とある事情で複数のSSHの探究活動の成果発表ポスターを見る機会があった。以下、当事者に問いただしたわけでもない外部の人間の勝手な感想。

 

図 Bing Image Creatorに「スーパーサイエンスハイスクール」を入力した結果

 

 

案内してくれた人は、「これらのポスターは課題を自分で設定した」と言っていた。探究活動なのだから当然ではある。しかし、一部のテーマはにわかに信じがたいテーマだった。私の専門分野ではないので、私の感覚がずれているだけなのかもしれないが、高校生が考えつくとは思えない内容なのだ。学校としての実績作りのためなのか、当人の大学進学のためなのか、成果を出すことが求められた結果、教員(など)がテーマを与えたのでは?と疑念を抱いた。

私が疑念を持たなかったテーマでは、結果が微妙(実験をして明確な違いが確認できなかったで終わったりしている)なものがある程度あるのに対して、疑念を抱いたテーマは綺麗に結果が出ていることが多いのも、疑念を強めた理由だ。順調に進みすぎる卒論研究と同じような匂いがするのだ。

 

大学の研究は新規性(=今までにやられていない)が必要なのだが、大学4年の時点で新規性のあるテーマを自分で設定するのは現実的には難しい。そこで、指導教官か大学院生がテーマを設定することになる。場合によっては結果が出ることを誰かが事前に確認していたりもする※1。4回生本人が研究内容を咀嚼していればまだいいのだが、たまに当人は手を動かしているだけで内容を理解していないケースが発生する。

 

高校は研究ではなく探究活動なのだから、新規性はなくても構わないはずだ。しかし、個々の活動の評価をするとなると、新規性がない内容では高い評価にはならないのだろう。結果として、大学の研究と同じようなことを無理矢理高校生にやらせる結果になっているのではないか。

 

本人がテーマ設定をしたのかどうかは、口頭試問である程度しつこく質問をすれば検出できるはずだ。私の卒論の時、隣の研究室の4回生に卒業研究の単位が出ずに留年した人がいた。口頭試問の直前に研究室内の発表練習で研究内容を全く咀嚼していないことがバレて、教授が単位を認めなかったのだ。SSHは現状、性善説でやっているのだろうが、果たしてそれでいいのか?と思ってしまった。

 

※1 やった結果、意味のある結果が出なかった というのも研究成果のはずだが、成果とは見なされない状況は多い。