸念を表明しました。

これに対してウクライナ側はロシア側の情報のねつ造だと強く反発していて、ゼレンスキー大統領は23日に公開したビデオメッセージで「この戦争で想像できるすべての汚いことの元凶が何か、みんなわかっている。最初にザポリージャ原子力発電所で核の脅迫をしたのはロシアだ」と強く反論しました。

 

10月24日 NHK

 

米英仏 ロシア側の「汚い爆弾」主張をけん制

アメリカ国務省は23日、アメリカとイギリス、それにフランスの3か国の外相による共同声明を発表しました。

この中ではロシアのショイグ国防相が放射性物質をまき散らす爆弾、いわゆる「汚い爆弾」をウクライナが使用する可能性に一方的に懸念を表明したことについて「われわれは見え透いた虚偽の主張は受け入れられないと明確にした」としています。

そのうえで「世界は、事態を悪化させる口実にこのような主張を利用するいかなる試みも見抜くだろう」としてロシア側をけん制しています。

また、3か国はウクライナの主権と領土の一体性を支持することやウクライナへの支援を継続することも改めて表明しました。

 

10月24日 NHK

 

ロシアのウクライナ侵攻8か月 冬を前に攻防いっそう激化か

ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めてから24日で8か月となります。
ウクライナ軍は、南部ヘルソン州で反転攻勢を強める一方、ロシア軍は、発電所などへの攻撃を繰り返してウクライナ側を心理的に追い込むねらいともされ、冬を前にして双方の攻防がいっそう激しくなるとみられます。

ウクライナ軍は、9月から東部や南部で領土奪還に向けた反転攻勢を強め、ロシアが一方的な併合に踏み切った南部ヘルソン州では、ウクライナ軍の反撃が続いています。

ヘルソン州の親ロシア派は、住民の強制的な移住を進めるとともに、ロシア軍も部隊の撤退を始めたとされ、ことし3月以降、ロシアに占領されている中心都市ヘルソンを巡りウクライナ軍の奪還に向けた攻防が焦点となっています。

一方、ロシア軍は、今月中旬からミサイルやイラン製とみられる無人機も使い、発電所などエネルギー関連施設を狙った攻撃を繰り返しています。ウクライナ各地では停電が相次いでいて、冬が迫るなか、ロシア側としてはウクライナ側を心理的に追い込むねらいともみられます。

 

10月24日 NHK

 

ロシア国防相とアメリカ国防長官が電話会談

ロシア国防省によりますと、ショイグ国防相が23日、21日に続いて、アメリカのオースティン国防長官と電話会談を行ったということです。ショイグ国防相は、23日にはフランス、トルコ、イギリスの国防相とも相次いで電話で会談していて、プーチン大統領が核戦力の使用も辞さない構えを示すなど緊迫した情勢が続くなか、一連の会談でどういう議論が交わされたのか関心を集めています。

アメリカ国防総省も23日、オースティン国防長官がロシアのショイグ国防相と電話会談を行ったと発表しました。

発表によりますと、会談はロシア側の要請で行われオースティン国防長官はウクライナへの軍事侵攻が続く中、事態を緊張化させるロシア側の主張は受け入れられないとしたうえで米ロが意思疎通を継続することの重要性については確認したということです。

 

10月24日 NHK

 

ロシア「ワグネル」防衛線の構築を始める

ロシアの独立系メディア「メドゥーザ」などは、プーチン政権と関わりが深いとされる民間軍事会社「ワグネル」が、ウクライナ東部ルハンシク州のほか、ロシアのベルゴロド州とウクライナとの国境付近などで今月から防衛線の構築を始めたと伝えています。

このうち、ウクライナ東部ルハンシク州で撮影されたとする映像では、白い三角すいのコンクリート製のブロックが2列に並べられている様子が写っています。これは、戦車の走行を阻むためのもので列の間には、地雷を設置すると伝えられています。

今月6日に撮影されたという衛星画像では、このブロックから100メートルほど離れたところでも並行してさらに2列のブロックが設置されているほか、ざんごうが掘られているのも確認できま

一方、ウクライナと隣接するロシアのベルゴロド州でも22日、州知事が自身のSNSに白いブロックが並んだ写真を投稿しています。ただ、「メドゥーザ」は、第1次世界大戦のあと、フランスが、「マジノ線」と呼ばれる防衛線をつくったものの、ナチス・ドイツがう回して進軍したため阻めなかったことを挙げ、「ウクライナ軍は、防衛線がなくロシアの部隊も少ない北側から突破するだろう」と指摘しています。

 

10月24日 NHK

 

ウクライナ各地で停電 24日も節電呼びかけ

ウクライナでは、各地で停電が起きています。

23日、首都キーウ中心部にあるレストランでは、午後4時半ごろ、店内の照明が突然、消えました。店では客席にろうそくで明かりをともしたり、携帯電話のライトを使って伝票や食材を確認したりして営業を続けていました。

