ご無沙汰しております。
半年ほどぶりにマニアックと言って頂けるブログです。
おかげさまで忙しくさせて頂いてたのもありますが、年末からしばらくこちらの車両の修理作業をご依頼いただき奮闘しておりました。
こちら、京都でも遠方からお越し頂いたF355 F1のシフト不調での入庫です。
症状は走行直後はまだしも、20分程度走行すると不調になりだし特に３速から2速へのシフトダウンが出来なくなり、その後ニュートラル表示にはなるものの1速にもバックにも入らず不動になるとの事。
ただ、5分程度すると、またギアが入るようになったりならなかったりと、既に困難な予感。
故障整備は常に症状出てくれてると、まだ楽なのですが...
F355 F1故障はフェラーリ修理専門店さんも苦戦しているようで、F１は扱いもされないこともあるとか。
良くして頂いてる方の紹介で、既に大手ディーラー様にフェラーリ修理実績のあるお店さんなどで点検に修理をされてからも直らずとの事でご相談頂きお預かり。
長期奮闘にてF1システム全てとは言えませんが、ある程度解読に修理できたかと思いますので久しぶりのブログを書かさせて頂きます。
まずは、何もわからないため各箇所の調べから。
前回までで散々テスターなどで見られていたはずなので、最終出力信号を直接測定から開始。
まずは、F1ポンプの駆動時間が長すぎるのと、F1油圧もすぐに下がる事から、ポンプの見直しからスタートですが、スタートから難関でした。
現在のF1ポンプユニットASSY(一体セット）は薄々聞いていましたが270万円!!
しかも、F1ポンプにソレノイドにアキュムレーター、個別での販売は無いと…
大手ディーラーさんは、ミッション側のユニットではないかとの診断でそちらは120万円…
両方で約400万円
立派な車が買えてしまいます。
ですが、これ交換しても完治しないかもと…
理由はF1コンピューター（F1 TCU)がもう販売されていないのです。
さて、どうするかと…
調べた結果、日本国内ではF1ポンプのモーターだけ販売されているところもありましたが、ポンプ本体は再利用のモーターのみ交換の商品。加工も必要なので、ざっとモーター交換だけでも工賃、オイルもろもろと20～30万は必要なお値段。
悩みましたがポンプごと交換したいなと調べることに。
さらにオイルを溜めて、必要に応じてオイルを瞬発的に出してくれるアキュムレーター（他の役目もあります）は、どう探しても無いんです。
国内で聞くと270万のユニットASSYでしか無理なんですとの返答。
とりあえず、F1ポンプが弱いには弱いので現状確認。
モーターは現代では見ない形状ですが、ポンプの中身は360以降のフェラーリF1やランボルギーニのe-gearなどと同じなので、判断はすぐにできたものの、やはりクリアランスが大きい…当たり前ですよね
ここから主に海外サイトメインで調べ開始。
それが、海外のブロブでも解明できてない
これは行けそうなどの書き込みなどは見つかるのですが、直せた!!が無いんです。
ならばと、私の得意な応用を利かして加工なり流用も視野に入れ、世界のページを徘徊
ちなみにこちらがアクチュエーター。
先に書きますが、アクチュエーターも新品で装着できました。
もちろん専用は見つからず、とあることを利用しつつ加工も必要ですが。
これで１つ難関クリアです。
次にこちら。
先ほどの純正F1ユニットの後ろになにやら追加。
360以降のF1ポンプにモーターのASSYです。
国内販売は無いものの、海外は凄いですね。しかも、このあたりの部品では有名所の商品。
さっそく取り寄せ取り付け。
とは言っても、海外からですので、なにかあるごとに届くまで待機も多く、やっとの交換です。
ポンプの駆動の振動も考え、純正F1ユニットはゴムマウントですので、その取り付けを生かし取り付けた為に、純正遮熱パネルが取り付けできず、こちらは加工。
ポンプ部分を少し膨らませ完成です。
他も多岐に渡り調べていると、ミッション側の駆動部と左右繋がるバーとがシフト時に干渉した跡が。
写真はバーを下方にずらしていますが、下側の色が剥げた部分。
F1のシフト不調は、こんな取り付けミスなどの不具合もあり、総合的に見ていかないとダメなようです。
