みなさまこんばんは。
しばらくブログの更新をサボっておりまして申し訳ありませんでした。
なかなかブログの長文を書くのが苦手で。
さて、今回は新春浅草歌舞伎で上演している「京人形」のお話です。
ツイッターから来てくださった方には、こんなに長い文章はあちらでは書けませんでしたのでやっと説明ができると気分的にスッキリしています。
京人形 銘作左小刀(めいさくひだりこがたな)
今月の浅草公会堂、新春花形歌舞伎の演目で、二部の切幕に上演しております。
「眠り猫」などで有名な左甚五郎のお話で、小車太夫という花魁に一目惚れして仕事も手につかなくなり悩んでいる甚五郎が、その腕前で生き写しの人形を作るとあまりの良い出来に人形に魂が宿り、自ら動き出して踊りを踊るという演目です。
黙阿弥の作で、本来長いお芝居なのですが、この段の前にストーリーがたっぷりあって、今回も話だけで聞く名前の松永大膳(井筒姫に惚れている?)とか後段で突然出てくる井筒姫の話があります。この「井筒姫」は、甚五郎の妻「おとく」さんが以前仕えていたお殿様の妹さんで、ある男を追いかけて城を飛び出して、甚五郎の家にかくまわれているという設定です。甚五郎は花魁を想う心から病になり、医者にかかっています。今でいう「うつ」のような症状でしょうか。
さて、ご覧の通りに銘作のお人形さんに魂が宿り、甚五郎の心で踊ったり、花魁の鏡を懐にいれて花魁の心で踊る人形。この歌詞に「客を松葉の畳算」とありますが、これはお客の数を数えているのではなく、好きなお客さんは今度いつくるのかな?と畳の目をそろばんに見立てて心待ちにしている様子でしょう。とても色気のある場面ですね。
踊りのあと、人形を箱にしまうと、家に捕手が来て姫の首を差し出せという。これは上記のような前の方のお芝居を上演すればわかりやすいのですが、現在の形ではなんのことだかさっぱりですね。
常磐津と長唄の掛合いの本作ですが、昔は曲がつけられていて現在では上演しない部分に「奥へ入るよと見て吃驚(びっくり)止むる女房を突き退けて 側に人形惜しげなく 鋸(のこぎり)押っ取りめった挽き」と、甚五郎が井筒姫の首級の代わりに大切な人形の首を切って差し出そうとする場面があります。かなりグロテスクでショッキングなのでカットになったのでしょう。
甚五郎が姫の身代わりに大切な人形の首を切って差し出したことを知らない奴の照平は姫が殺められてしまったと勘違いして「お姫様の仇!」と甚五郎に斬りつけ、甚五郎が隻腕になってしまうというわけです。
なんで照平が甚五郎に斬りつけるかの理由が弱い感じになっているので「?」と思われる方が多かったのではないでしょうか。
このような長いおはなしなのですが、踊りの部分に秀逸な振り付けがされているおかげでこの作品が現在のような形で上演されています。
いつか復活狂言などで前段を完全に上演できたら楽しいでしょうね。
そしたら是非客席で見物したいです。あ、自分が出演してたらダメか。
というわけで、久しぶりの更新。最後まで読んでいただきありがとうございました!
またいつか!お元気で!