店員は「今は戦争中です。冷蔵庫に電気が必要で停電は4、5時間なのか1時間なのかわかりませんが、食材を氷で冷やして鮮度を保ちたいと思います」と話していました。

国営の電力会社は24日も全国で電力の使用が制限されるおそれがあるとして、引き続き、できるかぎりの節電を呼びかけています。また、地元の電力会社はホームページで地域ごとに停電になるおそれがある時間帯を示していて、市民に対しホームページの内容を確認のうえ計画的に電気を使ってほしいとしています。

 

10月24日 NHK

 

米英仏 ロシア側の「汚い爆弾」主張をけん制

アメリカ国務省は23日、アメリカとイギリス、それにフランスの3か国の外相による共同声明を発表しました。

この中ではロシアのショイグ国防相が放射性物質をまき散らす爆弾、いわゆる「汚い爆弾」をウクライナが使用する可能性に一方的に懸念を表明したことについて「われわれは見え透いた虚偽の主張は受け入れられないと明確にした」としています。

そのうえで「世界は、事態を悪化させる口実にこのような主張を利用するいかなる試みも見抜くだろう」としてロシア側をけん制しています。
また、3か国はウクライナの主権と領土の一体性を支持することやウクライナへの支援を継続することも改めて表明しました。

 

10月24日 NHK

 

ロシアのウクライナ侵攻8か月 冬を前に攻防いっそう激化か

ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めてから24日で8か月となります。
ウクライナ軍は、南部ヘルソン州で反転攻勢を強める一方、ロシア軍は、発電所などへの攻撃を繰り返してウクライナ側を心理的に追い込むねらいともされ、冬を前にして双方の攻防がいっそう激しくなるとみられます。

ウクライナ軍は、9月から東部や南部で領土奪還に向けた反転攻勢を強め、ロシアが一方的な併合に踏み切った南部ヘルソン州では、ウクライナ軍の反撃が続いています。

ヘルソン州の親ロシア派は、住民の強制的な移住を進めるとともに、ロシア軍も部隊の撤退を始めたとされ、ことし3月以降、ロシアに占領されている中心都市ヘルソンを巡りウクライナ軍の奪還に向けた攻防が焦点となっています。

一方、ロシア軍は、今月中旬からミサイルやイラン製とみられる無人機も使い、発電所などエネルギー関連施設を狙った攻撃を繰り返しています。ウクライナ各地では停電が相次いでいて、冬が迫るなか、ロシア側としてはウクライナ側を心理的に追い込むねらいともみられます。

 

10月24日 NHK

 

ロシア国防相とアメリカ国防長官が電話会談

ロシア国防省によりますと、ショイグ国防相が23日、21日に続いて、アメリカのオースティン国防長官と電話会談を行ったということです。ショイグ国防相は、23日にはフランス、トルコ、イギリスの国防相とも相次いで電話で会談していて、プーチン大統領が核戦力の使用も辞さない構えを示すなど緊迫した情勢が続くなか、一連の会談でどういう議論が交わされたのか関心を集めています。

アメリカ国防総省も23日、オースティン国防長官がロシアのショイグ国防相と電話会談を行ったと発表しました。

発表によりますと、会談はロシア側の要請で行われオースティン国防長官はウクライナへの軍事侵攻が続く中、事態を緊張化させるロシア側の主張は受け入れられないとしたうえで米ロが意思疎通を継続することの重要性については確認したということです。

 

10月24日 NHK

 

ロシア「ワグネル」防衛線の構築を始める

ロシアの独立系メディア「メドゥーザ」などは、プーチン政権と関わりが深いとされる民間軍事会社「ワグネル」が、ウクライナ東部ルハンシク州のほか、ロシアのベルゴロド州とウクライナとの国境付近などで今月から防衛線の構築を始めたと伝えています。

このうち、ウクライナ東部ルハンシク州で撮影されたとする映像では、白い三角すいのコンクリート製のブロックが2列に並べられている様子が写っています。これは、戦車の走行を阻むためのもので列の間には、地雷を設置すると伝えられています。

今月6日に撮影されたという衛星画像では、このブロックから100メートルほど離れたところでも並行してさらに2列のブロックが設置されているほか、ざんごうが掘られているのも確認できます。

一方、ウクライナと隣接するロシアのベルゴロド州でも22日、州知事が自身のSNSに白いブロックが並んだ写真を投稿しています。ただ、「メドゥーザ」は、第1次世界大戦のあと、フランスが、「マジノ線」と呼ばれる防衛線をつくったものの、ナチス・ドイツがう回して進軍したため阻めなかったことを挙げ、「ウクライナ軍は、防衛線がなくロシアの部隊も少ない北側から突破するだろう」と指摘しています。

