ちょいちょいニュースになる

信号の無い横断歩道に歩行者がいても止まらない現実。

違反となるタイミングは?

 

このルールを再確認するべく、メモ的ブログ。

判例載せて、数値を少し変更(ギリギリを攻めすぎた感があるので)

さらに1.5m違反判例を載せて数値を大幅に変更。2019.3.15

 

 

(横断歩道等における歩行者等の優先)

第三十八条 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、

当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、

当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。

この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、

当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

 

赤い文字の部分は横断歩道に接近する時は、停止することが出来るような速度で接近せよ。

という前段の減速接近義務と。

 

青い文字の部分の歩行者がいる場合は、

後段の停止位置で停止し、さらに妨害するな

の二部構成となっております。

 

まずは、前段(減速接近義務)

横断しようとする歩行者がないことが明らかな場合を除きという条件ですので

この適用範囲は非常に広範囲なものになります。

ウサインボルト級のダッシュにも対応できるように心がける必要があると思っております。

 

「横断歩道に接近する場合には、」とは

横断歩道に接近する場合とは文字通り、車道を通行し横断歩道に近づいていく時という意味で

信号の有無には関係ありません。ですが、結局進路の前方を横断しようとする歩行者というのは

歩行者信号が赤信号では存在しないわけで、歩行者信号が赤以外という事になるかと。

つまり、信号の無い横断歩道はもとより、右左折後に現れる横断歩道にも有効な条文となります。

 

時速50キロで走行し、安全に減速するためには相当手前から判断開始しなければならない事になります。

時速60キロで走行している場合にはさらに手前から判断しなければならない事になります。

 

 

当該横断歩道を通過する際にとは

この状態から通過し終えるまでの間の未来予想が必要となります。

 

次に、

当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者

とは

 

まず、進路の前方とは赤の部分です。

 

なので、

当該横断歩道を通過する際に横断歩道により進路の前方を横断しようとする歩行者とは

この車の位置に達したとき赤枠内に進入するであろう歩行者の事。

 

さらに、道路交通法18条2項

車両は、前項の規定により歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において、歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない。

というルールと

(※このルールは、「その他の場合において」となっているので

歩道上にいる歩行者に対しても有効となります。安全な距離を2m、3mにも設定しますと

車道ですらまともに走れない事になります。。)

 

判例(進路の前方とはについて)

【車両等が当該横断歩道の直前に到達してから、その最後尾が横断歩道を通過し終えるまでの
間において、当該車両等の両側につき歩行者との間に必要な安全間隔をおいた範囲をいうもの
と解するのが相当であり、歩行者との間に必要な安全間隔であるか否かは、
これを固定的・一義的に決定することは困難であるから、
具体的場合における当該横断歩道付近の道路状況、幅員、車両等の種類、大きさ、
形状および速度、歩行者の年齢、進行速度などを勘案し、横断歩行者をして危険を感じて
横断を躊躇させたり、その進行速度を変えさせたり、あるいは立ち止まらせたりなど、
その通行を妨げるおそれがあるかどうかを基準として合理的に判断させるべきである。】

(昭和52年9月14日福岡高裁判示)
を加味して

歩行者との安全間隔も必要となるのでさらに最低1m以上の余裕を見ておくことも忘れてはいけません。

よって、

当該横断歩道を通過する際に横断歩道により進路の前方を横断しようとする歩行者とは

自動車が横断歩道に進入した時点から脱出するまでの間において

青で囲った部分を横断しようとする歩行者がいるかどうかの未来予想の判断が必要。

 

次に
ないことが明らかな場合を除きという条件がございます。

細かい事を書いていましたが前段の義務は

少しでも可能性があるならば減速接近義務はあることになります。

この「明らかな場合を除き」という一文のために、前段の義務は

非常に広い範囲の歩行者に対して減速接近義務がある事になります。

取り合えず、歩行者が付近にいたら減速することは必須。

減速することによって歩行者は歩きだしやすくなりますし、

減速していなければ、単に違反として取り締まられても文句は言えません。

 

