今回は 12月19日マザーズ上場の Kudan について人気が予想されるのでコメントしたいと思います。英国ブリストル創業の最初からグローバルを意識している企業です。ブリストルには理工系の大学も多く、優れた技術者を確保しやすいとのことです。

 

主幹事はSMBC日興証券、公開株数は170,900株、オーバーアロットメント25,600株です。ベンチャーキャピタルには 上位株主と共に解除価格無しで180日間のロックアップが掛かっています。

同日には 巨大IPOのソフトバンクが上場しますので 需給からして早めに購入出来る可能性もあります。

 

 

SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)といわれる、画像やセンサ情報等から自己位置の推定と環境地図の作成を同時に行い三次元の空間認識を可能にする技術を売りにしています。

 

KudanSLAMは、AIの眼として AIと対になり補完するもので、AP(人工知覚)三次元空間と身体感覚を知覚するアルゴリズムにより、自動運転やドローンなどで課題になっている精度の不足が解消できるとされています。

 

KudanSLAMは、AR / VR / MR、自動運転、ドローン、ロボティックス、半導体チップへの組込みなど カメラを搭載可能なあらゆるデバイスで活用することが可能な汎用性があり、更にライバルと比較して  圧倒的な高速、低負荷、環境マップの精度の高さを誇り、ロバスト(視認遮断に対する最小視野)な認識が可能な唯一の商用アルゴリズムということです。 

 

自動運転においては、SLAMが車両内部センサやLiDARの補完として 認識対象以外の人や物体の動きに左右されにくい前後方監視や、位置精度の高いパーキングアシストに有効で  1㎜-1㎝単位の高精度認識が可能になるとのことです。

 

 

✳️ 12月20日 追加記事

 

12月19日 東京証券取引所で記者会見した大野智弘社長は下記のように述べています。

 

――強みはどこにありますか。

「従来の技術ではレーザーの跳ね返りなどを手掛かりに物の形などを把握していた。自社の技術ではカメラの映像を手掛かりに、ソフトウエアで空間の状況を瞬時に把握できる」

――今後の成長戦略は。

「自動運転やドローン、お掃除ロボットなどの製品全てに採用されることを目指す。将来は全てのカメラにKudanの技術が採用されるように技術開発を進めたい」

 

 

この会見内容の意味するところは、実に壮大であります。

 

近い将来 車載カメラの投入ポテンシャルは1000%(平均的に10個/1台)到達が予想され、2020年には 1億個市場へと成長する とされています。

そして2020年以降のレベル4、5自動運転時代には 200万画素以上のCMOSイメージセンサーの採用、メカ式LiDARの複数個搭載が進み、車両一台当たりのセンサー搭載個数は20個に達すると予想されています。

 

CMOS/CCDカメラ市場全体としては 上記の車載カメラ向けが貢献し、2020年までの年平均成長率12.8%、2020年には52億2000万台に達すると予測されています。

 

消費者向けドローンの世界での年間出荷台数は2015年の640万台から、2021年には6770万台へと10倍以上の増加が予測されています。

 

携帯電話向けカメラの投入ポテンシャルは200%弱(2個/1台)で減速が予測されていますが、それでも17年のスマートフォンの世界出荷台数は前年比0.1%減の14億7240万台です。

 

監視カメラの世界市場は 2018年に 5700万台に到達しました。

 

その他 前述のように カメラ搭載可能なデバイス全てに「Kudan inside」を目指している という意味となりますね。

 

勿論 ライバル企業も存在することなので 全てということはないでしょうが、それでも凄まじい数の市場が存在していることに変わりはないでしょう。

近未来の技術なので まだピンと来ないかもしれませんが、Kudanの持つポテンシャルの壮大さを少しでも感じてもらえれば幸いです。

 

 

 

 ⏺ Magic Leap

Kudanで特筆すべきは、VR、ARにおける超先進企業である「Magic Leap」との取り引きが存在していることです。

 