 

10月24日 NHK

 

ウクライナ各地で停電 24日も節電呼びかけ

ウクライナでは、各地で停電が起きています。

23日、首都キーウ中心部にあるレストランでは、午後4時半ごろ、店内の照明が突然、消えました。店では客席にろうそくで明かりをともしたり、携帯電話のライトを使って伝票や食材を確認したりして営業を続けていました。

店員は「今は戦争中です。冷蔵庫に電気が必要で停電は4、5時間なのか1時間なのかわかりませんが、食材を氷で冷やして鮮度を保ちたいと思います」と話していました。

国営の電力会社は24日も全国で電力の使用が制限されるおそれがあるとして、引き続き、できるかぎりの節電を呼びかけています。また、地元の電力会社はホームページで地域ごとに停電になるおそれがある時間帯を示していて、市民に対しホームページの内容を確認のうえ計画的に電気を使ってほしいとしています。

 

プーチンは1000万や2000万人の犠牲は厭わない

10/24(月) 18:20配信

ニューズウィーク日本版

<劣勢に立たされるロシア軍が、不名誉な撤退を糊塗するための「偽旗作戦」に出る可能性も>

元ロシア外交官のボリス・ボンダレフはテレビ局の取材に答え、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の「運は尽きた」との見方を示した。 プーチン「重病説」を再燃させる「最新動画」...脚は震え、姿勢を保つのに苦労 ボンダレフはジュネーブのロシア国連代表部に勤務する外交官だったが、ロシアによるウクライナ侵攻に抗議して5月に辞職。その際に発表した書簡で彼は、「(侵攻は)ウクライナの人々に対する犯罪であるばかりか、ロシアの人々に対するこの上なく深刻な犯罪だ」と述べている。 ボンダレフは10月23日に放送されたスカイ・ニュースのインタビューでこう述べた。「権力の座にあった20年間、プーチンは運がよかっただけだと思う。賢いのではなく、単に運がいいだけだ。もはやその運も尽きた」 またボンダレフは、プーチンは「この戦争に勝ち、ウクライナ人をせん滅するためだけに1000~2000万人のロシア人を犠牲にする」ことも辞さない、との見方を示した。「(この戦争が)信条の問題であり、彼にとっては政治生命の問題だからだ」 「理解しなければならないのは、敗戦は彼にとって終わりを意味するということだ」とボンダレフは述べた。 またボンダレフは、もし戦争に負ければプーチンは「社会の中枢にいる人々にも一般国民にも、なぜそうなったのか説明しなければならないだろう。説明するにあたって都合の悪いことが出てくるかも知れない」とも述べた。 偽情報を拡散するためにインフラ攻撃? ロシア軍は侵攻開始直後の2月から占領を続けていた南部ヘルソン州で劣勢に立たされている。アメリカのシンクタンク戦争研究所が先ごろ出したリポートによれば、ロシアは「計画中のロシア軍の撤退や、ヘルソン州でかなりの広さの占領地を失ったことを正当化するために」口実となる状況をあらかじめ設定しておこうとしているという。 戦争研究所はまた、ロシア軍はいわゆる「偽旗作戦」を計画していると指摘する。つまりウクライナ軍のふりをして、ヘルソン市の東50キロ圏内にあるカホフカ水力発電所を攻撃しようとしているというのだ。 「ロシア政府はそうした偽旗攻撃をヘルソン州西部で行い、ロシア軍の3つめの惨めな撤退のニュースをウクライナの汚い攻撃のせいにしようとするかも知れない」と戦争研究所は指摘する。「そうした攻撃は、ウクライナを『一般市民を故意に標的とするテロ国家』として描くロシアの偽情報作戦の一環でもあるだろう」 ロシア政府は20日、不法に併合を宣言したウクライナ東部4州に戒厳令を敷いた。ヘルソン州もその対象だ。一方でロシア軍が占領地域から撤退しているとのニュースも相次いでいる。

プーチンは1000万や2000万人の犠牲は厭わない

 

ニューズウィーク日本版

「これから2カ月はいいニュースはない」

19日にはロシアの国営テレビの番組に出演したジャーナリストが、今後数カ月の間にロシアを待ち受けるのは「深刻な」占領地の喪失かも知れないと述べた。 「大事なのは耐えることだ。11月いっぱい、もしかすると12月に入ってもしばらくは歯を食いしばって耐え抜かなければならないだろう。これから2カ月はいいニュースはないだろう」と、ジャーナリストのアレクサンドル・コチは述べた。 23日、ロシア高官と国営メディアはそろって、ウクライナがロシアからの攻撃を装って放射性物質をまき散らす「汚い爆弾」を自国内で使う計画を立てていると主張した。ロシア政府に対する内外の批判を強めるのが目的だという。 だがトゥレーン大学のクリストファー・フェトワイス教授(政治学)は23日本誌に対し、ロシアの世論はプーチンに「背を向け」つつあり、今回の主張もウクライナに対する恐怖をあおるのが目的と見られると述べた。