ざっくり具体例をだしますと

・見えない角から歩行者が現れるかもしれない。(減速義務あり)

・横断歩道のすぐそばで立ち話をして横断しそうにもないけど100%ではない。(減速義務あり)

・歩行者信号が赤の時(減速義務なし)。

・対向車線が渋滞で歩行者が出てくるか否か不明な時。(減速義務あり)

・跨っている自転車乗りがいたとしても、いつ降りて歩行者になるかもしれないので前段義務はある。

 

そのほか一概に言えないのが歩行者との距離の問題。

歩行者が100mも離れていれば確実に38条の義務は無関係ですが、

どこまで接近している時は義務はあるのか?

社会通念上判断するしかない部分ではございますが

ないことが明らかな場合を除き

という条件がある以上、減速義務は守らなくてはならない。

安全にかかわる最も重要な部分でございます。

(それと歩行者が歩きだしやすくするためにも)

 

当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。

とは

 

停止位置に接近するにつれて徐々に減速する事です。

安全速度接近義務でございます。

「歩行者が安心して横断開始できるような速度」つまり、早めの減速が理想的かと思います。

 

停止位置の直前に到達しても100%が確証無い場合は、後段の義務である一時停止かつ妨害しないという

後段の義務に移行するわけでございます。

 

停止位置の直前とは

ピッタリ0センチではございません。

教習所の採点基準では2m以内となっておりますし、

各種判例でもその程度の誤差は認められております。

この2m以内に入った段階で前段の義務は終わり、後段の義務に移行しなくてはならない。

この時の速度は徐行以下まで落ちているはずです(最後まで明らかではない場合)。

 

意外と多いのは停止位置直前0センチが直前と考えるために

直前0センチつまり速度も0になるはずだ。

という「速度0理論」を言い始め、必ず停止が必要だと考えますが、

2mの幅があるので、「速度0理論」は成立しない場合が多々ございますので

必ず一時停止というのはナンセンスでございます。

 

そして後段の義務へ移行するわけですが

その前に停止位置について補足

以下のような信号の無い横断歩道の場合

停止位置は、停止線ではなく、上の横断歩道の直前となります。

このことは、「当該横断歩道等」と歩行者がいる横断歩道が該当するので

停止線で止まる事を考えるのではなく、当該横断歩道の直前となります。

また、上記画像において手前の横断歩道がない場合は

停止線が停止位置となると手元の解説書には書いてあります。

 

要は、歩行者を見かけたら停止位置の2m手前に到達する前に時速4キロ程度まで落とす必要がある。

そうしなければ、38条前段の違反となっても仕方ないのではないだろうか。

そして、早めに減速し、早めに横断させるきっかけを作る事が

安全と円滑のバランスが良いのではないでしょうか。

 

次に後段(一時停止かつ妨害しない義務)です。

この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、

当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

一時停止と妨害しないどちらか一方ではなく両方守らなくてはならない。

後段の条件に合致しないからと一時停止しなくても

妨害行為になってしまえば、単なる判断ミスで一時停止をしなかったのが悪いだけでございます。

 

 

この場合において、とは

停止直前に到達したとき、つまり、

前述した2mの幅に入ったときの事でございます。

 

横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、

とは

 

前段とは違い、「明らかな場合を除き」という文言はありませんので、

前段よりは緩い条件となります。

客観的な常識的な判断で十分かと思います。

現実に進路の前方を横断しようとする歩行者がいる時という客観的な判断

横断しようとしている歩行者ではなく、

進路の前方を横断しようとする歩行者でございます。

と言いますのも前段で書きました福岡高裁の判示を見てもらえばわかると思います。

【車両等が当該横断歩道の直前に到達してから、その最後尾が横断歩道を通過し終えるまでの
間において、当該車両等の両側につき歩行者との間に必要な安全間隔をおいた範囲をいうもの
と解するのが相当であり、
歩行者との間に必要な安全間隔であるか否かは
これを固定的・一義的に決定することは困難であるから、
具体的場合における当該横断歩道付近の道路状況、幅員、車両等の種類、大きさ、
形状および速度、歩行者の年齢、進行速度などを勘案し、横断歩行者をして危険を感じて
横断を躊躇させたり、その進行速度を変えさせたり、あるいは立ち止まらせたりなど、
その通行を妨げるおそれがあるかどうかを基準として
合理的に判断させるべきである。

