妊娠中、卵巣予備能低下:妊娠中のアセトアミノフェン使用に要注意 | クイズで学ぶ不妊診療最前線~愛/AIなんだ

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これまで着床不全やPGT-A(胚染色体解析)の問題を取り上げてきました。時代は流れ、今や人工知能が診療に取り入れられるようになってきました。この大きな変革の中で、生殖医療専門医の立場から不妊症・生殖医療全般にわたって自身悩み考えながら学習していく記録です。

出典:Pablo Hurtado-Gonzalez, et al., Effects of Exposure to Acetaminophen and Ibuprofen on Fetal Germ Cell Development in Both Sexes in Rodent and Human Using Multiple Experimental Systems. Environ Health Perspect. 2018 Apr 16;126(4):047006

 

エジンバラからのショッキングな報告だが、敢えて紹介しておく。

鎮痛剤「アセトアミノフェン(カロナール、アンヒバなど)」や「イブプロフェン」が胎児の生殖機能に影響を与えうるという。

 

ヒトの妊娠初期の胎児の精巣組織を試験管内でアセトアミノフェン、イブプロフェンに7日間曝露したところ、将来、精子になりうる胚細胞数がそれぞれ28%、22%減少。

卵子になりうる胚細胞数はさらに深刻でそれぞれ43%、49%減少。卵子はヒトでは通常、胎児期にしか作られないとされる。

 

さらに、雌マウスの子宮に妊娠中期の胎児精巣組織を移植し、アセトアミノフェンを投与すると移植精巣中の胚細胞は30%減少。ネズミの話とはいえ、子宮内にアセトアミノフェンは到達することを示している。

 

炎症性分子・プロスタグランディン E2 (PGE2)の合成低下が関与することが明らかになった。

 

アセトアミノフェンは妊娠中使用できる最も安全な鎮痛剤とされてきたが、胎児の生殖機能にマイナスに影響しうる。

安易な服用は避けるべきである。

 

今日の一曲:Wanderers / After He Breaks Your Heart アーリー・ソウルの名曲!必聴!(特に疲れた時)