ザンダー・ランデン

ICBMで核攻撃されたらアメリカも身を守れない

10/24(月) 18:07配信

 

ニューズウィーク日本版

<ウクライナの戦争で核の使用が取り沙汰される時代になったが、アメリカ本土の核防衛は実は穴だらけだ>

 

ロシアのウクライナ侵攻をめぐる緊張が世界中で高まり、核兵器が使われる可能性すら議論されるなかで、アメリカは核攻撃から身を守ることができるのかという疑問が浮上している。 【動画】米ロ全面核戦争シミュレーション 残念ながら、その答えは一言でいえるほど単純ではない。アメリカには地上配備型ミサイル防衛(GMD)と呼ばれる対核兵器防衛システムがあり、北朝鮮の核ミサイルであれば打ち落とすことができるかもしれない。だがはるかに大規模で高度な核兵器を保有するロシアや中国がミサイルを大量に撃ち込んでくれば、簡単に打ちのめされてしまうだろう。 アメリカは膨大な量の核兵器を保有している。これは、核攻撃を受けないようにするための相互確証破壊(MAD)のドクトリンに基づく抑止策だ。アメリカに向かって核ミサイルを発射する国は、防衛が不可能なほど迅速に、圧倒的な量の核ミサイルで反撃されることを覚悟しなければならない。 ロシアも中国も、アメリカに対して核兵器を使用すると真剣に脅したことはない。しかし、ウクライナや台湾をめぐる緊張が高まるにつれ、将来的には状況は変わるかもしれない。 ICBMの迎撃はほぼ不可能 核戦争防止についての著作もあるワシントン大学のデビッド・バラシュ教授(心理学)は、核搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)を、アメリカが撃ち落とすことができる可能性は「極めて低い」と本誌に語った。 「ウクライナでの『対ミサイル防衛システム』がほどほどに成功したからといって、惑わされてはいけない」と、バラシュは言う。「現在、攻撃が想定されているのはほとんどが時速500キロ程度の巡航ミサイルだが、大気圏に再突入する弾道ミサイルは時速1万5000キロに達する」。 「ミサイルの迎撃は桁外れに難しい。フルシチョフはそれを『弾丸に弾丸を当てる』ようなもの、と表現した。それ以来、対ミサイル技術は進化したが、攻撃技術も進化した。どの国にとっても、ICBMの迎撃に成功する見込みは極めて低い」と、彼は言う。 「アメリカでテストされたABM(対弾道ミサイル)システムの成功率は50%をかなり下回っていた。しかもそのテストでは、ABMのオペレーターがミサイルのルートと、ミサイルが迎撃システムの射程に「入ってくる」時と地点を事前に知っていた。この分野では攻撃側が圧倒的に有利だ」と、バラシュは言う。 「ICBM1基でも、複数の多目標核弾頭(MIRV)を搭載し、防衛力を圧倒することができる。この弾頭には機動性があり、防御用レーダーを混乱させるための「チャフ」(金属片のようなもの)を搭載できる。最も重要なことは、大破壊を引き起こすためには、ごく少数の兵器を使うだけでいいということだ。唯一の安全策は、核兵器が決して使われないようにすることだ」。


ICBMで核攻撃されたらアメリカも身を守れない

10/24(月) 18:07配信

ニューズウィーク日本版

限定核攻撃も防げない

核攻撃に対するアメリカの主要な防衛手段は、地上配備型ミッドコース防衛システム(GMD)だ。だがミサイルの数は限られており、技術系ニュースサイト「ザ・バージ」によると、1999年以降に行われた18回のテストのうち、少なくとも8回は失敗している。 アメリカ物理学会が今年発表した研究では、GMDは「限定的な核攻撃であっても対抗手段として」頼ることはできないと結論づけている。 「ロシアの膨大なミサイル兵器を寄せ付けない防御体制という考えは、幻想にすぎない」と、この研究を共同で行ったマサチューセッツ工科大学(MIT)の核専門家ローラ・グレゴは言う。 2019年の国防総省のミサイル防衛レビューによると、アメリカは「大規模で高度なロシアと中国の大陸間弾道ミサイル能力への対処法として、核の抑止力に頼っている」という。

