国内酪農家は減産を強いられるのに、

乳製品の輸入は続く矛盾 

深刻な“牛乳危機”の可能性も

 ※女性セブン2023年4月27日号

「酪農家の85%が赤字、離農検討は6割」──3月18日、業界専門紙『日本農業新聞』が、衝撃的な数字を報じた。いま、日本の酪農が危機に瀕している。品質も味もたしかな乳製品が日本国内で作られているのに、このままではスーパーに並ぶ乳製品は危険なものばかりになってしまう可能性があるのだ。 

 日本の乳製品生産の現場は大きな矛盾を抱えている。

“牛乳余り”の状況となり、毎日数トンほどの生乳を廃棄している酪農家もあるというのだ。にもかかわらず、海外からの乳製品の輸入量は高止まりしたままだ。

海外からの輸入を続けることは国内酪農家の経営を追い込むだけでなく、私たちの健康への影響も考えられる。

 

東京大学大学院農学生命科学研究科教授の鈴木宣弘さんは言う。 

「日本やEUでは認められていませんが、アメリカなど世界の約20か国では乳牛にボバインソマトトロピン(BST)という合成ホルモン剤を投与することが認められている。牛の成長を早め、乳量を増やす目的で与えるものですが、牛乳に含まれるインスリン様成長因子-1(IGF-1)という物質が増加し、飲むと乳がんや前立腺がん、大腸がんなど、がんのリスクが増加すると問題視されています」(鈴木さん、以下同)  BST使用牛は乳房炎になりやすい傾向にあり、対策として抗生物質が与えられるが、それが牛乳に移行することも確認されている。 

「1998年に科学誌『ランセット』や『サイエンス』で、乳がんは7倍、前立腺がんも

4倍罹患リスクが上がるという調査結果が出て、アメリカではBST使用牛乳の不買運動が起こりました。スターバックスやウォルマートなど大手飲食店やスーパーも不使用宣言をするなど大きな動きになったのです」  

価格が高くとも「BST不使用」「ホルモンフリー」と記載のあるものが選ばれ、ホルモン剤入り牛乳はアメリカの市場からほぼ淘汰された。しかし、いまでもアメリカの20%ほどの乳牛にBSTが投与され続けている。その搾られた牛乳は、どこにいくのか。 「日本です。アメリカ産のバターやチーズ、脱脂粉乳などはBST使用牛の乳が入っている可能性がある。日本では輸入乳製品のBSTチェックはされておらず、完全に“ザル”といっていい。すでにどんどんアメリカからの“ホルモン剤入り乳製品”が入ってきていると考えるべきです」

 

輸入の1割を国内産にすれば需給ギャップは解消できる

 飲用の牛乳はほぼすべてが国産のため、問題はチーズやバターなどの加工品だ。

日本で消費される乳製品1200万トンのうち輸入は約450万トン。そのほとんどがチーズで、そのほかにバターや、プロテインの原料となるホエー(乳清)などが続く。 「日本は自国内で牛の成長ホルモン剤投与を禁止しながら、それが含まれる乳製品の輸入を黙認するという、まさに二枚舌の政策をとっています。

チーズ、バター、ヨーグルトなどは、国内の牛乳で作っていれば生乳を使っていると書いてある。

そうでないものは、輸入の脱脂粉乳で作られていると考えて差し支えありません」  

チーズやバターなどの加工品も、国内生産の生乳から加工すれば安全なはずだが、

そうなっていないのが現実だ。

北海道大学大学院農学研究院准教授で、生乳の流通などに詳しい清水池義治さんはこう話す。

 「日本が輸入する約450万トンの乳製品のうち、そのほとんどがチーズ。

一方、国産チーズは生乳換算で約40万トンと需要の1割ほどしか作られていない。

国内で余剰となっている生乳は40万トンほどですから、

輸入チーズの1割を国産に置き換えれば生乳の需給ギャップを解消できるはずです」  

酪農家に生産抑制や減産を強いながら輸入を続ける──この矛盾を続けていればいずれ“牛乳危機”が日本を襲うと鈴木さんが警告する。 

「16年前に生産抑制が行われたのも、発端は過剰な生産と深刻な廃棄でした。しかし、その数年後からは需要が供給を上回り、バター不足へとつながっていった。  

不足すれば増産しろと言い、余れば減らせと言うなど、あまりにも場当たり的な政策が続いていて、このままでは近い将来、また深刻な牛乳不足がやってくるでしょう。赤字続きの酪農家が離農してしまい、乳牛の殺処分が進めば一気に不足する事態も充分想定できます。生産量を戻すためには数年単位の時間がかかる。そうなってからでは遅いのです」(鈴木さん、以下同)  

16年前と同じことの繰り返しにならないよう、政府は生産抑制以外の手立てを示すべきだが、あまりにも無策だと鈴木さんは続ける。

 「諸外国がやっているように、コロナによる不況や物価高で食べたくても食べられない人が増えているわけですから、余剰分の乳製品を政府が買いとって、フードバンクやこども食堂などを通じて届ける仕組みを作るべきなんです。他国はすでにそのスキームを持っています」  牛乳は重要なたんぱく源。コオロギ食が物議を醸したように、今後は世界的なたんぱく質不足が訪れるとの懸念もある。

