先日担当した仕事はあるデータ※1を与えられ、処理結果から推論をして結論を出すというものだった。仕事を細かく分けると以下のようになる。



1 処理をするプログラムを作る
2 与えられたデータを食わせて実行
3 結果から推論し結論を出す
4 依頼者に対して報告する資料を作って送る

私にとって、この中で知的好奇心をそそるのは1で、他はあまり面白い仕事ではない。
試しにChatGPTに1でやりたいことを指示してみたら、ほぼ完璧なコードが出てきた。一部を修正するだけで目的を達成することができた。
私がやっているのはほぼ「ChatGPTが出したプログラムのデバッグ」である。こうなると知的好奇心も何もない。AIによって人間は雑用から解放されるのではなかったのか? と思ってしまう。実際にはAIによって、「人間は雑用ばっかりやるようになる」のではないか。

 

人間が思う雑用は「誰でもできる仕事」だ。なのでできる人が少ない専門性の高い仕事は雑用ではない高度な仕事と見なされる。しかし、AIが得意なのは「指示、結果が明確な仕事」であって、専門性の高さはあまり関係しない(学習によって何でも知っているから)。2のように、AIに指示を出す意味がない作業(自分で実行する方が早い)や、1の手前にあるデータを準備する作業などのAIに指示を出しにくい部分=雑用が人間に残ってしまうように思う。

 

プログラムを作るというのは専門的ではあるが、「曖昧な指示が通じないコンピュータに理解できるように命令を書く」という明示度が極めて高い仕事なのだと理解すべきなのだろう。


3も推論している内容を実装することはできると思われる(今回は出力結果を見ながら推論を進めるしかなかったので、人間が実行した)
4の報告資料の作成もChatGPTでできそうだ。少なくともたたき台は作ってくれるだろう。とりあえず一般的な例をAIに出させて特定の依頼者向けに修正するといった使い方は有効だ。ゼロから書くのと比べると格段に楽になる。

残る人間がやる仕事は、上の例だと
・どんなデータを取得するか
・どのように処理するのか

を決める部分だが、これも聞けばChatGPTが提案してきそうに思える。

 

 

話がそれるが「状況に応じて適切な文章を書く」というスキルも、中途半端な人間よりAIの方が得意だ。特に独自性は要求されないが、そつのない文書を書く といったシチュエーションでは極めて有効だ※2。知人に聞いたケースではAIに書かせた文章を微修正して上司に提出したら、上司が文章を理解できずに変に直して出してしまったという。もはやAIの方がよほど優秀だ。



※1 手作業やExcelでやる気にはならないくらい多い

※2 世の中の大量の文書で学習しているので、平均的な答えについては強いはずだ。