(参考:N0693「ラウラ・チンチジャ、反ダニエル・オルテガのデモにたつ」)

http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-11601106726.html


ニカラグアとコスタリカの国境は東側、カリブ海に向かってはサンフアン川が国境となってきた。このサンフアン川がどちらの国に属するかという問題は、歴史的にニカラグアに属し、コスタリカ側は民間の船が通行する権利を有してきた。これはコスタリカ側に不満な内容であり、何度もコスタリカから異議が国際機関に訴えられてきた。サンフアン川のカリブ海に面する地帯は塩水沼となっており、そこに三角州がある。コスタリカ側はポルティジョス島と呼び、ニカラグア側はハーバーヘッド島と呼んできた係争地である。2010年、ニカラグアはこの場所の浚渫作業を始めた。コスタリカ側はこれをサンフアン川からカリブ海に向けて新たな運河を作るものとして、オランダ、ハーグの国際司法裁判所(CIJ)にニカラグアの活動の停止を求める仮処分申請をおこない、2011年3月、この要求は認められた。


2013年9月、コスタリカはニカラグアが再び、この場所の浚渫工事をおこなっているとして、写真、航空写真、衛星写真を証拠として、CIJにたいして、工事の中止、原状への回復、ニカラグア人のこの場所からの撤去を要求する仮処分申請をおこなった。11月22日、CIJのピーター・トムカ裁判長は、コスタリカ側からの要求を認める判決を下した。ニカラグアのCIJへのカルロス・アルグエジョ大使は、この判決を予想していたものとして、これに従う意向を表明している。ニカラグア側としては、あらたな運河を建設するつもりはなく、単なる川底の清掃作業であったと説明してきており、とくに判決に従わない理由はないものと思われる。コスタリカのエンリケ・カスティジョ外相は、もしもニカラグア側が従わない場合、ふたたびCIJに提訴するし、国連安全保障理事会に問題を訴えると強調している。コスタリカは、ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領が出席する国際会議には、ラウラ・チンチジャ大統領は出席しないという強硬姿勢を維持している。


今回のCIJ判決では触れられていない、サンフアン川のコスタリカ側の自動車道路の建設が、この地域の自然環境を破壊するという、ニカラグア側からのCIJへの提訴の判決もこの数週間のうちに出されるのではないかと想像されている。また仮処分とは別に、ハーバーヘッド島・ポルティジョス島の帰属など本裁判の判決が、2014年中には出されるのではないかと予想されている。この浚渫作業をおこなったとされるエデン・パストラは水草を取っただけだと言う。「わしはただ川を清掃しただけだ。水路が変わったのは1つ、100メートルに過ぎない。なぜならそれは水の流れなのだから。ティコスの言うように2つではない。清掃したが政府に命令されたら、もう一度水生ユカ、あやめ、ガマロテなどの水草を置いてこなければならない」。(N0782)



ラテンアメリカの政治経済

ニカラグア、コスタリカ間の係争部分