いま私たちにできるのは、安全な国産乳製品を選び、しっかり消費することだ。

 

 

 

 

 

 

こういう構造なのは解ってる。

戦後ずっと、アメリカのポチだのと言われても、
核の傘で防衛をアメリカ依存にしてこざるを得なかったのもあり、
アメリカとの関係で、アメリカの余剰穀物消費のために
小麦輸入でパン給食をやったり、酪農飼料にトウモロコシを買ったりしてきたのは
日米関係など、外交との絡みが大きいはず。
 
しかし、一消費者としては、日々の買い物は近くで済ませないと
どうしようもないのだ。
手近にある商品の中から選ぶしかないし、ゼロではないが、少ない国産原材料品の
高価なチーズをいちいちお取り寄せしてるわけにもいかない。
ネット注文の作業も商品選択も、店舗の選択もかなり時間が掛かり
受け取りにもまた結構な時間ロスが出る。
すでに近くに搬入されている商品を、ぱっと手に取るほうが時短なのだ。
お取り寄せはたまの贅沢品みたいになっている。
 
小豆あんとホイップクリームを挟んだサンドイッチを作るにも
小豆あんは国産品が買えるが、
ホイップクリームは植物油脂のものしか売ってないし。
泡立て済みのものを利用するので、乳製品クリームを泡立てるには、
そういう電動調理器具を買うしか無い。
しかし、もう、置き場所に困るのだ。
それに低脂肪のものを買わないといけないし・・。
それぞれの家庭に合う商品を選ぶ形式になって、調理時間はすごく短縮されたが、
その短縮形でやっと日々が回っているだけ。
時間の余裕はどこに消えたのか?
 
なんにしろ、手近なお店に並ばなければ、どうしようもない。
それが消費行動の原則だ。
その上で、購買主体が製品を選ぶことになる。
 
しかし、この原材料表示が、民主党政権時代に、書かなくても良いことになったらしく(混合材料多過ぎ問題)材料が並んだ小さな字のラベルを見ても、
まったくどこの材料なのかわからないものだらけになった。
そんな商品で埋め尽くされているスーパーで、国産材料を使っている商品を
見つけるのすら大変だ。
そして、小さな字のラベルを読むには、年齢を重ねるほど支障が出てくる。
そして、次には国産偽装問題が控える。
買い物ってほんと難しい。
 

離農が加速する国内酪農 

チーズの国産化は喫緊の課題 

雪印メグミルク・野村俊夫氏

アジアの生乳生産はここ半世紀の間に8倍に 生産国トップのインドと4位のパキスタンの成長が著しい

酪農生産の維持拡大とチーズの国産化推進が喫緊の課題である(雪印メグミルク総合企画室シニアアドバイザー野村俊夫氏)

 雪印メグミルク総合企画室シニアアドバイザーの野村俊夫氏は、このほど専門紙誌らを対象とした同社主催の勉強会で「世界と日本の酪農乳業」と題し講演した。  

農畜産業振興機構(ALIC)での海外駐在経験などを踏まえ、各国の酪農特性や課題について解説した。  

乳製品の国際需給がひっ迫するなか、日本では乳製品の4割近くを輸入している。  一方でコロナ禍の需給緩和と資材価格高騰で離農が増加していることから、

酪農生産の維持拡大とチーズの国産化推進が喫緊の課題となっている。  

野村氏によれば、世界の生乳の約4割は地場消費されている。アジアの生乳生産はここ半世紀の間に8倍ほど急伸長し、なかでも生産国トップのインドと4位のパキスタンの成長が著しい。  

両国は9割が自国消費で、村の集乳センターで生産者から直接購入するなど生乳が人々に身近な存在といえる。

EU 酪農家の収入を補填する政策で輸出大国に成長

 第2位のEUは、戦後の生産過剰からクォーター制度で抑制に転換したが、その後酪農家の収入を補填する政策もあり、低価格で価格競争率の高い乳製品を製造する輸出大国に成長した。  

一方で、オランダや90年代の酪農ブームで羊毛生産から収益性の高い生乳生産が拡大したニュージーランドでは、河川や地下水の汚染が深刻化。米国の南西部・太平洋岸地域など乾燥地帯での水資源も大きな問題となっている。  

世界と比較した日本の酪農の特徴として、

飲用向けの割合が高く乳製品工場の生産能力は低い。   

指定団体を通すため生産者と乳業の直接的な関わりは少ない。

とうもろこしなど飼料の多くを米国に依存していることなどを挙げた。  

牛乳乳製品の自給率は6割程度で4割近くを輸入し、輸入乳製品のうち8割をチーズが占めることから「輸入チーズを減らして国産チーズに置換していくことが自給率向上に最も重要」(同氏)と語った。  

