派閥パーティーのキックバック問題について、収支報告書を書いていた人間として考察してみる。

 

・まず、派閥は収入を過小に記載していたわけで、これは完全にアウトだ。民間なら一発で脱税だろう。政治団体には税金はかからないので、過小に書いても利益はない。目的は裏金作りだろう。

・全部の金の流れを記載していればキックバックそのものは違法でも何でもない(キックバックと言っても外形上は政治団体間の寄付でしかない)。

・正直に記載すると、派閥はノルマ超過分を収入として計上、キックバック分を政治団体への寄付として支出に計上。政治団体は収入としてキックバック分を計上となる。

・100%キックバックするのだとすると※1、派閥にとっては、収入と支出が同額なので計上してもしなくても同じ事になる。派閥側が不記載にするモチベーションはないはず。

・政治団体は不記載にすることで、キックバック分を裏金にすることができる。

 

派閥にとっては、不記載にするメリットはないはずなのに、派閥側から不記載を指示したというのはどういうことなのか。

 

 

○キックバック金を何に使ったのか

秘書の給与などという話があるが、信用できない。こんなものは普通に計上しても何の問題もない。人件費は添付書類さえ不要だ。裏金が5年で1000万だと年間200万円程度であって、人件費に潜り込ませればどうとでもなる。わざわざ危ない橋を渡る理由が分からない。

 

なぜ不記載なのかという疑問に対する合理的な推測は「キックバック分を記載しないのが習慣になっていて、そもそも悪いと思っていなかった」だ。危ない橋を渡っているという自覚がそもそもなかったのではないか。5年で5000万の人もいると報道があるが、年間1000万なら複数の政治団体に分けて潜り込ませることはできると思う。

 

参考

 

 

 

 

○なぜバレたのか

当初の報道は「20万以上購入しているのに収支報告書に書いていない」というものだったはずだ。これは複数の議員が同じ政治団体(以下A)※2に売りに行ったのに名寄せをちゃんとしていなかったということだ。この時点では、Aが購入した分は20万円以下の部分に含まれているので収入総額をごまかしていたわけではないという説明ができる。

キックバック分の金額が多すぎて「収入総額をごまかしていたわけではない」という説明ができなくなったということだろうか。議員の発言や報道を見ていると「誰かがベラベラ話した」という可能性も高いように思う。

 

参考

清和政策研究会 収支報告書(総務省)

 

R4

https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20231124/3120000041.pdf

 

 

※1 これはキックバックとは言わないだろう、途中からニュースタイトルが「環流」になったのは実態を反映させたのか。

※2 民間企業がどこのパーティー券を買ったのかは公開されていないので調べようがないはず。政治団体は収支報告書で調べられる。