(昭和52年9月14日福岡高裁判示)

と、歩行者との間に必要な安全間隔があったかどうかが

判断の基準となるようです。

 

 

進路の前方を横断している歩行者というのは下図の赤〇です。

赤〇がいる限りは一時停止し続ける必要が当然あります。

一目でわかりますので説明は不要ですね。

 

次に、

進路の前方を横断しようとしている歩行者というのは上図の青〇です。

赤×のように進路の前方から離れていく歩行者は「進路の前方を横断しようとする歩行者」ではありません。

いかに近くても条文上違反となる事はないでしょう。

 

青〇がいる場合も、一時停止している必要があります。

ここまでは当たり前の話です。

 

青△のように、どこまで接近していれば

進路の前方を横断しようとしている歩行者に該当するのか?

が気になるところでございます。

 

と言いますのも

こんなに離れた歩行者に対して

一時停止が必要なのか?

この歩行者が進路の前方を横断しようとしてる歩行者に該当するのか?

と色々な意見があるとは思いますが、

福岡高裁の判示からも分かります通り

誰がどう見ても進んでしまっても安全な間隔は十分にあるわけでございます。

むしろ、ここまで離れていれば停止位置に到達する前に

前段の義務すら無くなると判断するのが合理的ではないかと思います。(個人的見解)

 

個人的見解でございますが

本来歩行者は車に注意することなく横断することが出来る完全歩行者優先のルールでございます。

上記写真の車が止まらなくても、歩行者は横断開始してなんら問題が無いわけで

誰も歩行者を妨害しない、自動車も最低限の停止で済むはずですが

違反者が多いために、歩行者が歩きだしずらくなる。

歩行者が歩き始めないので必要以上に車が待つことになる。

早めに減速すれば、歩行者は歩きだしやすくなり、

自動車も一時停止しなくても通れるようになる可能性が多くなる。

前段の減速義務の重要性を今一度考え直してほしい。

 

 

 

執務資料 道路交通法解説にはこのように書いております。

警視庁道交法はこのことについて

「歩行者が自動車の前方左右いずれかの側に五メートル位の距離に

接近してくれば、それは進路の前方を横断しようとする歩行者である。」

としているので参考とされたい。

と書いてありますので、そのまま進んで、歩行者との距離が5m程度未満になる可能性があるなら

必ず一時停止は必ずしましょう。

一時停止をすればその間にも歩行者が接近してくるので

通行するのは不可能でございます。

 

この「五メートル位の距離に

接近してくれば、それは進路の前方を横断しようとする歩行者である。

と、

進路の前方とは「直前に到達してから、その最後尾が横断歩道を通過し終えるまでの
間において、当該車両等の両側につき歩行者との間に必要な安全間隔をおいた範囲

という事を考えると

 

車両の最後尾が横断歩道を通過し終えるとき(最も接近するであろうとき)に

5mの間隔は必要ですよ。という事だと思います。

 

申し訳ない。

最初は、一時停止したときに5mあれば・・・と考えていたのですが

現実には、5mで発進したら激突します。

18条2項において歩行者との安全間隔は1m~1.5m必要(教習所採点基準)でございますので

一時停止さえすれば、あとはもっとも接近するであろう位置で1.5mあれば十分と

短絡的思考をしていました。

 

一時停止後5m距離があるのを確認後発進し、歩行者の1.5mを通過したとして違反となった判例が見つかりましたので

38条において「1.5m=安全な距離」は崩れ去りました。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/542/015542_hanrei.pdf

気になる一文

状況であったならば、むしろ、横断歩道の直前であえて一時停止をする理由はな く、そのまま通過するのが通常とも考えられる。

停止位置に到達したときは5mよりも遠くに歩行者がいたはずであり、一時停止によって3秒とか4秒とか

時間はロスした上で5m離れていたという事は、歩行者はさらに手前にいた

予想数字で言いますと8mとか9mとか以上の距離は空いていた

8mも9mも離れていたのなら普通は一時停止しないよ。という事かな?