講演後は、「生乳需給の救世主!チーズを楽しもう!」と題し、チーズとコーヒー、紅茶のペアリングを楽しむ試食会を実施した。 

 同社マーケティング部の山本恵美子氏が、世界遺産「ベームスター干拓地」で集乳されたミルクから作ったオランダCONO社の「ベームスター ロイヤルグランクリュ(ハード)」など5種類のチーズを紹介。  

「LIMENAS COFFEE」オーナー兼リメナスコーヒー合同会社社長の元明健二氏が、深・中・浅煎りのコーヒーとほうじ茶でそれぞれのチーズと相性のよい飲み方などを提案した。

 

たしか、ガイアの夜明けでも、外国からみて日本のチーズは高すぎる。

その原因は設備が古すぎるからと言われていた。

設備投資できないまま、作り続けているのらしい。

 

しかし、最近はいろいろに風味づけした、おつまみ用のベビーチーズが

どんどん並んでいるがなあと思い、よくよく見れば

やはりチーズ自体はオーストラリアの輸入品だった。

珍しい味だと、ちょっとお試しで買ってみたくなる。

 

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白っぽい食品ということで、杏仁豆腐の成分表示も見てみたが、

これは牛乳が無関係どころか、中国原材料ばっかりだった。

牛乳かんのゼリー商品くらい、作れないもんですかねえ?

さっぱりと食べられるもの。

⇓これに似た感じの商品はある。

みなさまのお墨付き 杏仁豆腐みかん|楽天西友ネットスーパー

 

⇓こっちは見かけないが、夏の定番:ゼリーの詰め合わせ商品に

入っていればいいのに。

日清 おうちスイーツ やわらか杏仁豆腐 | ケーキ・デザート ...

 

Amazon.co.jp: 陳健一 杏仁豆腐 80g×6箱 : 食品・飲料・お酒

 

アメリカの穀物消費のために、乳牛と

日本人が犠牲に…牛乳危機の背景にある

「変態酪農」という根本問題

プレジデントオンライン

輸入飼料の高騰による経営悪化で、酪農家の離農が増えている。日本の酪農はどうすれば維持できるのか。キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「気候変動の影響で、飼料のトウモロコシ価格は今後ますます高騰する。このまま輸入飼料に依存した経営を続けていると、日本の酪農は大打撃を受ける。いまこそ放牧型酪農に転換すべきだ」という――。 

【図表】農家所得に見る酪農バブルの実態 

 

■既得権益を守ろうとする酪農界からの反発  

前回、「牛乳は捨てるほど余っているのに、なぜ値上げなのか」という記事で酪農とその政策の問題点について書いた。

これに対して、酪農家の人たちからいくつかの部分について反論がなされた。私の論考のせいで補助金を受けらないかもしれないと考えると、反論するのも理解できる。しかし、私の主張の本質的な部分についての反論はなかった。  酪農家だけではない。JA農協などの酪農団体、農業経済学者、農林水産省、農林族議員が懸命になって、既得権益を守ろうとしている。世界は温暖化ガスであるメタンや亜酸化窒素の発生源である酪農や畜産を縮小しようとしているのに、日本は畜産部を局に昇格させて振興しようとしている。これは、国民の納税者、消費者としての利益を大きく損なっている。  酪農界は、食料の供給に重要な役割を果たしていると主張するが、納税者の負担による多額の補助金を受けながら、供給責任を果たしてこなかった。その象徴的な例が2014年のバター不足である。また、国が酪農に助成してきた理由は、その効率化を図ることだった。国際競争力を向上させ関税削減などの国際交渉に対応できるようにするとともに、消費者に多額の税負担の見返りとして価格の引き下げを得させようとしたのだ。  それなのに、バターなど乳製品の関税は高く張り付いたままで、生乳の価格(乳価)や飲用牛乳の値段は逆に上がった。フランスのエシレバターを日本で買うと関税などでパリのスーパーの6倍の値段がする。財政負担によって国民に安くサービスを提供している医療行政と異なり、国民は納税者として負担しながら逆に消費者としても負担を高められることとなった。かつて酪農行政に関わった者として悲しい気持ちになる。

 

■酪農界が抱える本質的な問題  

ここで改めて酪農家から反発された私の主張を紹介したい。  

①日本の酪農は輸入穀物の加工業になっている  多くの国民は、酪農から牧草をはむ牛を想像する。酪農に関する記事には、広大な草地で放牧されている牛の写真が掲載される。しかし、放牧されている牛は2割に満たない。ほとんどは、狭い牛舎の中で、また首をつながれたままで、アメリカ産の輸入穀物を主原料とする配合飼料を食べている。栄養価が高いので乳量が上がるからだ。  

1990年代以降土地が広い北海道でも配合飼料依存が高まっている。北海道で草地による放牧や自給飼料生産が行われているのは、配合飼料多投による病気の発生を少なくするためだ(つまり配合飼料が“主”で自給飼料生産は“従”の役割に過ぎない)と指摘する専門家もいる(※)。  