ジェームズ・ビッケルトン

ウクライナ侵攻8カ月…露・プーチン大統領側近「戦争」を連呼!その意図は…

10/24(月) 18:00配信

テレビ大阪ニュース

TVOテレビ大阪

避難するため、住民が大勢集まっています。 ウクライナ南部のヘルソン州。 9月、ロシアが一方的に併合を宣言した地域ですが、避難の背景には… 【キリエンコ大統領府第1副長官】 「私たちは間違いなくこの戦争に勝つ!熱い戦争、経済戦争、心理的情報戦争!」 侵攻から24日で8か月。 22日、ロシア・プーチン大統領の側近のひとりキリエンコ氏は、ウクライナ侵攻を「戦争」と連呼しました。当初の「特別軍事作戦」から言い換えた意図とは?     【大商大・中津教授】 「ウクライナに潜むネオナチを倒す目的の『特別軍事作戦』。それができないからNATOとの攻撃に備える、つまり攻守逆転」 侵攻した地域でロシア軍が劣勢に立たされるなか、結束を促す狙いもあるとみています。日増しに高まる、核使用への懸念。中津教授は核を使う局面についてもふれました。 【大商大・中津教授】 「ロシアがいよいよ攻撃されると理解した時に。ロシアが併合した4州を奪還している。今の局面でも核兵器を使う事情がある」 週末にもウクライナ国内で爆発が相次いでいて、今後戦闘が激しくなる恐れがあります。

TVOテレビ大阪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日之本文書総覧 ロシアウクライナ侵攻史 第6441回

 

【解説】ウクライナ軍事作戦の総司令官に任命『アルマゲドン将軍』とは?「プーチン大統領から英雄として過去に勲章」高まる核の脅威

MBSニュース

 

 10月上旬、ウクライナでのロシアの軍事作戦の総司令官に任命された『アルマゲドン将軍』ことセルゲイ・スロビキン航空宇宙軍総司令官。過去にシリアで生物兵器を使用したことがあり、その後プーチン大統領から勲章をもらっているといいます。一体どんな人物なのか?筑波大学の中村逸郎名誉教授による解説です。 【写真で図解】ロシアの戒厳令で何が起こる?「強制的な兵士の動員「30日間の身柄拘束…」

ロシア全土が「警戒体制」に…反戦機運の引き締めで国民へ“開戦宣言”?

ーーロシアに併合された4州に「戒厳令」が出されました。戒厳令が出されると、ロシアが求めることは何でもできるとされていますが、例えばどんなことでしょうか? 「強制的な兵士の動員、財産の窃取、住民の移動の制限などです。財産の窃取は具体的には自家用車を取り上げられて、軍用車として持って行かれる、工場がこれまで半日稼働だったのが、24時間体制になる、怪しい人はどんどん尋問されて、最大30日間身柄を拘束できるというようなことが行われるんですね」 ーー4州だけではなくロシア全土が警戒態勢・開戦を宣言したようなものということでしょうか? 「ロシア全土が『戒厳令』の準備段階に入ったということです。モスクワの私の友人に聞くと非常に怖いということで、これからモスクワ市内でも街を歩いていたら検問が厳しくなったり、怪しい動きをしただけで警察官に連れていかれる可能性もあるということで、モスクワの人たちも緊張が一気に高まったということですね。今ロシア国内で反戦機運が広がっていることに対して、ロシア全土に戒厳令の準備段階であることを宣言することで国内を引き締める狙いもあるわけです」

アルマゲドン将軍”が軍事作戦の総司令官に…シリアでは生物兵器使用も

ーー『アルマゲドン将軍』ことセルゲイ・スロビキン航空宇宙軍総司令官が10月上旬にウクライナでの軍事作戦の総司令官に任命されました。ロシアメディアでは『核の使用』を示唆したこともあるということですが、どんな人物なのでしょうか? 「過去にシリアで化学兵器・生物兵器を使ったと言われていますけども、プーチン大統領から勲章である『英雄賞』をもらっているんですね。彼は非常に残忍なやり方を行使するということで、ウクライナへの軍事侵攻では司令官の1人だったんですね、その時に弾幕砲火といって幕のように焼夷弾を投げることをやったと言われています」 ーースロビキン司令官が『非常に困難な状況だ』と弱気にも見える発言をしているということですが、その点はいかがでしょうか? 「弱気のように見えますが、今後ロシアが反撃していくための正当性を国内で世論作りできるわけなんんですね」

