4/27NHKラジオ文芸選評(俳句)。題「アスパラガス」、選者は北大路翼さん。

【北大路翼さん1978年〜。神奈川県横浜市出身。小学生5年生のとき種田山頭火を知り自由律俳句を制作。横浜高校て教諭であった今井聖に出会い有季定型の句に。1996年「街」創刊入会。大学卒業後、風俗情報誌の出版社を半年で退職しフリーターとなる。その間、詩誌「ERECTION」の創刊に参加したり、今井聖がシナリオ作家でもあった縁から「週刊漫画」などで成年向け漫画の原作を執筆したりした。25歳で俳句出版社に入社。2009年、邑書林のアンソロジー『新撰21』100句入集。2011年、新宿歌舞伎町にて「屍派」を結成。同年、短歌雑誌の編集部に入る。2012年、歌舞伎町の芸術公民館を会田誠から譲り受け「砂の城」に改称。2015年、歌舞伎町を舞台に詠んだ2万句あまりから2000ほどの句を選び第一句集『天使の涎』(邑書林)を上梓。2016年、この句集で第7田中裕明賞を受賞。昨年、「屍派」を解散し、現在は高円寺にて「俳句サロンりぼん」を運営している。句集は『時の瘡蓋』『見えない傷』『流砂潭』。他に『アウトロー俳句 新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」』『生き抜くための俳句塾』『廃人』『加藤楸邨の百句』などの著書がある。

 今回紹介された北大路さんの俳句↓。

★初詣いいからはやく参らせろ

★自転車を落ちさうな葱手でつかむ

★つぶされぬ柚子一つ浮く仕舞風呂

★文人の椿贔屓や初露天


◎入選句


★雨上がるアスパラガスは茹で上がる(広島県 藤井きみ子さん 69)


★直径がアスパラガスのフライパン(神奈川県 山田知明さん)


★アスパラガスいつ見てもおんなじ長さ(広島県 木染湧水)


★折れるとこからがアスパラガスである(神奈川県  岡一夏さん 31)


★野菜室引けばアスパラ立ち上がり(石川県 神田博行さん 74)


★アスパラガスですねと歯科衛生士(福岡県 ふにふにヤンマーさん 55)

 ↑ 北大路翼さんのイチオシ作品。


★アスパラガスの濃き紫や更年期(大分県 樫の木さん 59)


★アスパラを使ひ余命を説明す(埼玉県 山本絲人さん 46)


★地下室に窓やホワイトアスパラガス(長野県 藤雪陽さん 39)


★アスパラガスあつけらかんと空平ら(東京都 綾竹あんどれさん)


★発射前屹立阿蘭陀雉隠(愛媛県 中矢 尚さん)


★アスパラガス一度休ませたい地球(岩手県 佐藤茂之さん 56)


★アスパラ育つ偵察衛星の真下(愛媛県 そまりさん 70) 

 ※石井かおるさん選。


★頑なに侘びぬ山本アスパラガス(東京都 くま鶉さん)


停電の町やアスパラガスばかり(長野県 里山子さん)


★小祥忌アスパラガスに花の塩

(北海道 近藤由香子さん 76)

 ※「小祥忌」=1周忌。


◎来週5月4日は短歌、テーマは「お茶」、選者は東直子さん。しめきりは29日(月)午後11時59分。