JA農協は、酪農家が生産した生乳を販売するだけではなく、アメリカから穀物を日本へ輸出し、これを加工して付加価値を付けた配合飼料を、酪農を含めた畜産農家に販売することで、利益を得た。生産物と資材の販売の双方向で二重の手数料を稼いだのである。  

アメリカは牛肉については自由化や関税削減を強く迫ったが、バターを主体とする乳製品については、自国が多く生産するチーズの副産物であるホエイを除いて、関税引き下げを求めなかった。日本の酪農を維持して穀物を輸出した方が有利だからだ。

日本の酪農については、JA農協とアメリカ穀物業界は利益共同体である。

被害者は、高い牛乳乳製品を買わされる日本の消費者である。  

※1 柏久・京都大学名誉教授の編著になる『放牧酪農の展開を求めて』(日本経済評論社2012年)112ページ参照。  ②生乳廃棄が「高い乳価」維持のために行われている  生乳を廃棄したり減産したりしている。しかし、過剰なら価格が下がるはずなのに、乳価は2006年に比べ5割も高い。酪農界が懸命になって守ろうとしているのは高い乳価である。 

 脱脂粉乳の過剰在庫が増加しているというが、過剰なのに価格は下がらない。

下げると脱脂粉乳を原料とする加工乳の価格が下がって、飲用乳や乳価も下がるからだ。  

国民は納税者として多額の負担を酪農に支払っているのに、消費者として価格低下の利益を受けることはない。円安になった今でも、日本の飲用牛乳の値段はアメリカの倍もしている。  

 

③苦境の原因は、輸入穀物依存の経営にある  

輸入穀物の加工業だと言ってよい今の酪農経営は、穀物の国際価格の動向に影響される。しかし、最近まで穀物価格は低位安定していた。副産物のオス子牛価格も3万円が15万円ほどになった。このため酪農家の所得は2015年から5年間1000万円を超えた(2017年は1602万円)。穀物の国際価格は大きく変動する。輸入穀物依存の経営を選択したなら、価格高騰時に備えているべきだ。  経営が好調な時は黙っていて、穀物の国際価格が高騰したときだけ政府(納税者である国民)に補塡(ほてん)を要求するのはフェアではない。マスメディアが過去の高収益を紹介しないのも間違っている。

 

 ■いまこそ日本の酪農を見直すべきだ  

日本の乳価は欧米の3倍、1頭当たりの乳量も世界最高水準だ。それなのに、1年だけの国際穀物価格上昇で離農者が増加するなら、今の酪農は見直すべきだ。  

輸入穀物依存の酪農は、国際穀物価格の一時的な上昇だけで経営が存続できなくなっていると主張している。まして穀物輸入が途切れる食料危機のみならずアメリカの

トウモロコシ生産が減少する際には、存在すらできなくなる。

 

■好調な米豪農業と日本の酪農バブル崩壊  

私は、2月から3月にかけて農業先進国であるアメリカやオーストラリアの政府や民間主催の食料・農業フォーラムに出席した。あるセッションでは、メインの報告者ともなった。これもアメリカのホテルで書いている。  そこで見聞きしたのは、まず2022年はこれらの農業にとって記録的な収益を上げた年だったということである。

逆に、これらの国から穀物を輸入してエサとする日本の酪農や畜産は、2021年までは穀物価格の低迷により大きな利益を得ていた。 

 

■2021年までのバブルの実態  

次のグラフは、2017年と2018年について、民間の平均年収(給与所得者の所得)を100として、農家所得(収入-費用)と比較したものである。民間の平均年収は2017年432万円、2018年441万円である。  

繁殖牛を除いて、ここに挙げた業種の農家所得は民間の平均年収の倍以上である。

酪農や養豚の大規模経営では、2017年は民間の平均年収の11~16倍である。  

畜産のように規模が大きい農家が多数を占める場合では、農家経営や農作業は複数の従事者で行われることが多く、またそれぞれの農業従事者が均等に作業を行っているわけではない。したがって、他産業の勤労者所得と農家所得を単純に比較することは適当ではないかもしれない(※2)。  

※2 ただし、酪農(100頭以上)や養豚(2000頭以上)の大規模農家は家族3人が働いている(生産費調査)ので、4200万の農業所得の場合一人当たりは1400万円となる。一家のうち3人もこのような所得を挙げている家計は、東京でも極めて少ないだろう。  このため、個別経営(法人経営を除く)の家族労働一時間当たり農業所得を他産業の単位時間当たりの給与(時給)と比較してみよう。  

民間の平均時給は2017年2133円、2018年2205円である。繁殖牛と2018年の都府県の酪農を除いて、民間の平均時給を上回っている。ここでも、酪農や養豚の大規模経営では、所得が低下した2018年でも民間の平均時給の倍以上となっている。酪農では、全国平均2509円(3007円)、北海道では平均3050円(3778円)、100頭以上層4647円(5256円)、都府県では平均2069円(2488円)、100頭以上層5763円(7540円)である。いずれもカッコ内は2017年の数値である。  