【解説】ウクライナ軍事作戦の総司令官に任命『アルマゲドン将軍』とは?「プーチン大統領から英雄として過去に勲章」高まる核の脅威

10/22(土) 18:12配信

MBSニュース

イギリスの首相辞任…ロシアの『核実験』に拍車か

ーーNATOのリーダー格であるイギリスではトラス首相が辞任を表明しました。このことはどのような影響がありますでしょうか? 「核実験のチャンスだという思惑もあります。非常に緊迫していまして、10月17日から北海、イギリスの東側ですが、この辺りでNATOが軍事演習しているんですね。それに対してロシアが、グロム(核戦力運用部隊による定例の大規模演習)で『核実験』をするんじゃないかと言われています。10月末までのNATOの軍事演習に対抗して核実験をするということで、これまでウクライナとロシアの対立構図でしたが今週になって一気にNATO対ロシアの構図が見えてきたんですね」 ーーイギリスのトラス首相の辞任のタイミングも関係しているんでしょうか? 「NATOと言ったらアメリカとイギリスの2つの軍が非常に中軸なんですね。イギリスのすぐ東側で軍事演習が行われ、イギリスのリーダーが辞任を発表して、イギリスが混乱している。このタイミングでロシアが核実験をするんじゃないかと言われてるんですね」 (2022年10月21日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

 

ウクライナに毎月2200億円の援助、EUが協議

10/23(日) 15:00配信

CNN.co.jp

 

(CNN) 欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は23日までに、ロシアによる侵攻が続くウクライナを支援するため毎月15億ユーロ(約2200億円)の財政援助を提供する計画を話し合っていることを明らかにした。 【映像】キーウに「カミカゼ」ドローン攻撃 EU首脳会議の終了後の記者会見で述べた。財政援助はエネルギー源、食料や飲料水など日常の必需品の確保を進めるためとした。 この計画が実施された場合、ウクライナ向けの資金援助は来年、総額で180億ユーロに達するとも予想。ウクライナにとって安定かつ信頼でき、当てにし得る歳入源になるともした。 同委員長はただ、この計画は現在、提案の段階にとどまっており、EU加盟の27カ国が実行に移すための財源のねん出方法を模索するだろうと述べた。 このため加盟国の財務相に適切な仕組みの構築を委ねたとした。来年の財政援助計画について「頼れる歳入源があることがいかに重要であるかをEU側が承知していることをウクライナに伝えることは大きな意味を持つ」とも強調した。

 

多額の預金が流出、疲弊するロシア経済に追い打ちをかけた部分動員令の悪手

10/23(日) 18:06配信

JBpress

 

 (土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員)  ロシアの経済は、欧米からの経済・金融制裁が重荷となって悪化している。 ロシアにおける家計の消費支出(非食品)  最新4~6月期の実質GDP(国内総生産)は前年比4.1%減と、4四半期ぶりの前年割れに陥った。ロシア経済発展省が発表する月次の実質GDPは、6月の同5.0%減をボトムに、7月が同4.3%減、8月が同4.1%減とマイナス幅を縮小させていたが、プーチン大統領が9月21日、ウクライナでの戦闘における劣勢打開を狙い、ロシア連邦としては初となる部分動員令を出したことで、経済に再び強い負荷がかかっている模様である。  特に消費者マインドが悪化し、個人消費が急減したことが、民間が発表する週次統計から明らかになっている。  例えば、銀行最大手ズベルバンク傘下の調査会社ズベルインデックスが発表する週次の消費支出(非食品)は、部分動員令が出された直後の9月25日週は前年比4.7%減と、その前の週の同1.5%減からマイナス幅が拡大した。ロシアがウクライナに侵攻した直後の4月3日週の実績(同4.2%減)以降で最も大きなマイナス幅である(図)。  【図 家計の消費支出(非食品)】  もちろんプーチン大統領は、部分動員令が消費の悪化につながったことを認めていない。しかし消費が急減した状況に鑑みて、プーチン大統領は10月6日に政府に対して消費刺激策を実施するよう要請した。  ロシア中銀も、10月19日に公表した定例の報告書の中で、ロシアの経済が第3四半期に急失速したという認識を示している。  部分動員令によって徴兵されたロシア人男性は20万人とも30万人ともいわれる。仮に30万人がロシアの労働市場から退出したとして、ロシアの労働市場にどれくらいのインパクトを与えるだろうか。

■ 生産の制約になる労働供給の減少  ロシアの総人口は約1億4300万人で、うち労働力人口は7200万人程度である。  ロシアは旧ソ連時代から女性の社会進出が進んでおり、労働力人口の男女差はほぼない。そのため、だいたいその半分である3600万人が男性だとして、30万人が労働市場から退出したとしても120分の1に過ぎず、比率にすれば0.8%程度だ。数字からすれば大したインパクトはなさそうだが、死傷者は多数に及ぶと推測される。  それに帰還できたとしても、それがいつになるかは分からない。帰還しても再徴兵されるかもしれないし、徴兵される対象が増えるかもしれない。こうした状況では、企業は短期間の人手不足に耐えることができても、中長期的な経営・生産計画を立てることはできない。  加えて、部分動員令が発令されて以降、ロシアから数十万の国民が出国した模様だ。実態は定かではないが、こうしたこともロシアの労働力を削ぐことになるだろう。  なお、ロシアの直近8月の鉱工業生産は前年比0.2%増と、5カ月ぶりに前年を上回った。一方で、同月の製造業生産は同▲0.8%と依然として前年割れだったが、最悪期である6月(同▲4.8%)から2カ月連続でマイナス幅が縮小し、持ち直しつつあった。  だが、部分動員令を受けて、9月以降の生産指標は再び悪化するのではないだろうか。

