横断歩道は文字通り「歩道」なのでしょうか?

結論から言えば、横断歩道は歩道ではないと考えております。

 

先日、コメントにて面白いやり取りがありました。

 

 

 

Tさん曰く、「横断歩道は文字通り、道路を横断するための歩道であり、本来は自転車は横断歩道では自転車を降車し押して歩かねばならないのが原則です。」

 

これに異論を書き込んだいつものユッタンさん

 

ユッタンさん「原則徐行で、歩行者の通行を妨げる恐れがある場合が降車です。」

 

2人とも横断歩道=歩道という前提での会話だと思いますし、

横断歩道=歩道という会話もよく目にしますので

この辺についてブログを作成してみようかなと思いました。

 

 

 

まずは、Tさんの発言「横断歩道は文字通り、道路を横断するための歩道であり、

本来は自転車は横断歩道では自転車を降車し押して歩かねばならないのが原則です。」

の横断歩道は歩道です。の部分ですが

 

横断歩道とは道交法2条に定義されております。

道路標識又は道路標示(以下「道路標識等」という。)により歩行者の横断の用に供するための場所で

あることが示されている道路の部分をいう。

 

歩道ではなく、横断のための道路の部分でございます。

 

歩道は

歩行者の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する

工作物によつて区画された道路の部分をいう。

 

横断歩道の道路標示は、縁石線又はさくその他これに類する工作物ではないので

道路標示をもって直ちに

横断歩道=歩道と決めつける事は出来ません。

 

因みに路側帯は

歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つため、

歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、

道路標示によつて区画されたものをいう。

と道路標示によって区画されただけで認められておりますし、

歩道の無い道路の車道外側線は路側帯とみなす規定がございます。

 

次に「自転車を降車し押して歩かねばならないのが原則です」の部分ですが

この事は、人の形をした青信号機のルールを見るとわかりやすいと思います。

道路交通法施行令2条

「普通自転車は、横断歩道において直進をし、又は左折することができること。」と

普通自転車の通行を可能としております事からも降りる事を必須とはしておりません。

 

押して歩くのは、安全のためには非常に良い事ですがルール上は

自転車に乗ったまま通行可能であり、

原則降りるという事ではございません。

 

次に、ユッタンさんの発言ですが

ユッタンさん「原則徐行で、歩行者の通行を妨げる恐れがある場合が降車です。」

 

原則徐行なのか?

普通自転車が歩道を通行する場合は、(横断歩道の話から逸れますが。。。)

道路交通法第63条の4第2項で

基本的に徐行で、歩行者の妨害になる時は一時停止。

普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、

歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。

旨が書かれております。

一時停止していられないから、(降りてしまえば歩行者とみなされるので)

降りた方が早いという事だと思いますが、

これは、あくまでも「歩道通行」に関してのルールであります。

 

横断歩道は歩道ではないのですし、

横断歩道を通行する自転車のルールは特に無いのでございます。

 

守らなければならないルールは

道路交通法18条2項(これ以外にあれば教えていただきたい。)

車両は、前項の規定により歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において、

歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない。

というルールのみでございますから

・歩行者がいなければ普通に通行してよい。

・歩行者がいても安全な間隔が保てるなら普通に通行しても良い

・歩行者がいて、安全な間隔が保てないなら徐行

・歩行者がいて進行できないなら横断歩道は通れない(横断歩道は歩行者のための部分ですからね。。)

ので、降りて歩行者にジョブチェンジしましょう。

・歩行者がいて進行できないなら横断歩道の外側を進行しましょう。(左折車等に気をつけましょう。)

 

原則徐行という事ではなく、歩行者の動静次第で徐行が必要という事です。

 

最後にユッタンさんの発言をもう一つですが

「台車は自転車で走行しているのと同じ扱いですよ」

と、台車を軽車両としておりますが、

 

これまた微妙なところを参考に出してきたものです。

軽車両は、歩行補助車等以外のものをいう。

のですが、この歩行補助車等とは、

ショッピングカートも含まれます。

ショッピングカートより小さい通常の台車をもって軽車両だと断定する事には

いささか、疑問が残ります。

 

あえてこの分を取り上げたのには理由があります。

 

ユッタンさんは以前

https://ameblo.jp/kazunoko7jp/entry-12281316243.html

一番最初のコメント「間違っています」に

このような事を書いておりました。

「また、軽車両は人力車やリヤカー、台車も含まれ、それを優先させない場合、延々に横断できない可能性があります。
それを横断させ為に38条があるのであって、軽車両という理由で除外される理由とはならない。」

と書いてきましたが、

 

38条は「歩行者、自転車」に対するルールでございますので

自転車を除く軽車両が優先になる事は無い事を理解できたのか思い出して気になった次第でございます。

 

 

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余談です。

話が逸れて混乱する恐れがあるのですが、

歩行者信号が青の時は

普通自転車は、横断歩道において直進をし、又は左折することができること。

と横断歩道に言及しております。

ん?ちょっと待てよ?って事は

横断歩道の外側なら赤信号でも横断できるのか?

という事を考える人もいるでしょうが、そこは流石法律であり、よく考えられております。

 

点滅や赤信号は、横断歩道という文字を撤去して、

道路の横断を始めてはならないこと。

と書いてありますので、赤信号の効力は

横断歩道はもとより横断歩道付近なら赤信号の効力は発揮されることになります。

 

ここで疑問が出てきます。

一体どこまで離れたら信号の効力が発揮されなくなるのか?

回答:信号機の基本は「対面する信号機に従う事」となっております。

 

では、質問どこまでが対面している事になるの?

回答:ここで参考になるのが信号の灯火の発散角度

「燈火の光の発散角度は、左方、右方及び下方に、それぞれ四十五度以上のものであること。」

というルールがございますので、

これを一応の参考として良いのではないかと思います。