2019年日米貿易協定交渉妥結後、ある新聞記者が酪農家を訪問して、TPPや日米貿易協定で経営が大変になるという酪農家の声を紹介していた。しかし、乳製品の中で市場が解放されるのはホエイやプロセスチーズ用のナチュラルチーズであって、国産の生乳の仕向け先としては微々たるものである。主要な乳製品であるバターと脱脂粉乳の関税は削減もされない。 

 影響があるでしょうと聞かれて、いや影響なんてありませんよと答える農家はいない。  

この時、北海道酪農の実態を知っている新聞記者は、「いま酪農バブルといわれてますが、北海道で酪農バブルなんて記事は書けませんよ」と私に言っていた。2022年に起こったことは、日本の酪農にとって、このバブルが弾けただけなのだ。

 

■世界と逆行する日本の農業・農政  

会議でもっとも印象的だったのは、酪農や畜産をはじめとする日本の農業とは

全く逆方向の米豪農業の展開だった。  

オーストラリアの農業者は、ESG(環境・社会・企業統治)を盛んに話題にしている。気候変動への対応は会議のメインテーマである。  注目すべきはアメリカ農業の変貌である。かつて日本の農業関係者はアメリカ農業を貴重な土壌や水を収奪する非持続的な農業だと批判してきた。それがこの数年で180度と言っていいほど変化した。

持続可能性(サステイナビリティ)は農業者共通のボキャブラリーとなっている。  

アメリカ農業者は、気候変動に真剣かつ積極的に向き合うようになっている。

農業は温暖化ガスの2~3割を排出すると同時に、気候変動の影響を最も受けるからだ。彼らは表土・水分の維持や炭素貯蔵に役立つ不耕起(土地を耕さない“no-till”)栽培などに自発的、積極的に取り組んでいる。  

消費サイドでも、温暖化ガスのメタンを発生させる酪農・肉用牛生産への批判から、植物性食品(肉だけでなくチーズなども)や培養肉(肉だけでなくキャビアまでも)の開発・実用化が急速に進んでいる。数年までは価格・コストが高いということが問題視されたのに、今の課題は食味の向上だという。コストの問題は解決したようである。会議で「牛が生産するもの全て(牛乳も肉も)が持続的ではない」という発言があったのには驚いた。  また、オーストラリアの農業大臣は、「EUの農業担当大臣はアニマルウェルフェアのことばかり話をしていた」と語っていた。

EUでは農業関係で気候変動と並んでアニマルウェルフェアが大きな関心事項なのだ。  今では、日本の農業や農政のほうが酪農・畜産を振興するなど環境や気候変動に悪影響を与えている。アニマルウェルフェアに対する関心も薄い。

 

■7割以上の酪農家が全く牛を運動させていない  

まず牛の飼育方法を説明したい。 

 これに、放牧と舎飼いがある。後者は、配合飼料を給与するため、牛を一定の場所に集めるものだが、牛を特定の場所に器具やロープなどで固定するつなぎ飼いとつながずに一定の場所で肥育するフリーストールやフリーバーンがある。数としてはつなぎ飼いが多い。  

牛の飼育方法に関するアニマルウェルフェア上の問題について、酪農に従事した人の報告などを踏まえた私の指摘に対して、それぞれの経験や経営に即して実態に合わないなどの反論が行われた。  

しかし、酪農経営には大きな幅がある。一部の酪農家によって牛が十分にパドックで運動させられているとしても、7割以上の酪農家が全く牛を運動させていないという気の毒な牛の実態を否定できないはずだ。  

残念だが、揚げ足取り的な反論もあった。  

例えば、酪農に従事した人の報告を受けて、10年生きた牛が、廃牛となる「最後のほうはずっと足を引きずり、一日二回の搾乳のための移動が辛そうでしたが、もう出荷することが決まっていたため、数か月治療はされませんでした」(「論座」2023年01月20日)と指摘したところ、そんなに生きている牛はいないとする反論があった。

 

■劣悪な環境で一生を終える日本の乳牛  

しかし、統計的にこのような牛は一定数存在する(2019年度乳用牛群能力検定成績では2.3%)し、この牛の年齢についてはデータ(個体識別番号)からも証明できる。  

以前の論考の中では省略したが、私への情報提供者は次のように指摘していた。

 ---------- 「この牛は、移動履歴を見ると、産まれてから死ぬまでこの農場で過ごしたことがわかります。放牧場も運動場もない、搾乳牛の囲いは10m×20m程度で搾乳牛数は30頭ほどもいる狭い牛舎(フリーストール)です(※3) 10年間、柔らかい土の上を歩くこともできず、搾乳室と牛舎の中をただ行ったり来たりさせられるだけの、

コンクリートの上での一生でした。私が見た時は、餌をくわえては後ろに放り投げる、後ろに放り投げるという動作を繰り返していました。 

ブタや鶏もそうですが、動物は自分で餌を探して食べたいという強い欲求があります。自分で餌を舌で刈り取って食べなければならない(放牧)のと、餌を用意してくれてそれを食べるだけでよいの(放飼)と、好きなほうを牛に選択させたところ、手間はかかるけれど自分の舌で刈り取って食べるほうを牛は選択します。満たされなかった欲求が転嫁されたのが、餌を放り投げるという異常行動です。本来の習性を何も発揮することができず、自分の生態からかけ離れた環境に10年間も閉じ込め続けたことへの、牛からの抗議だと、私は受け取っています。」 ----------  

※3 筆者注 これでは牛は自分の体の3倍くらいのスペースでしか生活できない。たとえて言うなら、朝9時台の東京の通勤電車の中で一生暮らしているようなものだろうか  私に反論した人は、10年も劣悪な環境で生かされ続けた乳牛の悲しみや苦しみを理解できるだろうか? 