多額の預金が流出、疲弊するロシア経済に追い打ちをかけた部分動員令の悪手

10/23(日) 18:06配信

JBpress

■ 部分動員令がもたらした預金引き出し  10月20日にロシア中銀が発表した報告書によると、ロシアの国民は9月に銀行から4580億ルーブル(75億ドル)を引き出したようだ。ロシア中銀は、その大半がロシアからの出国者が増加した9月後半に引き出されたものだと指摘している。部分動員令を受けて、不安心理を高めた預金者による引き出しが殺到したのだろう。  その中には、部分動員令の直後に出国した数十万に上るというロシア国民による引き出しも含まれていると考えられる。  ロシアでは依然として引き出せる外貨預金が1万ドルに制限されているが、出国者はそうした外貨預金の引き出しに加えて、ルーブル預金を引き出し、市中の闇両替で米ドルやユーロなどを購入したのかもしれない。  ロシア中銀は銀行システム全体の流動性は問題なく、ロシアが銀行危機に陥ることはないとしているが、部分動員令が預金者のパニック的な引き出しを誘発したことは事実なようだ。預金者が落ち着きを取り戻せば預金は再び増えると中銀は説明しているが、国民の不安心理は高まっており、今後も預金は流出しやすいと判断される。  これは政府と中銀にとっては極めて頭の痛い問題だ。預金流出を防ぐためには、外貨に加えてルーブルの預金の引き出しを制限したり、中銀が「最後の貸し手」として流動性を供給したりするくらいしか手立てはないだろう。ただ、そうした手段では、部分動員令によって高まったロシア国民の不安心理そのものを鎮めることはできない。

■ ロシア経済を蝕む戦争の長期化  国際通貨基金(IMF)は最新10月の『世界経済見通し』で、今年のロシアの実質経済成長率を▲3.4%と予想、7月の▲6.0%からマイナス幅を縮小させた。世界各国の成長率予想の引き下げが続く中で、ロシアは例外的に上方修正がされたかたちである。とはいえ、この予測は9月の部分動員令によるショックを織り込んでいないと思われる。  プーチン大統領は当初、ウクライナとの戦争は短期で終わると想定していたという見方が有力視されている。ロシアがウクライナに侵攻したのが2月24日であるから、すでに8カ月が経過している。想定外の苦戦やロシア軍の劣勢が伝えられていることもあり、ロシアの国民の間で厭戦ムードが広がっていても不思議ではない。  そうした中で部分動員令が発動されたことは、ロシアの家計や企業のマインドに大きな悪影響を及ぼしたといえよう。そしてこのことは、曲がりなりにも底入れしつつあったロシア経済にも強い負荷を与えたと考えられる。  部分動員令の発令で不確実性が高まったことは、ロシア経済を今まで以上に強く圧迫するだろう。  ※寄稿はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です

土田 陽介

 

 

日乃本文書総覧 ロシアウクライナ侵攻史 第6440回

 

多額の預金が流出、疲弊するロシア経済に追い打ちをかけた部分動員令の悪手

10/23(日) 18:06配信

JBpress

 

 (土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員)  ロシアの経済は、欧米からの経済・金融制裁が重荷となって悪化している。 ロシアにおける家計の消費支出(非食品)  最新4~6月期の実質GDP(国内総生産)は前年比4.1%減と、4四半期ぶりの前年割れに陥った。ロシア経済発展省が発表する月次の実質GDPは、6月の同5.0%減をボトムに、7月が同4.3%減、8月が同4.1%減とマイナス幅を縮小させていたが、プーチン大統領が9月21日、ウクライナでの戦闘における劣勢打開を狙い、ロシア連邦としては初となる部分動員令を出したことで、経済に再び強い負荷がかかっている模様である。  特に消費者マインドが悪化し、個人消費が急減したことが、民間が発表する週次統計から明らかになっている。  例えば、銀行最大手ズベルバンク傘下の調査会社ズベルインデックスが発表する週次の消費支出(非食品)は、部分動員令が出された直後の9月25日週は前年比4.7%減と、その前の週の同1.5%減からマイナス幅が拡大した。ロシアがウクライナに侵攻した直後の4月3日週の実績(同4.2%減)以降で最も大きなマイナス幅である(図)。  【図 家計の消費支出(非食品)】  もちろんプーチン大統領は、部分動員令が消費の悪化につながったことを認めていない。しかし消費が急減した状況に鑑みて、プーチン大統領は10月6日に政府に対して消費刺激策を実施するよう要請した。  ロシア中銀も、10月19日に公表した定例の報告書の中で、ロシアの経済が第3四半期に急失速したという認識を示している。  部分動員令によって徴兵されたロシア人男性は20万人とも30万人ともいわれる。仮に30万人がロシアの労働市場から退出したとして、ロシアの労働市場にどれくらいのインパクトを与えるだろうか。