 

歩行者と最も接近するであろう距離が

5m程度と書いているから6mなら停止不要と短絡的に考えるのではなく、

6m程度では迷いどころだから一時停止はしておくくらいの気持ちが必要かと。

7m程度なら一時停止までしなくとも進んでよいかと。

10m以上離れていれば、流石にむしろ止まるな。とすら考えてしまいます。(減速義務はあります)

安全重視過ぎる思考停止的安全運転を排除し、安全と円滑のバランスの良いドライバーが

優良ドライバーだと個人的には思っております。

注意事項として

※例え10mだったとしても歩行者が走っていれば一時停止は当然必須

※歩行者が子供なら急に走りだす事がよくあるのでゆとりを持って一時停止

TPOに応じて距離は変動するという事を忘れたらだめですね。

思考停止的に距離に関係なくいつでも止まるというのはちょっと迷惑。(主に、右左折時)

 

丁度いい動画がありましたので参考にURLを載せておきます

https://www.youtube.com/watch?v=G0LzJ1_1McA

・横断歩道の幅を一般的な45センチと仮定致しますと、歩行者は6m以上程離れている。

・通過し終えるとき(最も自動車と接近したとき)の最も接近した時の距離は1.3mくらいかな。

歩行者は歩くペースを変えておらず、結果的に妨害しておりません

ルールは「妨害しないようにしなければならない」です。

「妨害しないようにしたのか?」と聞かれれば、客観的に見て

妨害となる恐れの方が高いですね。

実際に判例ではアウトとなっておりますのでこういうタイミングはダメですね。

 

当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。とは

条件に合致すれば、

・一時停止は必須である。

・その通行を妨げないようにしなければならない。

この2点を守らなくてはなりません。

逆に言えば

条件に合致すれば一時停止は必ずするにしても、

通行を妨げないなら通過しても問題ない事になりますが、

一時停止をするという事は現に6m程度未満の歩行者との距離が

さらに短くなるので確実に待たなくてはなりませんので考える必要はありません。

(早めに一時停止したものの

足の悪い老人などで、十分安間隔を保持したまま通過できるなら適法となるかと)

 

条件に合致しない場合は一時停止は不要ですが、

結果的に妨げてしまった場合は、結局判断ミスというだけの話で違反となると思います。

 

歩行者が「お先にどうぞ」してくれた場合も違反にはならないわけでございます。

この件については警察にも確認しましたが

警察官が「お先にどうぞ」という合図を見逃したために取り締まった場合

ドラレコが無ければ運転手の「言い訳にしか聞こえない」というのが現状らしいですね。

「お先にどうぞ」のジェスチャーが見えていたら取り締まる事は無いとのこと。

 

妨げるというのは、歩速を変えさせたり、立ち止まらせたり、迂回させたりという事でございます。

10mも離れた歩行者が、勝手に立ち止まった場合は妨げたことになるのか?と言われても

消極に解するしかないと思います。

 

 

最後にこういう場合

自分が止まっても対向車両が止まらない為に、自分だけがなかなか進めない現象。

 

自分なら

こういう場合は、減速義務を果たし一時停止する。

「かつ、妨げないようにしなくてはならない」の部分は

違反な対向車が故に歩行者は横断できない。

38条無視が非常に多いこのご時世でございますので

対向車が止まる事を期待する事は難しく

進んでも違法性は無いのではないかな。。。

早い話が、そこまでは待ってられん。(個人的見解)

 

難しいですね。