 

 ■穀物飼料を使うのは、酪農家の経営上の都合  

反論の一つに、高泌乳に改良された牛を放牧すると栄養失調にかかるという酪農家の主張もあった。しかし、これは“本末転倒”である。異常な高泌乳牛に改良したのは、牛の生理に合った牧草ではなく、栄養価が高く乳量が増加する穀物を食べさせるという前提があったからだ。  

この酪農家が、自分が飼っている乳牛を放牧し栄養失調にした経験があるはずがない。この主張自体疑問である。北海道足寄町の調査では、「舎飼」の8652kgと

「放牧」の7552kgという一頭当たりの乳量の差は、「舎飼」が12.1kg、「放牧」が6.3kgという一日当たり濃厚(穀物)飼料給与量の差によるところが大きいとしている(※4)。  

「放牧」にしても牛は栄養失調にかかることなく生乳を生産している。穀物飼育で乳量を上げたいというのは、酪農家の経営上の都合からである。牛の健康からもアニマルウェルフェアからも放牧が望ましい。  先の10年生きた牛の例とは異なり、一般的には、諸外国に比べ日本の牛の平均寿命は短い。  

「舎飼が濃厚飼料の投入が多い分、個体乳量も多くなっているが、一方では病気による廃用(除籍)も多くなっている。通年舎飼い方式は通念牛を狭い場所に閉じ込めるか、牛床に固定するためストレスの増加と運動不足による病気が多発し、寿命を縮めている実態が明らかになった」(※5)  

※4 柏久編著『放牧酪農の展開を求めて』(日本経済評論社2012年)223~224ページより ※5 柏久編著『放牧酪農の展開を求めて』(日本経済評論社2012年)224ページより

 

■動物は機械ではない、農場は工場ではない  

 

多量の乳量を生産するため、牛を改良したり濃厚飼料を多投したりするうえ、糞尿で湿っているコンクリート床に立たされたり運動もできない(7割を超える酪農家がパドックや放牧地に放していない)など劣悪な飼育環境から病気が多く(日本装削蹄協会の調査(5996頭調査)は、36%の牛に(跛行の原因となる「蹄病」があるとしている)、

酪農家が早々と廃牛にしてしまうからだ。  

つまり、牛の生理に反した穀物給与と、土ではなく固いコンクリートの上で生活し運動もできないなどの劣悪な生活環境が相まって、牛は蹄病や跛行などの病気にかかりやすく、短期間に搾るだけ搾らされたあげく、すぐに屠畜される。これは牛をわれわれと同じ動物とは考えていない証しである。  

先に紹介した情報提供者が伝えたかったことは、“動物は機械ではない、農場は工場ではない、農業は工業ではない”という、酪農界が忘れたシンプルなファクツなのだ。 

 

■本来の酪農の姿である「山地酪農」  

現在酪農の主流となっている「舎飼」の酪農を、ある酪農指導者は「変態酪農」と呼んだ。しかし、日本にも、これとは異なる「放牧」型の酪農がある。それを紹介しよう。 それが「山地酪農」と呼ばれる酪農である。  

山地とは、山林で牛を年中昼夜放牧するという意味である。牛は等高線に沿って爪で山を削りながら、自由に草を食べ歩く。春から秋は野シバを食べ、冬場はサイレージを食べる。濃厚飼料はおやつ程度に与えるだけで、ほとんど食べさせない。  

牛舎で飼われる場合、こまめに洗浄しなければ、牛が大量に排出する糞が牛体にも牛舎にもこびりついて取れなくなる。大量の糞尿の処理に酪農家は苦慮し、これに大きな設備投資が必要となる(もっとも農林水産省からの手厚い補助があるので、農家は一部の負担で済む)。山地酪農の場合は、山の土が糞尿を自然に分解して、堆肥にしてくれる。それを栄養にして野シバが生え、牛のエサになる。  

牛も出産しないと乳を出さない。一般には、人工授精して妊娠・出産させる。しかし、山地酪農では、牛は自然交配を行い、林の中で2、3月に出産し、子牛は5月に母牛から離れる。通常の酪農家の場合は、栄養価に富んだ「初乳」を生まれたばかりの子に飲ませるだけで、その後すぐ、子牛を母牛から引き離す。母牛は牛乳を生産しなければならないからである。  