グーグル、クアルコム、アリババ、サウジアラビア、シンガポール政府系ファンド等から22億ドル(約2500億円)もの巨額の出資を受けて 長年秘密のベール下で独自のARシステムを開発してきたMagic Leapは 世界的に非常に注目されている企業であり、予約受付が開始されている AR、VR ヘッドセット「Magic Leap One」には既に高い評価が得られています。

 

アメリカの大手通信企業AT&Tがパートナーとなって独占的に販売を手掛けるこのデバイスの可能性は無限大で、次世代通信5Gの有力コンテンツになると言われています。

 

そして このデバイスの根幹技術に関わり、世界的なコンピュータビジョン企業と評価されている 「Kudan」の技術力の高さは相当なものと思われます。

 

Kudan limitedのAR/VRエンジンは、リリースされる世界唯一のものであり、Audi, Ford Motor, BBC, Dyson, e-Bay等の数多くのクライアントにおいて蓄積したノウハウが搭載されています。

 

SLAM技術は2024年までに20億ドル市場になる といわれており、グーグル、フェイスブック、アップル、パロットSA、クカAG、マイクロソフトコーポレーション、SMPロボティクス、ウィキチュード、GeoSLAM Ltd.、クリアパスロボティクス、DIBOTICS、Aethon、Fetch Robotics、Ascending Technologies GmbH 等で開発が行われていますが、KudanSLAM は、ハードウェアに依存しない唯一のアルゴリズムとして ローエンドのハード (単眼カメラ、モバイル プロセッサー)、他のセンサーや周辺機器 (深度センサー、ステレオ カメラなど) との統合、プロセッサーへの組込みなどが可能であります。

 

 

その他の主なクライアントについて

 

⏺ 日本アジアグループ

本年6月25日  日本アジアグループ傘下の国際航業およびザクティがKudanのSLAM技術に関するライセンス契約を締結しています。日本アジアグループとKudanは、戦略的パートナーとして来るべきロボティクス時代の次世代地図プラットフォーム構築を目指す ということです。

 

⏺ ゼンリンデータコム

本年7月2日  株式会社ゼンリンデータコムとKudan株式会社は、業務・資本提携しています。

 今回の業務・資本提携により、ゼンリンデータコムは、KudanSLAMを利用することにより、GPSやビーコンなどを利用せず、汎用的なカメラなどの画像を用いて、自己位置をより精度が高く、かつ瞬時に把握することが可能になる としています。

 

⏺ ニコン

ニコンカメラのAR、VR機能にKudanSLAM技術が使用されている と思われます。

 

⏺ LINEプラス   

御馴染み 「LINE」の子会社との位置付けながら実質的には「LINE」の本社機能を有する企業であり、昨年 Kudanと業務提携を行なっています。

LINEの自撮りカメラアプリ「B612」の最新機能であるARフィルターにKudanのVisual SLAM技術が用いられています。

 

⏺ XLsoft

米国カリフォルニアのソフトウェア開発企業である「エクセルソフト」には、モバイル アプリケーション開発向けにKudan AR SDK が提供されています。

 

⏺ 株式会社enish

Kudanとは 2016年に業務提携しており、enishのゲーム開発にKudanのAR技術が使用されています。

 

⏺ MindMaze SA

スイスのヘルスケア企業です。脳や脊髄に損傷がある患者に対して イメージング技術、3D技術、バーチャルリアリティを組み合わせて仮想空間リハビリテーションを行なっていますが、その技術にはKudanのAR、VR技術が利用されています。

 

同社の製品である 自宅用ゲーム型神経リハビリテーション療法プラットフォーム「MindMotion Go」は、本年8月に米FDAの認可を受けており、同社の同タイプ製品である「MindMotion Pro」(2017年 FDA認可) と合わせて これまで 45の医療センターで1,300人以上の患者に利用されています。