ヨン様に日本中のオバサンが夢中になってから14,5年


過ぎましたでしょうか、ワタシ、ドラマよりは、映画に興味持ち


それまで、韓国映画は1本も観た事なくてどんな映画があるのかしら?


たまたま新聞広告に『春夏秋冬そして春』という映画の宣伝が出ていて


取り敢えずこれ、観ましたけど、物凄いショック受けて


キム・ギドク監督と言う人にはまり、次々彼の映画を探しはじめました。


ちょうどその頃、池袋新文芸坐で”韓流シネマコレクション”という


イベントが始まり2005年一月~二月まで30本の韓国映画の


上映がありました。凄く寒い年でぜんぶは観れないけど出来るだけ


観ようと張り切りましたね。結局14本観ましたけど当時は監督さんも


俳優さんも知らず、今観ると皆有名な監督さんや役者さんばかり、


キムギドク監督だけは知っていて、ギドク監督の映画をそれから


追っかけ始めてほとんど観ましたが、ワタシはやはり初期のころの


『鰐』 『魚と寝る女』 『悪い男』が好きで、主演のチョ・ジェヒョンに夢中になって


『悪い男』のDVDは近所のレンタル屋さんには1本しかなく、ワタシが



3か月位独占致しまして、役者さんでアイドルではない方でしたから



来日は望めずソウルの舞台まで主役の生チョ・ジェヒョンをかぶりつきで


観に行き、終わると、勇気をだして出待ちをして、日本みたいにおおきな


劇場ではなかったので受付のお姉さんにお願いして、プログラムに


サインとツーショットで写真撮って頂き、取り敢えずチョ・ジェヒョンの


追っかけは終わりました、



さて、今日ご紹介する『魚と寝る女』はギドク監督の作品の中の


4作目で映像が一番美しく、残酷だけど私は凄く好きな映画です。


2001年8月に日本初公開だったそうですが、その頃は韓国の「か」の


字もワタシには無かったです。


衝撃的内容で1回観ただけではよく把握できず、後にDVDを買って


ゆっくり観ましたが色彩の美しさに圧倒されると、同時に賛否両論


分れる映画と思いました。


何しろ観客も痛烈な痛みを感じなくてはならないし、ベネティア映画祭の


試写会では、嘔吐したり失神者が出たそうです。



大きく広い美しい湖の様な水面、点々と浮かぶ釣舟小屋











小屋の屋根が、赤、黄色、青に浮かんでいる様はとてもポップな


感じかと思うと霧の中にボーッと見えるのは幻想的で墨絵の


様に見えたりするのです。



ソ・ジヨン扮するヒジンが経営する小屋で、




ヒジンは相手を射すくめる様な目をして、彼女だけはセリフ一言もなく


釣り客たちにコーヒーを運んだり、夜は体を売ったりの孤独な日々を


過ごしていて、体を売った男に金払いの悪い男がいると、夜、男が


舟の舳先で用を足している所にいきなり水中から顔を出し男を


水の中に引きずり込む復讐をしたりします。




そこへ、愛人が浮気したのを怒り、殺してしまって、自殺しようと


死に場所を求めてヨシクと言う男が逃げ込んできました。



娼婦宿から女を呼ぶことも出来て自殺願望のヨシクが娼婦を呼ぶと


ヒジンはその男に惹かれていたので、ヨシクを好きになった娼婦に


ヒジンは嫉妬します。3回目に娼婦がヨシクに会いに来た時、ヒジンは


ヨシクの小屋に連れて行かず、空き小屋に娼婦を投げ入れ、ガムテープで


口を塞ぎ、後ろ手に縛り部屋に転がしておき、自分は何食わぬ顔して


ヨシクの小屋に行きます。



娼婦は、助けを呼ぼうと何とか小屋の外へ出ますが、もがいて


いるうちに水中に落ちて沈んでいきます。



その、娼婦を探しに来た娼館のチョ・ジェヒョンも彼のオートバイ共々


殺して湖に深く沈めてしまいます。


そんな時、刑事が似顔絵を持って調査に来たのを、男はいよいよ


逮捕されると、釣り針7,8本飲み込んで自殺しようとするのを


ヒジンは小屋の床に蓋があり釣り場になったり、トイレになったりする


場所に匿い刑事たちが去ると、魚でも釣るように男を床に釣り上げて


釣り針1本づつ喉の奥から取り出します。




ヒジンはヨシクを慰めるかのように、男にまたがりセックスをして


自分も満足げなのです。





ヨシクも心を許し、ヒジンにセックスをせまると、なんと


ヒジンはヨシクに対して殴る、蹴る、挙句はボートから落として


ヒジンは逃げますが、しばらくするとまたヨシクの小屋に戻って


きます、流石にヨシクはこんな女とは付き合えないと思い


ヒジンのボートに乗り逃げ出します。


それに気づいたヒジンは自分のボートにつないでおいた


釣り針のついた紐をたぐり寄せ自分の子宮のなかに突っ込み


ヨシクのボートが舟から離れると猛烈な痛みがヒジンを襲い叫びます。


気付いたヨシクが慌てて戻るとそこには血まみれのヒジンが


ヨシクを睨みつけるように立っているのでした。

今度はヨシクがヒジンの膣から釣り針を取り出してあげるのです。



不思議な事に左の釣り針がハート型になってます。



ヒジンはボートに付いてるモーターを小屋舟に移し二人で湖の奥まで


逃げます。


突然場面が変わってあっと驚くラストシーンになり、えっ?という


何とも謎のラストシーンですが、私はとても心地よい感情で観終わり


ました。










ヒジンを演じた女優さん一言の台詞なくここまで常軌を逸した


演技するのは素晴らしかったし登場人物たちが魚のように


釣ったり、釣られたりなんとも不思議で言葉は適切ではないけれど


実にヘンな映画でした。


これを監督したキム・ギドク監督がコロナで亡くなってしまったのです。


ワタシは、トークショーで3回もお会いしたし、あのように激しい


映画を作るのに話し方はじつに穏やかで、解りやすく、「自分の映画に


答えはない、どんな観かたをしてくれてかまわないが、受け入れて


欲しい」と仰っていたのが印象的でした。


ほんとは自分の国韓国で一番理解して欲しかったのだと思いますが


韓国民とギドク監督の間の溝は深まるばかり、亡くなったのが


ラトビアと言う外国で故郷でなかったのがとても残念で


もう、ギドク作品を観れないと思うと涙が出るワタシです・・・・・・・・