引き離された子牛は脱脂粉乳を飲まされる。

山地酪農のように、2~3カ月も母乳を飲めないのである。

この子牛に飲ませる脱脂粉乳も飼料穀物と同じく輸入物である。輸入のほうが安いからである。酪農家は人が食べる乳製品の輸入には反対するが、家畜のエサとなる乳製品は輸入する。  山地酪農の最大の長所は、エサとしての野シバの利用、糞尿の土地への還元・堆肥化など、大地に根差した本来の酪農の姿を実践していることだろう。

 

■なぜ乳脂率は「3.5%」でなければいけないのか  

1987年に生乳取引の基準が乳脂率3.2%から3.5%に改定された。放牧ではその基準を満たすことができないという指摘がある。  

生乳から水分を除くと、乳脂肪分と(たんぱく質などの)無脂乳固形分になる。前者からバターが、後者から脱脂粉乳ができる。  

1987年当時は、今と異なり、バターが過剰で脱脂粉乳が不足気味だった。

脱脂粉乳に合わせて生乳生産を行うと、バターが余る。

しかも、乳業メーカーは、平均すれば3.5%の乳脂率があった生乳からバター分を抜き取って3.2%の牛乳として販売していた。この抜き取った分もバターとして販売したので、さらにバターが過剰になった。  

そこで、乳業界は一計を案じた。バターが余るなら、乳脂率3.5%の牛乳として消費者に飲ませればよい。これは功を奏した。バターの供給は減少し、過剰は解消されたのである。1987年の生乳取引基準改定は、バターの過剰対策だった。

おいしさを感じさせる脂肪分が上がったので、一時的だが、牛乳の消費も増加した。

 

 ■生乳取引の基準はもっと低くてもいいはず  

ところが、今は、バターと脱脂粉乳の需給関係が逆転している。2000年に汚染された脱脂粉乳を使った雪印の集団食中毒事件が発生して以来、脱脂粉乳の需要が減少し、余り始めた。これに合わせて生乳を生産すると、今度はバターが足りなくなる。

2014年のバター不足は、根本的には、この需給関係が引き起こしたものである。  

それなら、今度は生乳取引基準を乳脂率3.2%に戻せばよい。バターの生産は増え、

バター不足が起きることはない。  

そもそも、乳脂率3.5%が消費者ニーズに合致しているかどうかわからない。  

近年、乳脂肪分1.5%から2.5%までの成分調整牛乳と呼ばれる牛乳の生産・消費が拡大した。これは生乳からバター分を抜き取った牛乳である。

その理由として、味の面では、乳脂肪分が低いため、飲み口があっさりしているうえ、バターや脱脂粉乳などの乳製品から作られる加工乳と違って、牛乳の風味に近いことが挙げられる。消費者の嗜好が低脂肪牛乳に移ったのだ

アメリカでも量的には、低脂肪牛乳は通常の牛乳と同じくらい売られている。

次に、価格が、牛乳に比べて安いことである。

これが消費者の低価格志向にマッチした。 

 生乳取引の基準は乳脂率3.2%よりもさらに低くてもよい。2%でもよい。

放牧型酪農も対応できるし、抜き取る分が増えるのでバター不足を起さなくて済む

 

■放牧型へ転換しなければ、日本の酪農は生き残れない  

アメリカ農務省主催のフォーラムで、NASA(航空宇宙局)地球科学課長は、衛星による地球の水循環の分析から、乾燥地帯はより乾燥し、湿った地域はより湿潤になるとし、気候変動がさらに厳しいものになると予測した。続けて、アメリカで最も土地が肥沃な中西部のコーンベルトで、トウモロコシの収量が低下し小麦の収量が増加すると報告した。つまりコーンベルトが小麦地帯になるというのだ。  これは、コーンベルトの農家にとって、かなりのショックだったようだ。小麦ではなくトウモロコシを生産してきたのは、トウモロコシの方が高い収益を上げられるからだ。現在アメリカで小麦を作っているのは、肥沃(ひよく)度の劣る西部地域である。コーンベルトが小麦地帯になることは、農家所得が減少することを意味する。  

他方で、日本の酪農・畜産はアメリカ産トウモロコシをエサにしている。アメリカでトウモロコシ生産が減少し、その価格が上昇していくと、日本の酪農・畜産はいずれ壊滅的な打撃を受ける。現在のトウモロコシ価格上昇は、その序曲に過ぎない。  

日本の酪農が生き残ろうとするなら、山地酪農など放牧型へ転換すべきである。現在農林水産省や農林族議員が行っている飼料価格の補塡は、死期が近い患者への延命治療に過ぎない。 

 

---------- 山下 一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 1955年岡山県生まれ。77年東京大学法学部卒業後、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、同局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員、2010年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。著書に『バターが買えない不都合な真実』(幻冬舎新書)、『農協の大罪』(宝島社新書)、『農業ビッグバンの経済学』『国民のための「食と農」の授業』(ともに日本経済新聞出版社)、など多数。近刊に『日本が飢える! 世界食料危機の真実』(幻冬舎新書)がある。 ----------