ここで、やっとF1のユニット油圧が正常に。
冷間時はすこぶる快調に動くように。
エンジン停止時は６速までシフトできるんですが、ポンプ交換までは２速までからバックにはできたものの３速以上からはバックに入らなかったのが、６速からでもバックに入るように進歩。
アキュムレーターの交換も大きい効果です。
その後、試走
20分を超えても快調に走行。
これで直った!!と思い後日も試走
症状が出てしまいました…
マシなんですが、3速から２速に落ちない時が…
ただ、ニュートラルになり何度かシフトすると、待たなくてもギアは入ってくれる。
その後走行すると、やはり３速から２速のミスが起こる。
調べていたなかで、もしかしてとは思っていましたが、F1コンピューター（TCU)を見ていくことに
まずはコンピューター系でお決まりのコンデンサー交換から
純正では一般的な電解コンデンサーより高価で耐久性もある固体コンデンサーが使用されていたので
これまた手持ちがなく取り寄せ後交換
外したコンデンサー容量を測定するも微妙なズレで、期待は薄い状況。
電装系では、コネクターなどの部分でも小さなギボシ端子の集合ですので、各端子の接触も確認に清掃など実施。
期待持ちつつこの後も試走でしたが、多少なり変化があるようでしたが根本は解決せず。
次は、世界中サイトさがしてもどこにも情報もなく確実な修理歴もない部分へ
まずは単品販売のないソレノイドバルブから。
駆動テストやったり抵抗値に消費電力など測定。
一見同じ形でも、使用部分によって、動きが違うようで、慎重に確認。
同じソレノイド同士でも、多少の数値ズレが。
しかし、前回に同じソレノイドの入れ替え作業をされていたようなのですが直ってないわけですし、今回も取付直す際に念のために入れ替えて取付。
内部のOリングが取付で破損していたのか変形に切れもあったため、Oリングは交換。
このOリングかなと淡い期待をしながら、テスト。
ダメでした
ソレノイド入れ替えたにも関わらず、3速から2速は相変わらず。
多少動きが違うことも。
測定数値の多少なズレも関係あるのかなと。
最終行きついたのが、恐れていたF1コンピューター（F1 TCU)
本腰入れてできる限り解析
まずはどのように接続されているか、現物でパターンを追うのは間違えることもあり不可能と判断でフォトショップで画像加工に表裏のパターンを重ね合わしたり。
画像は雰囲気わかるように、ほんの一部だけですが、このように色分けし駆動を追いながら、各素子（半導体）も調べて行き解析。
その中で、とある素子に疑問が。
国産車でも熱で不調起こすものや、コンピューターを保護するための素子にもたどり着き、一旦コンピューターからの信号を、外部で別駆動させシフトテスト
やはり、シフトするときの力強さが違うことを見つけ、さっそく素子の注文。
これまた国内に同じものがないので各国から取り寄せ。
いろんな素子の為、それぞれ取り寄せできる国からの取り寄せ。
その後、交換しテスト。
動きました。
ただ、ソレノイド同士の微妙なズレが気になるし、この際ソレノイドもどうにかできないかと、ソレノイド入れ替えにも挑戦。
特性にコンピューター保護も考え、外部制御でテストを繰り返し、思っても見なかったソレノイドが一部の加工で使えることまで見つけれました。
画像はちゃんとお見せできませんが、わかる方にはほんの少しコネクターが違うのが確認できます。
これでシステムの一部ですが、ソレノイドの新品交換が可能になりました。
その後男のアトリエツーリングにも行って頂いたりオフ会にも参加頂いたりと、お時間いただきましたが、どうにか修理完了しました。
最後に、当店では３60以降のテスターはありますが、現在F355以前に接続できない状態になっておりますので、F355 F1のクラッチ不良を伴うF1コンピューター（TCU)などのシステム修理が不可能な場合があります。
今回も接続できず、テスターに頼らずキャリブレーションをせずに済む方法での完治作業になりました。
この度は長期に渡りお預かりさせて頂き、誠にありがとうございました。
では．．．Ｂｙはやし
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