久しぶりのブログ更新です。今まで、政治経済に関する問題や、書評などを中心に記事を書いていましたが、今後は、皇室問題を中心に記事を書いていくことになると思いますので、よろしくお願いします。

 

そんな皇室ネタの第一回は、評論家の故・西部邁氏の皇室観についてです。西部邁氏といえば、日本の保守論壇の大御所でありましたし、男系皇統護持を掲げる、チャンネル桜等のメディアにも度々出演していたことから、なんとなく、「男系派なのではないか?」というイメージを抱く方も多いのではないかと思いますが、実は、女性・女系天皇に賛成しており、保守派からの人気の高い秋篠宮ご夫妻のことを割と手厳しく批判していたのですね。

 

あの婚約発表された時は、まだ昭和天皇の喪中でしょう。
今や日本社会のマナーもだいぶ崩れましたが、それでもよほどの事情が無い限りおじいさんの一周忌までは慶事を避けるでしょう。

なんといっても憲法で「象徴」って書かれているわけで、ということは日本の伝統を護る義務があるんだと思うんですね、ロイヤルファミリーは。

それを今度自ら破ったわけです。

 

「The Bigman」 1990年9月号より

 

現在でも、ネット上で批判されることの多い、お二方の喪中結婚ですが、日本の伝統を重視する西部氏には、納得しがたいものがあったようですね。

 

「なんといっても憲法で「象徴」って書かれているわけで、ということは日本の伝統を護る義務があるんだと思うんですね、ロイヤルファミリーは。

それを今度自ら破ったわけです。」

 

などと言及している点に関しては、まるで眞子さんと小室圭さんの結婚騒動のバカ騒ぎを予言していたようにも思えて興味深いと同時に、非常に鋭いコメントであると思えます。

 

西部邁氏は生前、「もはやこれまで」という言葉を口癖のように語っていましたが、仮に入水自殺せずに、生きたまま、眞子さんと小室圭さんの結婚騒動のバカ騒ぎを眺めていたとしたら、きっとそのように「もはやこれまで」などとつぶやいていたのではないでしょうか。

 

次に、西部氏が女性天皇に賛成している発言です。

 

直系で男がいないのなら、端っこの傍系から男を持ってきても、不都合極まるでしょうから、女帝としてもかまわないと思うんです。

それに、その女子がお婿さんを迎えて、そこで生まれた男子でも女子でも、天皇にするというのも一向にかまわない。

僕はこう言いたいです。皇室から「日の丸」に至るまで取り払ったとき、自分たちは何を欲するかということを、深刻な思考実験としてやってみる必要がありはしないか、と。

フランス革命でマリー・アントワネットとルイ16世が殺された夜、パリがシーンと静まりかえったと言うんです。それまではみんな興奮してたわけですけど、王様夫婦の首をギロチンでちょん切ったあとに、自分たちは何をしたのだろうって呆然としてパリが深閑と静まりかえった。日本人はそういうことを経験してない。そろそろ何か深刻なことを経験してみないと、おのれらの罪深さを感じられないのではないか、という気がします。

 

「本日の雑談<9>」

現在の議論でも、旧皇族を皇籍復帰させ、男系男子の皇位継承を継続させるという意見に関しては、「旧皇族は現皇室から血筋が離れすぎている」との反論が度々なされていますから、「直系で男がいないのなら、端っこの傍系から男を持ってきても、不都合極まるでしょうから、女帝としてもかまわないと思うんです」という西部氏の指摘はここでも妥当であるように思えます。

 

「天皇の地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」と憲法第一条に書かれているように、国民が納得できる人物に天皇の地位に就いていただく、というのは、非常に重要なことですから、国民の誰も知らないような人物を突然連れてきて、「このお方こそ、神武天皇の男系の血統を引き継ぐお方であられますぞ!」なんて言われても誰も納得しないでしょう。

 

そういった意味で、次期天皇は、天皇家か、秋篠宮家の人物が皇位継承するということには、十分な正統性があるように思えます。

 

それから、最後に紹介するのは、西部氏が、皇太子時代の陛下や雅子さまに対して『御忠言申し上げる』として、離婚や皇籍離脱などを要求したことに苦言を呈する文章です。

 

しかし、戦後に進んでいるのは、日本の伝統を全て天皇に預けて国家の歴史には無関心でいる、という伝統に関する無責任体制です。//
 そう考えると、僕には西尾幹二さんのように、皇太子さまや雅子妃殿下に対して『御忠言申し上げる』という態度には出られない。
 …全面否定しているわけではありません。国民が皇室のあり方について発言するというのは、最低限のエチケットを守っているかぎりにおいて許されることだと思いますし、『畏れを知らずに皇室にもの申すとはけしからん』などいう意味で疑問を呈しているわけではない。
 国民の責任をまず問えと言いたいだけです。//
 しかし、今日の国民を見ればわかるように、これほどまでに伝統を無視し、つまりは、天皇の地位の基盤となるものを破壊しておきながら、しかも皇室に様々な問題が生じている時に皇室批判に立ち上がるというのは、僕にはどうしても本末転倒だと思う。

 

西部邁「天皇は世襲の法王なり」月刊WiLL2013年10月号(ワック)

 

果たして、西尾氏の陛下は離婚して、雅子さまは一般国民に戻るべき、という意見にどの程度の妥当性があるのかという問題もあるのですが、西部氏からすると、それ以前に「どの口が偉そうに言ってるのだ?」というような想いがあったのでしょう。

 

西尾氏の異様なまでに傲慢な物言いを考えると、西部氏がこのように苦言を呈したくなったことにも納得できるのではないでしょうか。

 

 

以上、久しぶりのブログ更新でした、今後も気が向いた時にちょこちょこ更新していこうと思います。

 

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