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 山下 一仁

 

>北海道の酪農地帯に住んでいるものですが、この記事は半分しか正確ではない。

 確かに酪農バブルはありました。 2016年度の国内乳製品の不足によって、国策で大規模化、農機具の近代化を推し進めることで酪農家の収入増がありました。

 しかし、それによって農家ばかりではなく、雇用、酪農に携わる建設、土木、食品にいたるまでその地域の活性を促しました。 補助金漬けと批判する人がいますが、給付金と違い全額お金が貰えるわけではないです。

 申請して貰えたとしても牛舎建設で50%以下程度、残りは10数年に渡っての借金。 しかも、牛舎、農機具の補助金は指定業者を使わないと貰えないし、

最初から高額見積もりになっています。 ヘルパーがいて、親が未だ若く一緒に働いているなら休みがとれるかもしれませんが、 その様な環境がないなら、

24時間365日仕事です。 その様な環境で都会の収入と比べるのはナンセンスですね。

 

>確かに昔の酪農は放牧と牧草主体の飼料でやっていました。 家族労働で数十頭の乳牛を飼育し、それで経営を成り立たせていました。 

しかし乳価は今よりもkg辺り数十円安く、一頭辺りの搾乳量も今の半分程度です。

 年間300トンくらいの出荷量で乳代は精々2000万円かそこら。 

雄牛が産まれたら肉用素牛として売却。 総売上は3000万円程度なのが北海道の平均的酪農家でした。 飼料代や光熱費、設備や農業機械の減価償却費を引けば酪農家の手元に残るのは1000万円程度でしょう。 そこから資金償還をして税金を納め可処分所得として残るのは500万円くらいのものです。 家族3人で365日休みなく働いてです。 そこから脱却するために負債を抱え規模を拡大してきたのが現存する酪農家。 

乳代が上がってイケイケで拡大した酪農家にも問題は有りますが記事のようにボロ儲けしているわけでは有りません。 億単位の負債が有るのだから。

 

 

>問題は、酪農や農業、行業への補助金の是非ではなく(補助金は、欧米でもやっている当然の政策)、補助金の真水(酪農家とに直接わたるお金の割合)がどれだけあるかだ。日本はほとんどすべての産業に、天下りの財団法人があり、そこに補助金がまず最初に入る仕組みになっている。つまり、中抜きが多すぎる。

 ベーシック・インカムに自民党だけが反対しているのは、中抜き利権を壊されたくないからだが、それと同様に各種補助金が無意味な中抜きに消えている。 そこをまず最初に、解剖解体しないことには、いくら補助金を出しても、まったく税金の無駄。

 

 

うちでは低脂肪乳(加工乳)しか買わないし、酪農応援で仕入れられていた

北海道牛乳の脂肪分は8%を超えていた。

それだから、売れないんだよ、と思った。

経営判断は自由に選んでその形態で営農しているはずなので

潰れる自由もあるのが資本主義。

農業は六次化して、ご当地商品がどんどん入ってくるのに、酪農はしていない。

それでスーパーには輸入チーズ商品しか置いてない。

手近なお店に何もおいてなければ、買いようがないのだ。

どうぞお好きにとしか思えない。

 

 

天下りポストに「14年間」居座った元農水次官がついに退任…でも日本の漁業がヤバい理由

「天下りポスト」の今後

 一般社団法人「大日本水産会」の白須敏朗会長が6月にも退任する見通しだ。白須氏は農林水産事務次官退任後、14年にわたって同会長に居座り、霞が関で顰蹙を買っていた。後任には枝元真徹・前農水事務次官の就任が有力視されている。

  【写真】大蔵省の「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」いまだからウラ話を明かそう!  大日本水産会は水産業の振興を目的に1882年に設立された、500余りの水産関連団体からなる組織。会長職は農水次官経験者の「天下りポスト」となっている。  

白須氏は'08年、基準値を上回る農薬で汚染された事故米の不正転売事件の責任を取るため、就任1年で農水次官を辞任。ところが、官僚の天下り斡旋全面禁止を掲げる民主党政権が発足する直前の'09年9月、滑り込みで天下って復権を果たした。 

 魚離れや水産物の不漁の深刻化で、水産業界の改革は待ったなし。だが白須氏は「いかに役所から予算を分捕るかしか考えていない」(農水省キャリア)と評される。コロナ禍で巨額支援が定着した近年は、予算要求の圧力をさらに強めていた。  

元官僚が一つの天下り先に10年以上在籍することは極めて異例のため、かねて白須氏の進退は注目されていた。ある業界関係者は、その心中を「次官を1年でクビにされたから、長くやって当然と思っている」と語る。昨年5月に瑞宝重光章を受章して、ようやく満足したとも囁かれる。  

後任となる見込みの枝元氏は「水産庁で勤務経験があり水産業への理解は深いが、

改革志向ではない」(元農水省幹部)。水産業の衰退には歯止めがかかりそうにない。  「週刊現代」2023年4月1・8日号より

週刊現代(講談社)