■ 生産の制約になる労働供給の減少  ロシアの総人口は約1億4300万人で、うち労働力人口は7200万人程度である。  ロシアは旧ソ連時代から女性の社会進出が進んでおり、労働力人口の男女差はほぼない。そのため、だいたいその半分である3600万人が男性だとして、30万人が労働市場から退出したとしても120分の1に過ぎず、比率にすれば0.8%程度だ。数字からすれば大したインパクトはなさそうだが、死傷者は多数に及ぶと推測される。  それに帰還できたとしても、それがいつになるかは分からない。帰還しても再徴兵されるかもしれないし、徴兵される対象が増えるかもしれない。こうした状況では、企業は短期間の人手不足に耐えることができても、中長期的な経営・生産計画を立てることはできない。  加えて、部分動員令が発令されて以降、ロシアから数十万の国民が出国した模様だ。実態は定かではないが、こうしたこともロシアの労働力を削ぐことになるだろう。  なお、ロシアの直近8月の鉱工業生産は前年比0.2%増と、5カ月ぶりに前年を上回った。一方で、同月の製造業生産は同▲0.8%と依然として前年割れだったが、最悪期である6月(同▲4.8%)から2カ月連続でマイナス幅が縮小し、持ち直しつつあった。  だが、部分動員令を受けて、9月以降の生産指標は再び悪化するのではないだろうか。

多額の預金が流出、疲弊するロシア経済に追い打ちをかけた部分動員令の悪手

10/23(日) 18:06配信

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■ 部分動員令がもたらした預金引き出し  10月20日にロシア中銀が発表した報告書によると、ロシアの国民は9月に銀行から4580億ルーブル(75億ドル)を引き出したようだ。ロシア中銀は、その大半がロシアからの出国者が増加した9月後半に引き出されたものだと指摘している。部分動員令を受けて、不安心理を高めた預金者による引き出しが殺到したのだろう。  その中には、部分動員令の直後に出国した数十万に上るというロシア国民による引き出しも含まれていると考えられる。  ロシアでは依然として引き出せる外貨預金が1万ドルに制限されているが、出国者はそうした外貨預金の引き出しに加えて、ルーブル預金を引き出し、市中の闇両替で米ドルやユーロなどを購入したのかもしれない。  ロシア中銀は銀行システム全体の流動性は問題なく、ロシアが銀行危機に陥ることはないとしているが、部分動員令が預金者のパニック的な引き出しを誘発したことは事実なようだ。預金者が落ち着きを取り戻せば預金は再び増えると中銀は説明しているが、国民の不安心理は高まっており、今後も預金は流出しやすいと判断される。  これは政府と中銀にとっては極めて頭の痛い問題だ。預金流出を防ぐためには、外貨に加えてルーブルの預金の引き出しを制限したり、中銀が「最後の貸し手」として流動性を供給したりするくらいしか手立てはないだろう。ただ、そうした手段では、部分動員令によって高まったロシア国民の不安心理そのものを鎮めることはできない。

■ ロシア経済を蝕む戦争の長期化  国際通貨基金(IMF)は最新10月の『世界経済見通し』で、今年のロシアの実質経済成長率を▲3.4%と予想、7月の▲6.0%からマイナス幅を縮小させた。世界各国の成長率予想の引き下げが続く中で、ロシアは例外的に上方修正がされたかたちである。とはいえ、この予測は9月の部分動員令によるショックを織り込んでいないと思われる。  プーチン大統領は当初、ウクライナとの戦争は短期で終わると想定していたという見方が有力視されている。ロシアがウクライナに侵攻したのが2月24日であるから、すでに8カ月が経過している。想定外の苦戦やロシア軍の劣勢が伝えられていることもあり、ロシアの国民の間で厭戦ムードが広がっていても不思議ではない。  そうした中で部分動員令が発動されたことは、ロシアの家計や企業のマインドに大きな悪影響を及ぼしたといえよう。そしてこのことは、曲がりなりにも底入れしつつあったロシア経済にも強い負荷を与えたと考えられる。  部分動員令の発令で不確実性が高まったことは、ロシア経済を今まで以上に強く圧迫するだろう。  ※寄稿はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です

土田 陽介